いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

鬼越トマホーク『ゴッドタン』で見せた「セルフ文春砲」の生き様 きっかけは後輩芸人からの批判だと邪推してみた

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突然始まった「セルフ文春砲」

先週の『ゴッドタン』(テレビ東京系)に出演した鬼越トマホークがかっこよかった。

 

これだけを聞いて「あ、番組は見てないけど、ハゲの方がアイドルと付き合ってるって告白したんだっけ?」と、ネットニュースか何かで情報としてだけ知っている人も、ぜひ、本編を見てもらいたい。もう1時間を切ってしまったが、まだTVerで見られるので確認してほしい。

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「アイドル公式お兄ちゃんは俺だ! 選手権」というアイドルを見守る立場になりたいテイなのに、そこでわざわざ(元)アイドルと付き合っていることを言っちゃうという文脈上のおもしろさだけでなく、この夜の鬼越は生き様からおもしろかった。

見届人的立場のプロインタビュアー・吉田豪の「鬼越さんのほうが僕は心配」という言葉をきっかけに、何かに火がついた様子の坂井良多が、「豪さんどういうことですか!?」「豪さん全部言ってください!」とバッキバキにきまった目でリクエストを始めると、自身が「剥がし」のスタッフとして働いていた現場のアイドルグループの元メンバーと現在交際していることをあっさり白状してしまった。

この状況にスタジオは大混乱に陥り、今まで散々箝口令を仕掛けられていたという相方・金ちゃんが、積年の恨みを晴らすかのように、次から次へと相方の交際事情を話す、ある意味『ゴッドタン』らしい企画の趣旨をぶち壊すような展開となった。

平場は強いけどネタが弱い

芸能界でほとんど唯一、ガーシーチャンネルと友好関係にあるとされる鬼越トマホークだが、2人が世に出るきっかけは千原ジュニアに見出された「ケンカ芸」だ。2人が取っ組み合いのケンカを始め、それを止めに入った第三者に芯を食った毒舌を浴びせる、というよく考えたら不思議なフォーマットの芸だが、2人はその後も、悪口・暴露・ゴシップの黒い三拍子でテレビのみならずラジオ、YouTubeでも活躍の場を広げる。

爆笑問題のラジオで大爆発し、ナインティナインのラジオではまた別の意味で大爆発し、平場ではめちゃくちゃおもしろい2人なのだが、ことに「ネタ」ということではこれまで目立った活躍ができていない。2人が縮こまって漫才をしている姿はまるで、ノゲイラホーストナチュラルパワーで半殺しにしたのに、モーリス・スミスにボクシングを習った後は突然しおらしくなってしまったボブ・サップのようだ。

きっかけは川瀬名人による鬼越批判?

しかし、彼らの暴露の矛先を自分たちに向けるのは、何も今回が最初ではない。金ちゃんの実家の居酒屋で○○○が取引されていたとか、実父がある事情で小指がないとか、事務所の先輩の友近が嫌いだとか、これまでも散々自分たちにとって自殺点になることもしゃべってきた鬼越だが、ここに来て、今までトップシークレットだったはずの「坂井がアイドルと付き合っている」というパンドラの箱に手をかけたのには、あるきっかけがあったのではないかと邪推している。

それは4月に鬼越のYouTubeに後輩のゆにばーす・川瀬名人が出演した回だ。かたやM-1決勝常連、かたや「お笑いコンビ」としては邪道な悪口・暴露・ゴシップで暗躍する2人。一見、水と油のように見えるが、両者は実は友好関係にあり、テレビ出演は通常断っている川瀬名人も、鬼越のYouTubeにはたびたび出演している。

しかし、そんな友好関係にあったはずの川瀬名人が、この回は先輩・鬼越に対して「真芯」を食った悪口を浴びせたのだ。

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川瀬は、かつて鬼越が並み居る先輩芸人たちに浴びせた「悪口」に立ち返る(名言はしていなかったが、これらはすべてジュニアが出演する、奇しくも『ゴッドタン』の直前に放送されていた『ざっくりハイタッチ』だと思われる)。

川瀬は、鬼越がジャングルポケットに放った「お前らの単独ライブ誰も見に行かない」に対しては、「(鬼越は)単独すらしてない。ジャングルポケットさんはそれでも定期的に単独やっている」、ジャルジャルに放った「(営業でスベってるらしいな。)シュールを盾に客から逃げるな」に対しては、「ゴシップを盾にネタから逃げるな」、と見事な意趣返し、見事なブーメランを鬼越の脳天に突き刺してしまったのだ。

「暴露芸」の総決算か、決意表明か

動画の配信が4月23日で、そこから約1ヵ月後となった今回の番組。もしかして、2人は、川瀬によって脳天に突き刺さされたままの、目には見えないブーメランを意識していたのではないか。

そう考えると、『ゴッドタン』で「そこまで言って大丈夫か?」という現場の雰囲気を察した坂井が放った「人の悪口でやってるんだから自分のスキャンダルなんて全部バラけさすよ」「かっこ悪い芸人にはなりたくない!」という言葉が、より一層かっこよく聞こえてくる。

川瀬名人は鬼越に対して、劇場に戻ってきてまたネタをがんばってほしい、と前向きな提案をしていた。川瀬の言葉を受けたあとの、この真逆を全速力で突っ切るような「セルフ文春砲」である。もしかするとこれまでの暴露芸の「総決算」的な意味合いがあったかもしれないが、一方で、「やっぱり俺達にはこれしかできない」という決意表明≒開き直りのようにもとれる。

しかし、どちらにせよ、言えることがある。TVerを見るときに確認してほしいのは、鬼越の暴露をそばで聞いている時の、世の中にこれ以上おもしろいことはないというぐらいの笑い方をする劇団ひとりおぎやはぎの姿だ。こんなに人を幸せそうな顔にできるのだ。ネタはイマイチ、人の悪口で笑いを取る。でも、そんなお笑い芸人がいたっていいのではないか、と思えてしまう。