いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座、直毛によるブログ。今ここに、ポスト宮根誠司を目指すことを誓います。

映画

「ダーク・ユニバース」から決別することで傑作になった2020年版『透明人間』

コロナですっかり劇場で鑑賞する機会が少なくなってしまったが、最近観た中で特に面白かった何作かについて感想を書いておきたい。まずは『透明人間』だ。 元々は「ダーク・ユニバース」シリーズとして企画がスタートし、それを断念した末に作られた本作。 ……

これが2020年の『若草物語』 グレタ・ガーウィグが仕掛けた素敵な“詐術”

古典的な名作をリメイクする際には、当然ながら、超えなければならない「ハードル」がいくつかある。 ルイーザ・メイ・オルコットの超超超有名古典『若草物語』を、いま一番イケてる(死語)監督の一人、グレタ・ガーウィグと、『レディ・バード』でヒロイン…

壮観な会社版「強さのインフレ」ケヴィン・スペーシー主演『マージン・コール』 大企業勤めの人ほど観てほしい

マージン・コール (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video ケビン・スペイシー主演の金融映画『マージン・コール』。舞台は2008年の大手投資会社。「リーマンショック」の爆心地である「リーマン・ブラザーズ」をモデルにしている。難しい金融の…

ビル・マーレイに憧れたあの頃…

子どもの頃、ビル・マーレイに憧れていた。 出会ったのは、ビルがピーター博士を演じた映画『ゴーストバースターズ』だ。父親が借りてきたこの映画を観たことが、ぼくの人間性を決定づけることになる。 ゴーストバスターズ (吹替版) 発売日: 2013/11/26 メデ…

鬼才だって仕事は不安と心配でいっぱい!映画『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』

在宅勤務がもう2ヵ月以上続いており、働いているのか働いてないんだか分からないような感覚になってきたのだが、今回紹介する『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』は、仕事について考えさせられる一作だ。 マイ・ライ…

ロッククライマー映画だと思ったら激アツ“バディ・ムービー”『ドーンウォール』

www.youtube.com ロッククライマーといえば、 これとか、 これのイメージしかないド素人で、トミー・コールドウェルのトの字も知らない人間だったが、何の気なしに見た彼のドキュメンタリー映画『ドーンウォール』が凄まじかったので紹介したい。 本作は彼が…

“反”道徳と“非”道徳が激突し、後には何も残さない…暴力映画『ハングマンズ・ノット』の潔さ

www.youtube.com www.netflix.com ここ最近のコロナの影響で、家にこもりがちとなり、ますますNetflix、アマゾンプライム・ビデオへの依存が加速しているのだが、今回は掘り出し物の一作を紹介したい。 京都芸術大学在学中に阪元裕吾監督が撮った本作『ハン…

北欧メルヘン殺りく映画『ミッドサマー』が“ホラー映画”でない理由

www.youtube.com 話題の映画『ミッドサマー』を観てきた。すでに公開前からSNS上で話題となっている作品だが、アリ・アスター監督本人が、「ホラー映画でない」と話していたことが、すでに堪能した一部ファンから「どこがやねん(笑)」と、愛情込みのツッコ…

驚がくの全編ワンカット『1917』劇場で“従軍”すべき理由

www.youtube.com サム・メンデスの『1917 命をかけた伝令』を公開初日に観てきた。第一次大戦中、味方の兵士1600人の命を救うため、伝令に飛び出した若いイギリス軍兵士2人を描いた戦争映画だ。 すでに知れ渡っているとおり、本作は全編ざっと2時間あまりを…

自分の中の「ドキュメンタリー観」のうかつさを恥じ入ってしまう映画『さよならテレビ』の衝撃

観たのは渋谷・ユーロスペースだったが、観終わったあと、劇場の明かりがついてもしばらく座ったまま考え込んでしまった。誰かと話したいことが山ほど出てくる。いい映画を観終わったあとに襲われる感覚だ。 本作『さよならテレビ』は、2018年に制作された東…

