いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

「男児嫌悪」論は「男児嫌悪」よりもっと深刻な感情をふくんでる

2chの育児板がマジキチと話題に 男児嫌われすぎワロタwwwwワロタ… | ニュース2ちゃんねる 2chの育児板がマジキチと話題に 男児嫌われすぎワロタwwwwワロタ… | ニュース2ちゃんねる

【生地獄】 男児持ちの末路 (プッw) 【因果応報】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/baby/1337757975/
オッサン化する男児ママ vs 可愛い女の子ママ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/baby/1335696955/
堕胎堕胎堕胎 →【男児なら】 ← 堕胎堕胎堕胎
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/baby/1337774803/
男はダメ】男児いらない7【男の子は産みたくない】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/baby/1336633543/

少し前に、2ちゃんねるの育児版でこういうトレンドがあるのを知った。ここではわかりやすく「男児嫌悪」と呼ぼう。
この「男児嫌悪」の背景には、今まで「息子が生まれた人生パターン」にあった幻想の形骸化があるのだろう。それはつまり、息子が何の問題もなく育ち、いい大学に入りいい会社に入り、いいお嫁さんといい孫とともに幸せな家庭を築き、最終的に自分の老後の面倒を見てくれる……という幻想だ。今ではいい会社どころか正社員になることも一苦労で、結婚どころか恋愛したことがあるの家すら怪しい。そんなダメ(といってもこれは生まれた時代という「運」も多分に作用しているが)息子に、このような幻想は到底抱くことができないわけだ。
褒められた感情ではないが、一面的に悪い話ともいえない。たとえばイエ制度に象徴されるような家父長制はもちろん今の時代には存在しないが、その残滓のようなものはまだあったわけだ。ほら、死ぬ思いをしてやっと産んだ自分の長女を病室にやってきた義母が抱きかかえながら「今度は男の子でちゅねー」と満面の笑みで言う――ああいう世界観ですね。こうした家父長制の残り香から日本人が自由になれた――これその兆候的な「症状」なのかもしれない。
ただ、先にリンクを張ったスレで吐き捨てられている数々の男児嫌悪の吐露の言葉には、どこか反動形成的なにおい(つまり酸っぱいブドウ=男児的な)を感じないこともないが、まぁそれは置いておこう。


しかし、こうして“男児幻想”が崩壊した一方で、この男児嫌悪にはどこか不気味な「もう一つの幻想」の存在を感じざるを得ない。

14:風吹けば名無し:2012/05/29(火) 17:02:38.35 id:YlQ72xv8
>>9
このご時勢跡取りが必要になる機会がそんなあるのかね、農家だって減ってるのに
女の方が両親の面倒は見てくれるで

以前にもこんな話をラジオで聴いた(4分12秒ごろから)。

息子は頼りにならないが娘なら老後の面倒をきっとみてくれるはず、という根拠のない幻想。ぼくは男児嫌悪そのものよりもむしろ、そんな風に男児に比べることで相対的に浮上してくる「女児待望論」こそ、実は一番マズいんじゃないかと感じた。この分野に関してはこの人が第一人者だろう。

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

本書に出てくるのは、自分の人生と娘の人生が区別できなくなった悲しき母親たちだ。あくまでも娘たち――特にこの本に出てくる娘たちのほとんどは責任能力があるれっきとした大人であり社会人だ――は彼女たち母親とは別の、もうひとつの人格だ。にもかかわらず、この本に出てくるのはそのことが実感として理解できず、あたかも自分の生まれ変わりであるかのように娘を支配する母親たちだ。もっとも、そんな彼女らが絶対的悪ならば話は簡単で、彼女らもある意味「被害者」であることが、問題を難しくしている。
ぼくは育児版の「男児嫌悪」と表裏の関係にあるこの「女児待望」論に、「重たい母」の面影をみる。現実的に考えて、生まれてまだ間もないわが子に、そんな重責を勝手に追わせることができるのだろうか。
男児嫌悪なら最悪、まだ生まれてもいない男児についての話だ(もちろんすでに生まれた自分の息子にそのような感情を持ち続けるのは危険だが)。その一方で、女児を待望し、実際に生まれた娘に自分の人生をも仮託することができたつもりになることは、母娘ともにあとあと大きな代償を払わされそうな気がしてならない。