いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

ネタとリアルマネー

ワセジョ事件に続いてクラウドファンディング周辺がくすぶってるけれど、ぼくの中では、日本のネット社会とリアルマネーは、根本的に食い合わせが悪いんじゃないかという漠然とした直感がある。

というのも、「バカと暇人のもの」である日本のネット社会では、そのほとんどの出来事はネタとしてあつわれているからだ。厳密な統計をとった訳ではないけれど、おそらく日本のネットの一般ユーザーのほとんどは、ユルいネタ提供元としてネットを使っているにすぎない。実名登録が原則のフェイスブック上で、多くの日本のユーザーがいきなり聖人君子仕様になるのは、「マジ」にまだ慣れていないからに他ならない。

それに対し、リアルマネーというのは否が応もなくマジなものなのである。払えばなくなるし、返してもらうにはそれ相応の手続きが必要になってくるめんどくさいものであって、いいね!やはてなスターをつけるのとはわけがちがう。

このネタ的な空間で、マジのお金が見境なくやりとりされ始めれば、そりゃトラブルが起きてもしょうがないというもんじゃないだろうか。


ひとつ言えるのは、id:pha さんとその行動を「ったくしょーがねーなもうw」と面白がれるような人たち――いわば「わかっている人たち」というのは、ネット上でもネタリテラシーの相当高い層ということだ。現実社会では、ニートってだけで冷たい視線の蜂の巣になるということは、体感しているぼくが言うのだから間違いない――そういえば「ニート詐称だ」と怒っている人がいて、そこに大いなる価値転倒があるのに気づいてないところが滑稽のだが。
そんなニートの身であるにもかかわらず、本を書くためとはいえ支援金を募るid:pha さんの呼びかけに快く応じる人が出てくるのは、もちろん彼の人格的な魅力(キャラ萌え)によるところも大きいけれど、まず大前提として支援する彼らが「わかっている人たち」だからだろう。そしてそんな人たちは、ネット人口の中でもかなりの少数派だ。そうした(おそらく)古参のウェブ紳士たちでないかぎり、ネタ的にリアルマネーを使うのは危険だ。

ワセジョ案件も、本来は「ったくしょーがねーなもうw」というネタとして笑い飛ばして消費する案件だったんじゃないだろうか。事後対応のマズさが事態を悪化させたところはあるものの、基本的にはネタとマジの齟齬がトラブルの根幹にあるとはいえないか?

もちろんこれは、あんなのにマジでお金だしたヤツがバカだよねっていう話ではなく、マジになってお金を出す人がいるからこそ、一部の例外をのぞけば、出してもらう側もマジで取り扱わないとダメだよなーっていう話。