いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

陰気で不毛な「戦犯さがし」文化

WBC日本代表、負けちゃいましたね。ぼくは地元のスター山本浩二が迷将といわれながらもちゃっかり勝って、最後に宙を舞う姿を期待したんですが、今回ばかりは運を味方につけられませんでした。忘れている人もいるかもしれませんが、今回も開催前に日本球界が出場しないとゴネてたじゃないですか。ゴネながら3連覇しちゃう日本って、めちゃくちゃかっこいいよなぁと思っていたんですが、残念です。


さて、そんなWBCですが、早くも「戦犯」などのおどろおどろしい言葉がネットで飛び交っています。

ぼくは、「戦犯さがし」ってすごく不毛だと思うんですよ。
それは、「戦犯」とはしばしば「その人がいないとチームが成り立たない人」だからです。
今日の試合も、チャンスでの「謎のダブルスチール」で後れをとった井端にしろ、タッチアウトになった内川にしろ、誰も強くはいえないでしょう。彼らがいないとここまでこれなかったというのを、多くの人は痛感しているはずです。
では、多くの人にその采配を叩かれ続けた山本監督はどうか。彼だって、散々難航した監督選考の末に、火中の栗を拾う形で監督になった。大げさに言えば、彼がいなければ出場辞退危ぶまれたほどの重要人物です。


さらにもう一つ、根本的な理由として、「戦犯さがし」が不毛なのはこの大会が一発勝負だからです。また次に選ばれる選手もちがってくるでしょうし、状況も変わるでしょう。今さら「戦犯」を祭り上げても仕方ないわけです。


「戦犯」や反省点を逐一探さなければならないのは、むしろ長いシーズンの方です。もし今日の試合の「戦犯」が見つかりその選手のプレーが改善できれば、明日の敗戦がなくなるかもしれない。

けれど、ファンっていうのは、長いシーズン中には「戦犯さがし」で盛り上がらないんですよね。これが不思議。
おそらくそれは、「次がある」からなんでしょうね。「次がある」から、今日の敗戦はさっさと忘れてしまおうとなれる。けれど、「次がない」場合は、取り返しがつかないわけです。

ここには、人間が取り返しのつくことにはあまり反省せず、取り返しのつかないことにこそ強い後悔を抱くという教訓が隠されています。取り返しのつかないことだからこそ、せいぜい「戦犯」を作ってスケープゴートにして憂さを晴らそう、となる。でもそれって、すごく陰気な文化なんじゃないかと思います。
「戦犯」が見つかったってどうにもならないのです。
「お前のせいだ」と言うことですっきりはするでしょう。けれど同時に、そこには何ともいえない疲労感が押し寄せてくるんじゃないでしょうか。