いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

『花束みたいな恋をした』 あまり語られない「出自」の話

ノベライズ 花束みたいな恋をした 作者:坂元 裕二 発売日: 2021/01/04 メディア: 単行本 菅田将暉、有村架純がダブル主演し、坂元裕二が脚本を書いた映画『花束みたいに恋をした』。猛烈に「誰かとしゃべりたい欲」を掻き立てるこの作品において、案の定、ネ…

ミソジニーが引き起こした恐るべきテロの追体験『静かなる叫び』

『メッセージ』、『ボーダーライン』、『複製された男』、『プリズナーズ』、そして約35年ぶりの新作となった『ブレードランナー 2049』を手掛け、さらに今年はSF超大作の再映画化『DUNE/デューン 砂の惑星』の命運を託された、今もっとも注目すべき監督、…

連続殺人鬼に密着する全くありふれていない“モキュメンタリー”『ありふれた事件』

Netflixやアマゾンプライム・ビデオは、オスカーにノミネートされるほどの高水準のオリジナル作品が魅力だが、一方、世間ではあまりU-NEXTの利点が浸透していない気がする。U-NEXTは先の2サービスに比べると、少し昔の知らない映画に出会えるという利点があ…

引っ越し屋さんと修理業者さんとブルシット・ぼく

先日、ドラム式洗濯機の修理業者さんに来てもらった。 4年前に買った我がドラム式洗濯機。1、2年ぐらい前から、脱水のときに素人からしてもこれはただ事ではないという轟音を出し始め、ついに昨年末、脱水が全くできなくなってしまった。 電話して1週間。修…

『推し、燃ゆ』読んで西野とかプペルとか

『推し、燃ゆ』を読んだ。 推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」。主人公は、男女混合のアイドルグループ「まざま座」の青担当、上野真幸を推している女子高生あかり。推しの醜聞に対…

すべては元帥様のために! 全体主義国家の“検閲”を隠し撮りした異色作『太陽の下で -真実の北朝鮮-』

太陽の下で -真実の北朝鮮-(字幕版) メディア: Prime Video 独断と偏見で言えば、優れたドキュメンタリーは必然、「ドキュメンタリーについてのドキュメンタリー」になっていると思う。昨年衝撃を受けた『さよならテレビ』もそうだった。 ドキュメンタリー…

快作『ヤクザと家族 The Family』がヤグザという「令和のマイノリティ」を通して描いたもの

藤井直人(みちひと)監督の最新作『ヤクザと家族 The Family』を観てきた。 圧倒された。間違いなく、今年の年間ベスト10争いに入ってくる一作だ。 SNSでは坂元裕二脚本の『花束みたいな恋をした』が絶賛され、大いに盛り上がっており、その中でこの作品を…

誰かに認められたい! たとえそれが偽りの姿であっても…映画『ナンシー』がせつなすぎる(ネタバレあり)

ナンシー(字幕版) 発売日: 2020/07/06 メディア: Prime Video アマゾンプライム・ビデオで、レンタルが100円になっており、このサムネイルのインパクトに負けてポチった一作。ということで、大して期待はしていなかったのだけど、これがまたいい意味で予想外…

狂気の眼力に釘付け! 彼は善人なのか? 悪人なのか?『聖なる犯罪者』

ポーランド発の映画『聖なる犯罪者』は、とある犯罪で少年院に収監されていた青年が、出所するところから始まる。この男、ダニエルは収監中に宗教に目覚め、カトリックの司祭になりたかった。しかし、罪を犯した彼に神学校の道は閉ざさされている。彼にはあ…

愛する人、故郷を奪われた者たちの壮絶な復讐劇 『ナイチンゲール』

映画の感想について、ここ数年はあまり書かなくなっていたのだけど、書かずにいることで起きる最大の悲劇は、「あんなに衝撃を受けたのに、感動したのに、内容を覚えていない…!」ということである。 今年は毎月必ず、その月に見た映画で面白かったものを1~…

