いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

映画

「バスケ映画」に隠された重大なメッセージを見逃すな『ハイ・フライング・バード -目指せバスケの頂点-​​』

「バスケットボールの映画だと思ったらなんだか難しい映画で途中で投げ出した」みたいなレビューを、本作を観た後にネットで目にしてしまった。自分の興奮に冷水を浴びせられるような気になったのだが、もしやと思って見ていくと、そうした「難解」「何が起…

被害者と加害者の対話 あらわになる信教者の素顔と矛盾『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』

www.youtube.com 26年前、日本の中枢でオウム真理教が引き起こした国内初のバイオテロ、地下鉄サリン事件。本作は、この事件の被害者の1人で、猛毒サリンの後遺症に今も悩まされているさかはらあつし監督が、当時の教団幹部で後継団体の広報部長を務める荒木…

“実力主義の皮を被った前例主義” 韓国映画『野球少女』が描く差別の構造

韓国ドラマ『梨泰院クラス』にて、トランスジェンダーの美少年・ヒョニ役を演じた女優イ・ジュヨンが、プロ野球選手を目指す女子高生を演じる、『野球少女』を観てきた。 www.youtube.com この予告編を観てからの「多分こういうのだろうな」という予想からほ…

平穏でとりとめのない、でもかけがえのないアイツとの日々。『パドルトン』が描く“親友”のオルタナティブ

今日はネットフリックス映画『パドルトン』を紹介したい。 www.netflix.com 冒頭の医師との会話なども含め、アレクサンダー・ペインの映画のような、全編ちぐはぐな会話が笑えるコメディーなのだけど、観終わったら胸がいっぱいになるような、不思議な映画だ…

『花束みたいな恋をした』 あまり語られない「出自」の話

ノベライズ 花束みたいな恋をした 作者:坂元 裕二 発売日: 2021/01/04 メディア: 単行本 菅田将暉、有村架純がダブル主演し、坂元裕二が脚本を書いた映画『花束みたいに恋をした』。猛烈に「誰かとしゃべりたい欲」を掻き立てるこの作品において、案の定、ネ…

ミソジニーが引き起こした恐るべきテロの追体験『静かなる叫び』

『メッセージ』、『ボーダーライン』、『複製された男』、『プリズナーズ』、そして約35年ぶりの新作となった『ブレードランナー 2049』を手掛け、さらに今年はSF超大作の再映画化『DUNE/デューン 砂の惑星』の命運を託された、今もっとも注目すべき監督、…

連続殺人鬼に密着する全くありふれていない“モキュメンタリー”『ありふれた事件』

Netflixやアマゾンプライム・ビデオは、オスカーにノミネートされるほどの高水準のオリジナル作品が魅力だが、一方、世間ではあまりU-NEXTの利点が浸透していない気がする。U-NEXTは先の2サービスに比べると、少し昔の知らない映画に出会えるという利点があ…

すべては元帥様のために! 全体主義国家の“検閲”を隠し撮りした異色作『太陽の下で -真実の北朝鮮-』

太陽の下で -真実の北朝鮮-(字幕版) メディア: Prime Video 独断と偏見で言えば、優れたドキュメンタリーは必然、「ドキュメンタリーについてのドキュメンタリー」になっていると思う。昨年衝撃を受けた『さよならテレビ』もそうだった。 ドキュメンタリー…

快作『ヤクザと家族 The Family』がヤグザという「令和のマイノリティ」を通して描いたもの

藤井直人(みちひと)監督の最新作『ヤクザと家族 The Family』を観てきた。 圧倒された。間違いなく、今年の年間ベスト10争いに入ってくる一作だ。 SNSでは坂元裕二脚本の『花束みたいな恋をした』が絶賛され、大いに盛り上がっており、その中でこの作品を…

誰かに認められたい! たとえそれが偽りの姿であっても…映画『ナンシー』がせつなすぎる(ネタバレあり)