“史上最強”ジェニファー・ロペスが股間も心も直撃! 映画『ハスラーズ』がマブすぎる

www.youtube.com ジェニファー・ロペス史上最強のジェニファー・ロペス ジェニファー・ロペスといえば、90年代後半から2000年代まで「エロくて強え女」の人類代表みたいなところがあるのだが、個人的にはここ十数年ほど鳴りを潜めていた印象は否定できない。…

まるでドキュメンタリーの緊張感 “異端であり正統”な震災映画『風の電話』

東日本大震災からもうすぐ9年が経とうとしているが、先週公開された『風の電話』は、異色の「震災映画」だ。 3.11で家族を失った女子高生・ハルが、叔母と暮らす広島・呉から、故郷の岩手・大槌までをヒッチハイクして帰るロードムービーである。道中でさま…

「大人の不在」を通じて『ギャングース』が描く日本の残酷な真実

ギャングース 発売日: 2019/06/05 メディア: Prime Video 一昨年、見そびれて一番後悔していた映画『ギャングース』。『サイタマノラッパー』シリーズの入江悠監督作だが、先週末、アマゾンプライム・ビデオで100円レンタルとなっていたの目ざとく見つけ、つ…

除夜の鐘より100倍迷惑! 映画館でポップコーンを“抽選”する人々

映画館でポップコーンを“抽選”中の人 除夜の鐘が周辺住民のクレームによって取りやめになっているというニュースが、ここ数年は毎年のように年末のSNS上で物議を醸している。個人的には、除夜の鐘なんて「年末感を高めるためのSE」みたいなもんだし、今の家…

【今年もこの季節】2019年度いいんちょ映画祭ベスト10(+ちょっとしたおまけ)

毎年恒例のシネマランキング。今年からは「いいんちょ映画祭」と改称して開催したい。 というのも理由は簡単である。順位付けの徒労感が凄まじいのだ。 ぶっちゃけ、10位と9位、8位のちがい、なによ? という話である。 そんな順位、昨日選んでいたら変わっ…

素敵なファン感謝祭 『男はつらいよ おかえり、寅さん』

シリーズ50周年を飾り、23年ぶりに製作された『男はつらいよ おかえり 寅さん』は、旧来のファンが同窓会のようなムードが漂う、素敵な感謝祭となっている。 今よりはるか以前、本作の企画を聞いたとき、たしか、現実に思い悩む満男(吉岡秀隆)が、長い間帰…

映画『家族を想うとき』が描く「自由な働き方」の欺瞞

ケン・ローチ監督については前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』が、かなり精神的にまいるような内容でオススメだ。今作も身構えて観に行ったが、期待通りというのか予想通りというのか、かなりヘビーな一作であった。 わたしは、ダニエル・ブレイク (字幕…

名作『クレイマー、クレイマー』34歳の俺に刺さった意外なシーン

個人的トラウマ映画『クレイマー、クレイマー』 ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープが夫婦役で共演した『クレイマー、クレイマー』という映画がある。いや、元夫婦と書くのが正しいか。 働きづめの夫テッド(ダスティン)が、子育てなど家のことを任…

「ステマ」がなぜ許されないかが分かる映画『FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー』

「PR」をつけずにファイア・フェスティバルを告知するセレブのインスタ一例 ディズニー映画『アナと雪の女王2』をめぐり、複数の漫画家がSNS上に感想の漫画(主に褒めている)を同時間帯に一斉に投稿し、「これはありのままじゃないんじゃないか?」と、ここ…

上映中にスマホ開くなバカ! 「画面見なくても分かる」映画なんてねえからな

昨日、スマホで見ながら思わず「アホか!」と、声を上げてしまったニュースがあった。 www.moneypost.jp 「なぜかと聞かれると『なんとなくスマホが気になるから』というのが正直なところですね……。映画って2時間じっとしているのが結構耐えられない。そんな…