「男女の友情は存在するか?」がなぜ愚問なのか

神スイングのときから大ファン(かなりベタな導入)である稲村亜美ちゃんが直火で炙られる程度にはヤフコメで炎上していたので、今年初エントリーとして猛烈擁護フルスイングエントリーをしたためたいと思う。 「男女の友情は存在するのか?」という問いがあ…

【450本観た上で決定!】2020年度いいんちょ映画祭ベスト10

2020年もあと10分というところで駆け込み更新! 今年の劇場鑑賞数が73本。昨年が114本だったので、だいぶ減りました。やっぱりコロナの影響は否めない状況です。 ただ家にこもりっきりだった分、全鑑賞数はついに450本ジャスト。自分で言うんもなんですが、…

連休はこれ観とけ! Netflix・アマプラで観られる厳選映画8選【配信限定掘り出しもの編】

前回のドキュメンタリー編に続き、今回は劇映画で掘り出し物を紹介したい。 『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』『ROMA/ローマ』みたいにすでに世界的に評価されているもの、『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』『シカゴ7裁判』『オー…

連休はこれ観とけ! Netflix・アマプラで観られる厳選映画16選【ドキュメンタリー編】

今日から年末年始の休みという人も多いということで、ガラにもなくこういう記事を作ってみた。「いかがでしたブログ()」とバカにしていたのだが、いざ自分で選んで、紹介文も書いていたら時間はかかるはめちゃくちゃしんどいはで、すべてのまとめ記事作成…

マヂカルラブリーに優勝もたらした『M-1』の変化 構成力から“文脈”の時代へ?

史上まれに見る3票、2票、2票という僅差の激闘を制し、マヂカルラブリーが優勝を掴み取った『M-1グランプリ2020』。 ファイナルステージだけではない。決勝1本目の1位おいでやすこがと、最下位東京ホテイソンの点差はわずか41点。審査員7人の同大会では最小…

M-1グランプリ2020優勝予想、ムリ!! でもあえてするならば…

ここまでダラダラ先延ばしにして書きそびれていたのだけれど、準決勝の1日限定配信でなけなしの3000円を吉本興業にお布施させていただいた人間として予想させてもらいたい。 とはいいつつも、今年は予想が本当に難しすぎる。 昨年は予選を観ていたらミルクボ…

祝M-1初の決勝! ウエストランドが愛される理由

今年の『M-1グランプリ』決勝進出9組が発表された際、驚きとともに祝福の声、その人数はともかく、熱量がひときわ高かったのが、タイタン所属、岡山県津山市出身の井口浩之、河本太からなるウエストランドに対してだったと思う。 この投稿をInstagramで見る …

Aマッソ、どこにもハマれないカッコよさ

M-1に比べると、キング・オブ・コントについては毎年、優勝者が決まっても「お、おう…」というなんとも言えない感情になりがちだ。全く反対とは思わないけれど、「これでいいのか?」という気持ちが常に付きまとう。 それは、コントのネタの比較すべき共通項…

北欧の子供部屋おじさん、“男らしさ”と縁を切る! 『好きにならずにいられない』

本邦でも「子供部屋おじさん」という言葉が、差別的なニュアンスで流通しているが、どうやら状況は遠い北の国でもそう違いはないらしい。アイスランド発の映画『好きにならずにいられない』は、43歳の独身童貞男が主役のラブコメディ。 主人公は、空港の荷物…

本当の“あたおか”は誰? 『ミセス・ノイジィ』が問う「一方的に笑い者にする側」の異常

「ルビンの壺」というイラストがある。心理学者エドガー・ルビンが考案したイラストで、一見、壺が描かれているように見えるが、よくよく見ていると2人の人が向き合っている図にも見えてくる。逆に、2人の人が向き合っているイラストだと思った人が、ふとし…