ナンシー(字幕版) 発売日: 2020/07/06 メディア: Prime Video アマゾンプライム・ビデオで、レンタルが100円になっており、このサムネイルのインパクトに負けてポチった一作。ということで、大して期待はしていなかったのだけど、これがまたいい意味で予想外…

狂気の眼力に釘付け! 彼は善人なのか? 悪人なのか?『聖なる犯罪者』

ポーランド発の映画『聖なる犯罪者』は、とある犯罪で少年院に収監されていた青年が、出所するところから始まる。この男、ダニエルは収監中に宗教に目覚め、カトリックの司祭になりたかった。しかし、罪を犯した彼に神学校の道は閉ざさされている。彼にはあ…

愛する人、故郷を奪われた者たちの壮絶な復讐劇 『ナイチンゲール』

映画の感想について、ここ数年はあまり書かなくなっていたのだけど、書かずにいることで起きる最大の悲劇は、「あんなに衝撃を受けたのに、感動したのに、内容を覚えていない…!」ということである。 今年は毎月必ず、その月に見た映画で面白かったものを1~…

【450本観た上で決定!】2020年度いいんちょ映画祭ベスト10

2020年もあと10分というところで駆け込み更新! 今年の劇場鑑賞数が73本。昨年が114本だったので、だいぶ減りました。やっぱりコロナの影響は否めない状況です。 ただ家にこもりっきりだった分、全鑑賞数はついに450本ジャスト。自分で言うんもなんですが、…

連休はこれ観とけ! Netflix・アマプラで観られる厳選映画8選【配信限定掘り出しもの編】

前回のドキュメンタリー編に続き、今回は劇映画で掘り出し物を紹介したい。 『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』『ROMA/ローマ』みたいにすでに世界的に評価されているもの、『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』『シカゴ7裁判』『オー…

連休はこれ観とけ! Netflix・アマプラで観られる厳選映画16選【ドキュメンタリー編】

今日から年末年始の休みという人も多いということで、ガラにもなくこういう記事を作ってみた。「いかがでしたブログ()」とバカにしていたのだが、いざ自分で選んで、紹介文も書いていたら時間はかかるはめちゃくちゃしんどいはで、すべてのまとめ記事作成…

本当の“あたおか”は誰? 『ミセス・ノイジィ』が問う「一方的に笑い者にする側」の異常

「ルビンの壺」というイラストがある。心理学者エドガー・ルビンが考案したイラストで、一見、壺が描かれているように見えるが、よくよく見ていると2人の人が向き合っている図にも見えてくる。逆に、2人の人が向き合っているイラストだと思った人が、ふとし…

“青春映画”の皮を被った世界観をめぐる壮大な戦い『町田くんの世界』

毎回、ここで映画について書く前は、いちおうウィキペディアなどスタッフやキャストの略歴を調べてみたりもするのだが、今回は監督がまだ37歳だということに驚いた。俺とたった2つ違いかよ…。今回は、石井裕也監督の才覚に舌を巻いた、『町田くんの世界』を…

寺門ジモン監督映画『フード・ラック!』とかいう最強の“アイドル”映画とアンジャッシュ渡部の亡霊について

『寺門ジモンの取材拒否の店』などの番組で知られる、グルメ超人狂人ことダチョウ倶楽部・寺門ジモン初監督作、『フード・ラック!食運』をようやく観てきた。 寺門ジモンといえば、お肉にうるせーおじさんというのが一般的なイメージだと思われるが、本作の…

弱く貧しい者たちを分断するものの正体 マリオン・コティヤール主演『サンドラの週末』

www.youtube.com 映画は飾ることなく、1本の電話から始まる。昼寝から目を覚まし、受話器をとったサンドラ(マリオン・コティアール)の顔は、すぐに悲しみで歪む。彼女はうつ病からの復職を目指していたが、その電話は彼女に解雇を言い渡すものだったのだ。…

「ダーク・ユニバース」から決別することで傑作になった2020年版『透明人間』

コロナですっかり劇場で鑑賞する機会が少なくなってしまったが、最近観た中で特に面白かった何作かについて感想を書いておきたい。まずは『透明人間』だ。 元々は「ダーク・ユニバース」シリーズとして企画がスタートし、それを断念した末に作られた本作。 ……