嗚呼、わが青春の再生メディア! 映画『VHSテープを巻き戻せ!』と思い出話

「巻き戻し」という言葉が、若者に通じないという話題がしばしば浮上する。今や完全に「旧メディア」の烙印を押されてしまい、ぼくも引っ越しの際についにデッキを処分してしまったVHSだが、未だに根強いファンが存在する。 本作『VHSテープを巻き戻せ!』は…

『ターミネーター:ニュー・フェイト』過去作を犠牲にしてでも作られるべきだった理由

『ターミネーター:ニュー・フェイト』。言わずと知れた超大作シリーズの続編で、今回、宣伝でも「正当な続編」と銘打たれたように、主役ではないものの、アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトンが再登場するのが目玉の一つだ。 めちゃくちゃ…

悪女・桃井かおり大暴れ! 映画『疑惑』が“胸糞悪いけど爽快”な理由

おもしろいサスペンス映画を募るまとめサイトで出会った本作『疑惑』。偶然アマゾンプライム・ビデオに入っているので観たが、当たりだった。 桃井かおりが演じる、性悪なホステス球磨子が大暴れする映画だ。 球磨子は、富山のお人好しなお金持ちの再婚相手…

父子の終わりなき薬物依存との戦いを描く『ビューティフル・ボーイ』の壮絶

ビューティフル・ボーイ (字幕版) 発売日: 2019/08/14 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る マーシーこと田代まさしがまたも逮捕された。しみけんとこの人は本当にもう…という感じだが、SNS上にも「信じていたのに…」「またか…」という失望や…

イマジネーションの暴力! 『ロボット2.0』は観た方がいいかもしれない

インド映画というと「ド派手な装飾にミュージカル!」というイメージで、近年では『バーフバリ』シリーズが日本でもヒットしたが、本作『ロボット2.0』は、ロボットが活躍するバリバリVFXのバリバリSFである。 しかし、「ああ、インド人がハリウッド映画パク…

『空の青さを知る人よ』は「いい映画」だけど僕にとって“他人事”だった

映画『空の青さを知る人よ』予告【10月11日(金)公開】 公開中の『空の青さを知る人よ』というアニメ映画を観た。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で知られる製作陣=超平和バスターズによる最新映画である。 主人公は、秩父の山奥に暮らすベー…

あまりに悲しい『ジョーカー』が描く「笑い」の排他性と均一性

www.instagram.com あまりにも理不尽な目にあい、怒りに震えたとき、悲しみにくれたとき、ふと一瞬我に返る。自分がこれだけ激情の嵐に飲み込まれているにも関わらず、外界はいたって平穏だ。これは、自分が狂っているのか? 社会が狂っているのか? いや、…

ブラピがカッコよすぎ! 『ワンハリ』160分を余裕で耐え抜ける圧倒的な魅力

◾️ 「シャロン・テート事件」だけの160分ではない クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が公開されてほぼ3週間が経つ。 1969年のハリウッドを舞台とする本作では、実際に起きた「シャロン・テート事件…

【映画評】黒い天使は善悪の彼岸で軽やかに…実在した美しすぎるシリアルキラーを描く『永遠に僕のもの』

何年か前に、アメリカで「イケメンすぎる凶悪犯」というのが話題になった。その顔を見たことがあるが、なるほど確かにイケメンである。このように美という主観と善悪の価値観は、残酷なまでにすれ違ってでも存在し得る。本作『永遠に僕のもの』は、かつて10…

【映画評】これは恐ろしい「のび太とジャイアン」の共依存、イタリア発の怪作『ドッグマン』

なぜかこの人には頭が上がらない。なぜかこの人には上手に出れてしまうという「主従関係」は、誰しもあるだろう。イタリアの映画『ドッグマン』は、その主従関係が行った先にある取り返しのつかない凶行を描く。 物語は冒頭、牙を剥く猛犬を、ある男が手なづ…