“青春映画”の皮を被った世界観をめぐる壮大な戦い『町田くんの世界』

毎回、ここで映画について書く前は、いちおうウィキペディアなどスタッフやキャストの略歴を調べてみたりもするのだが、今回は監督がまだ37歳だということに驚いた。俺とたった2つ違いかよ…。今回は、石井裕也監督の才覚に舌を巻いた、『町田くんの世界』を…

寺門ジモン監督映画『フード・ラック!』とかいう最強の“アイドル”映画とアンジャッシュ渡部の亡霊について

『寺門ジモンの取材拒否の店』などの番組で知られる、グルメ超人狂人ことダチョウ倶楽部・寺門ジモン初監督作、『フード・ラック!食運』をようやく観てきた。 寺門ジモンといえば、お肉にうるせーおじさんというのが一般的なイメージだと思われるが、本作の…

これが本当の夫婦を超えていった先? 『1122』が『逃げ恥』に投げ返したボール

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の続編が新春のスペシャルドラマで放送される。ぼくは原作漫画こそ読んではいるが、TBSが狂ったように何度も再放送しているドラマ版を実は見たことがない。 最終回 夫婦を超えてゆけ 発売日: 2016/12/22 メディア: Prime Vi…

弱く貧しい者たちを分断するものの正体 マリオン・コティヤール主演『サンドラの週末』

www.youtube.com 映画は飾ることなく、1本の電話から始まる。昼寝から目を覚まし、受話器をとったサンドラ(マリオン・コティアール)の顔は、すぐに悲しみで歪む。彼女はうつ病からの復職を目指していたが、その電話は彼女に解雇を言い渡すものだったのだ。…

ウエストランドにニューヨーク “まだ売れてないお笑い芸人”YouTubeが魅力的な理由

お笑い芸人のYouTubeがここ1年ぐらいで激増しているけれど、一口にお笑い芸人のYou Tubeといっても2種類があると思う。「売れている芸人のYouTube」と「まだ売れてない芸人のYouTube」だ。前者と後者でははっきりいって魅力がまるで違う。 何かが「売れてい…

人の幸せで自分の欲望を知る

先月だっただろうか、母親と電話で話していたときに、弟に第2子が生まれたことを知った。「あんた、夕飯の唐揚げは冷蔵庫に入れといたよ」ぐらいのテンションでさらりと言われたものだから、一瞬鼓膜を通った情報の大きさが理解できず、リアクションを取るの…

なぜ『バチェロレッテ・ジャパン』の結末は分断を生むのか

ここ数週間でSNSに狂乱の渦を巻き起こしていた恋愛リアリティーショー『バチェロレッテ・ジャパン』がついに先週末、終幕を迎えた。 その結末、つまりヒロインの福田萌子さんの下した「決断」について、感動している人がいれば、モヤモヤしている人もいる。 …

「石原さとみの結婚相手は一般人であってはならぬ」という“大いなる意思”

石原さとみの配偶者について報じるネットメディアの一例 石原さとみに対してそんなに思い入れがないため、彼女の結婚のニュースを聞いた際にも「今年はサンマが高値 回遊少なく」みたいなニュースと同じで、「ふーん」ぐらいの感想だった。 そんな事はいいと…

「片方しかない靴下」が捨てられない!

先日、引っ越した際に整理したら、片方しかない靴下の多さに自分のことが嫌になってきた。 捨てられない片方だけの靴下たち。特に真ん中のあいつ もともと物を捨てられない性格なんだけど、特に、片方の靴下という存在にはめちゃくちゃ弱い。 片方だけの靴下…

岸部四郎を追悼 『ガキ使』“落とし穴回”を説明する東スポにモニョッたので訂正してみる

岸部四郎が亡くなった。 もうずい分前からメディアで見ていないので「過去の人」といえばそれまでなのだが、それでも一抹の寂しさを感じてしまうのは、『ガキの使いやあらへんで』での通称「落とし穴回」が脳裏にあるからだろう。ぼくにとって岸部さんといえ…