いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

2012-01-01から1年間の記事一覧

ドウセワタシハ性欲処理ノ代用品〜『空気人形』批評〜

この映画の主人公は、板尾さん演じるさえないおっさんに愛玩される空気人形だ。 空気人形(またの名をラブドール、またの名をダッチワイフ)といってもこういうやつではなく、 こういうやつ。 (かわいいじゃん……)。 彼女(空気人形にだって性別はある)の…

「お客様は神様です」の弁証法

演歌歌手の三波春夫が言ったとされる「お客様は神様です」という言葉。 実はこの言葉について、その曲解と乱用を憂慮していた長女の三波美夕紀氏によって、三波春夫のオフィシャルサイトの方で「公式見解」が示されている。 三波春夫にとっての「お客様」と…

ディテールに引き込まれていく映画 〜細田守『おおかみこどもの雨と雪』批評〜

『時をかける少女』『サマーウォーズ』などで知られる細田守監督の最新作。 人間社会にまぎれひっそりと暮らすおおかみおとこと結ばれた女性花が、彼の亡き後、彼の血を受け継ぐおおかみこどもの我が子たちを優しく、しかしたくましく育てていく様子を描くフ…

耳すばとサマウォのこの炎上力の差はなんなのか

土曜日に“開戦”してから、本編終了後もしばらくは煙があがっていたサマウォなんですが。 『サマーウォーズ』に対して、しばしば同じ細田守監督の一つ前の作品『時をかける少女』のリメイクやもう一つ前の『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』が引…

利益至上主義によってもたらされたアメリカの医療ディストピア〜マイケル・ムーア『シッコ』批評〜

アメリカには国民介保険の制度がなく、今も多くの末加入者がいるという事実は、日本でも「消えた年金」騒動のときに少し話題になった。マイケル・ムーアは本作『シッコ』で、こうしたアメリカの医療保険の問題に焦点を当てる。 しかし、この映画のもっとも大…

「レポートはwikipediaのコピペでいいか」←よかねーよ

「レポート コピペ」でtwitter内検索まとめ - Togetter 「コピペやろうかな(笑)」みたいな願望の吐露や、話半分みたいなこともあるんでしょうが、それを考慮しても唖然とはしますよね…。 この一覧を読んでてふと気づいたのは、全体的に「コピペを駆使して…

もっと単純でバカバカしい話でよかったような〜ジョン・ファブロー『カウボーイ&エイリアン』批評〜

タイトルは『カウボーイ&エイリアン』なんだけど、これはそのまんま西部劇+SFアクションという意味をさしているともいえる。アイアンマンシリーズのジョン・ファブローがメガフォンを取ったSFカウボーイムービーだ。どうもいろんな要素を詰め込みすぎてい…

憂国者のパラドクス

昨年の夏に盛り上がリを見せたフジテレビ関連の騒動や、今も話題のまっただ中でありつづける放射能について、ネット上で浮かんでは消える流言をみるにつけ、一つの興味深いパラドクスがあることに気づく。 それは、フジテレビと韓国系企業の間に特殊なつなが…

「震災」が刻印されることが不可避だった映画 〜園子温『ヒミズ』批評〜

一言で言えば、原作と別物と考えたら面白かった!である。 これまでと同様、全編にわたり正とも負とも見分けのつかないパワーに満ちあふれた映画だ。役者のエクストリームな演技と強烈なメッセージ性(やたら説教臭い言葉がつづくのに、なぜ園さんの映画はク…

「好き」は報酬じゃない

「今時よくいる馬鹿な女は無理なんだよね」と言っていた人を好きになった。 見た目を適度に鍛えて、清潔感を大切にしていた。 ゆるふわとかモテ服とかじゃなかったけど、 キャリア系の雑誌を読んで、きちんと見えるようにはしていたし、 化粧も髪型も、人並…

憧れについての一考察〜ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』批評〜

かつてのパリに憧れる小説家志望の青年が実際にパリに訪れ、真夜中だけ20’のパリへタイムスリップできる不思議な体験をするというロマンチックコメディ。B級映画の脚本のリライトで生計をたてているギル・ペンダーは、婚約者のイネスとパリに旅行におとずれ…

ニコラス刑事、そんな濃い顔で指名手配されたら大変でしょ!?〜ニコラス・ケイジ『ハングリー・ラビット』批評〜

ここ数年、ニコラス刑事といえばどうしても作品より名前が先行しがちで、観たらがっかりという映画が多かったのが個人的な感想だが、本作『ハングリー・ラビット』は予告編で面白そうなので期待してみてみた。 ニューオリンズに住む高校教師のジェラード(ケ…

内定のない就活生がつらいのは内定がないからではない〜現代にはびこる内定予定説〜

社会学者のマックス・ヴェーバーに『プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』という本がある。 長々しくかつ仰々しいタイトルだが、本書の立てた問いはとりわけシンプルだ。それは、西欧諸国において資本主義はなぜここまで繁栄したのか?という問いだ…

ネタとリアルマネー

元ワセジョ事件に続いてクラウドファンディング周辺がくすぶってるけれど、ぼくの中では、日本のネット社会とリアルマネーは、根本的に食い合わせが悪いんじゃないかという漠然とした直感がある。というのも、「バカと暇人のもの」である日本のネット社会で…