これが2020年の『若草物語』 グレタ・ガーウィグが仕掛けた素敵な“詐術”

古典的な名作をリメイクする際には、当然ながら、超えなければならない「ハードル」がいくつかある。 ルイーザ・メイ・オルコットの超超超有名古典『若草物語』を、いま一番イケてる(死語)監督の一人、グレタ・ガーウィグと、『レディ・バード』でヒロイン…

壮観な会社版「強さのインフレ」ケヴィン・スペーシー主演『マージン・コール』 大企業勤めの人ほど観てほしい

マージン・コール (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video ケビン・スペイシー主演の金融映画『マージン・コール』。舞台は2008年の大手投資会社。「リーマンショック」の爆心地である「リーマン・ブラザーズ」をモデルにしている。難しい金融の…

ビル・マーレイに憧れたあの頃…

子どもの頃、ビル・マーレイに憧れていた。 出会ったのは、ビルがピーター博士を演じた映画『ゴーストバースターズ』だ。父親が借りてきたこの映画を観たことが、ぼくの人間性を決定づけることになる。 ゴーストバスターズ (吹替版) 発売日: 2013/11/26 メデ…

鬼才だって仕事は不安と心配でいっぱい!映画『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』

在宅勤務がもう2ヵ月以上続いており、働いているのか働いてないんだか分からないような感覚になってきたのだが、今回紹介する『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』は、仕事について考えさせられる一作だ。 マイ・ライ…

ロッククライマー映画だと思ったら激アツ“バディ・ムービー”『ドーンウォール』

www.youtube.com ロッククライマーといえば、 これとか、 これのイメージしかないド素人で、トミー・コールドウェルのトの字も知らない人間だったが、何の気なしに見た彼のドキュメンタリー映画『ドーンウォール』が凄まじかったので紹介したい。 本作は彼が…

“反”道徳と“非”道徳が激突し、後には何も残さない…暴力映画『ハングマンズ・ノット』の潔さ

www.youtube.com www.netflix.com ここ最近のコロナの影響で、家にこもりがちとなり、ますますNetflix、アマゾンプライム・ビデオへの依存が加速しているのだが、今回は掘り出し物の一作を紹介したい。 京都芸術大学在学中に阪元裕吾監督が撮った本作『ハン…

北欧メルヘン殺りく映画『ミッドサマー』が“ホラー映画”でない理由

www.youtube.com 話題の映画『ミッドサマー』を観てきた。すでに公開前からSNS上で話題となっている作品だが、アリ・アスター監督本人が、「ホラー映画でない」と話していたことが、すでに堪能した一部ファンから「どこがやねん(笑)」と、愛情込みのツッコ…

驚がくの全編ワンカット『1917』劇場で“従軍”すべき理由

www.youtube.com サム・メンデスの『1917 命をかけた伝令』を公開初日に観てきた。第一次大戦中、味方の兵士1600人の命を救うため、伝令に飛び出した若いイギリス軍兵士2人を描いた戦争映画だ。 すでに知れ渡っているとおり、本作は全編ざっと2時間あまりを…

自分の中の「ドキュメンタリー観」のうかつさを恥じ入ってしまう映画『さよならテレビ』の衝撃

観たのは渋谷・ユーロスペースだったが、観終わったあと、劇場の明かりがついてもしばらく座ったまま考え込んでしまった。誰かと話したいことが山ほど出てくる。いい映画を観終わったあとに襲われる感覚だ。 本作『さよならテレビ』は、2018年に制作された東…

“史上最強”ジェニファー・ロペスが股間も心も直撃! 映画『ハスラーズ』がマブすぎる

www.youtube.com ジェニファー・ロペス史上最強のジェニファー・ロペス ジェニファー・ロペスといえば、90年代後半から2000年代まで「エロくて強え女」の人類代表みたいなところがあるのだが、個人的にはここ十数年ほど鳴りを潜めていた印象は否定できない。…