いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

過去作品にも悪影響をおよぼす続編って……〜『メン・イン・ブラック3』批評〜

予告編で『メン・イン・ブラック3』がタイムトリップものであるというのは知り、嫌な予感はしていた。その予感が正しいかどうか見極めるために今日MIB3を観に行く前に1、2を観て確認したのだが、やはりその予感は持つべき予感だった。というのも、このMIBシリーズというのは、お話としては基本的に雑だからである。単線時系列的に進んでも雑なのだから、そこにタイムトリップ要素が加われば、なおさらこんがらがるのではないか?

結論から言うと、その予感は的中した。このMIB3、設定がめちゃくちゃである。
もう、どこからその設定の不備を指摘していいのかわからない。例えば、ある人物が過去の自分自身と会う。この「過去の自分と会うというトラブル」は、これまでのタイムトリップものでも使われてきたが、この問題をいかにあつかうかでその作り手たちの慎重さがうかがえるのだが、このMIB3ではそれが問題にすらなっておらず、二人がのんきに会話してしまっている。この設定のガサツさで、全体のガサツさも想像できるだろう。

さらに、タイムトリップ設定も満足に制御できていないのに、よせばいいのに五次元を生きているという設定の人物も登場。こいつはJが過去で会うのだが、彼はどうやら未来が見えるというのだ。エイリアンものの上にタイムトリップものがきて、その上にさらに超能力ものが乗っかるという二郎もびっくりのトッピングだ。

もう割り切ろう。この3は、Jが過去で殺されたKを救いにタイムスリップしてバシッと解決めでたしめでたし、な話と。あらゆる疑問はニューラライザーでピカッとやってきれいさっぱり消して、目の前で起こるハチャメチャな展開に、頭を預けるのだ。

そもそも、MIBのとくに1の記録的大ヒットの背景には、前年には『インディペンデンス・デイ』が公開されたものの、97年当時まだCGやVFXが観客に物珍しかった過渡期という偶然の文脈があったと思う。それから、このウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの黒ずくめ出グラサンの2人の男というのが、もはや一つのポップアイコンとして成立していることも、それに拍車をかけている。
こういうやつね↓

あの絵になる二人の並んだ感じが、観る前から必要以上に映画を面白いと予感させてしまうのだ。

まぁ、さっきも言ったが割り切ってみたら、普通にドンドンバンバンがあって面白くないわけではない。いや、はっきりいって面白い。前作2から数えると10周年ということで、ファン感謝祭的な気持ちも込められていたのかもしれない。
しかし、そんなファンの人でも今回の3を観た後で1や2を観なおせば、「え?こいつはこの時点であの事を知ってんだっけ?」みたいな疑問がふつふつと湧いてくるはず。すでに完結した過去作を観るのにも悪影響を与えるんだから、まったくもって罪作りな続編だなーとは思う。

それにしてもこの二人、似てんだよなー。見慣れたCGよりも、今回はこちらに驚いた。