カルトにダマされない大学生を増やすたった一つの方法

それは、論理的思考を養える学内サークルに入ることだ。 吐いた回数を競う“飲みサー”みたいなのだけが大学のサークルだと勘違いしている新入生がいるなら、ぜひともそんなサークルに入って上級生から論理的にボコボコにされてもらいたい。 そんなサークルが…

これからのは新聞はかぎりなく“エンタメ化”を追求するべきだ

昨日InterFMを聴いていたら、お笑いコンビのロッチがゲストで出演し、そこで興味深い話をしていた。なんでもロッチのコカドケンタロウは最近、子ども新聞を購読しているんだそうだ。 ロッチのコッチ↑ 仕事の幅を増やすために時事問題に強くなろうと、最初は…

100年後の子どもは歴史の教科で2012年をどう学ぶのか?

たとえば、100年後の歴史の教科書に今のことがどんな風に書かれてあるかを考えると、とても興味深い。 “何が書かれているか”でもいいし、“どのように書かれているか”といってもいい。とにかく興味が尽きない。 というのも、いままでどおり公職につく著名人を…

過去作品にも悪影響をおよぼす続編って……〜『メン・イン・ブラック3』批評〜

予告編で『メン・イン・ブラック3』がタイムトリップものであるというのは知り、嫌な予感はしていた。その予感が正しいかどうか見極めるために今日MIB3を観に行く前に1、2を観て確認したのだが、やはりその予感は持つべき予感だった。というのも、このMIBシ…

ものすごく無神経で、ありえないほど身勝手、なクソガキ! 〜『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』批評〜

9.11で父親が亡くなったことを受け入れられない少年が、彼の遺した鍵を手に、それに合う鍵穴を探す旅に出るヒューマンドラマ。公開前から、他の映画を観に行った際に頭がおかしくなるほど何度も何度も予告編を観せられていたので、うすうす感づいていたが、…

母子癒着と獣姦、そしてSF 〜『スプライス』批評〜

エイドリアン・ブロディ主演のカナダ・フランス合作映画。 企業の出資で遺伝子組み換えの研究をしている科学者たちが、それとは別に、人間の遺伝子を使って生命倫理を脅かすようなある知的生命体を生み出したところから巻き起こるサスペンススリラーだ。話の…

悶絶!イタ面白い映画〜『キング・オブ・コメディ』批評〜

こっちじゃなくて こっちね(お約束) 『タクシードライバー』『レイジング・ブル』などの名作で知られるスコセッシ×デ・ニーロコンビによる5作目にあたるのがこの作品。デ・ニーロの役どころは、超人気TVコメディアンのジェリー・ラングフォード(ジェリー…

就職難で自殺する前に俺の話を聞け!

ここ数日、大学生の自殺が話題になっている。 【悲報】就職失敗で自殺した大学生、初の年間1000人突破 : オレ的ゲーム速報@刃このニュースのつい数日前にも、現在は削除されているが大学生を名乗る人物が自殺をほのめかす匿名エントリーを書いて話題になっ…

「限界シリーズ」はなぜわかりやすくておもしろいのか?〜高橋昌一郎『感性の限界』書評〜★★★★★★★★★☆

感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性 (講談社現代新書)作者: 高橋昌一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/04/18メディア: 新書購入: 6人 クリック: 67回この商品を含むブログ (31件) を見るタイトルでいきなり結論めいたことをいってしまったが、…

綿矢りさ『かわいそうだね?』仮想帯

かわいそうだね?作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/10/28メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 85回この商品を含むブログ (81件) を見る

「男児嫌悪」論は「男児嫌悪」よりもっと深刻な感情をふくんでる

2chの育児板がマジキチと話題に 男児嫌われすぎワロタwwwwワロタ… | ニュース2ちゃんねる 【生地獄】 男児持ちの末路 (プッw) 【因果応報】 http://toro.2ch.net/test/read.cgi/baby/1337757975/ オッサン化する男児ママ vs 可愛い女の子ママ http://t…

川上未映子『ヘヴン』仮想帯

ヘヴン (講談社文庫)作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/05/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (32件) を見る

AKB総選挙が終わってふと考える、評論家の存在意義とは

ガース(に扮した柳下毅一郎) そもそも、この手のベストテンって、いわゆる「名作」しか上位に入らないものなんですよ、絶対に。 ウェイン(に扮した町山智浩) でも、評論家は、ハデに宣伝されないから一般の人が気づかない映画のなかから、新しい作品や才…

森見登美彦『恋文の技術』仮想帯

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2011/04/06メディア: 文庫購入: 25人 クリック: 474回この商品を含むブログ (86件) を見る

ノマドワーカーは人知れずマン喫で作業しろ!!!

昨日読んだおもしろい記事。読みながら、「ほんとそうだよなー」と同意するばかりなのだが。 ノマドワークのススメ的な本が出たり安藤美冬さんなる人が情熱大陸に出演したりとノマドが話題になっていますが、じつは前からすごく気になっていることがあります…

西村賢太『苦役列車』仮想帯

苦役列車作者: 西村賢太出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/01/26メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 266回この商品を含むブログ (120件) を見る