
現在、オフシーズンの「Mリーグ」だが、各選手を語るうえでなくてはならないものがある。二つ名、ニックネームである。
純粋な競技麻雀として観戦している人には、「何が二つ名だ。そんなものは雀力はおろか、麻雀の勝敗にも関係ないぞ」と思われるかもしれない。
しかし「Mリーグ」はあくまでも興行であり、競技であると同時にエンターテイメントの側面もある。いにしえの格オタの自分からすれば、たかが二つ名、されど二つ名だ。
ということで、今回は2024‐2025シーズンを戦ったMリーガー36人の二つ名、ニックネームをランキング化した。もちろん、こんなものに正解などは存在せず、評者の独断と偏見によるところだが、自分なりに下記の4つを指針にしている。
・表現力
・キャッチーさ
・オリジナリティ
・定着度
なお、二つ名が複数ある選手もおり、そうしたときは最も有名なものか、評者が気に入っているものの方を取り上げた。
では早速行ってみよう。
SSS(最高。考えた人のセンスを称える)
第1位:ゼウスの選択(鈴木たろう)
大好き。何よりたろうさんのあのどっしりとした体格に、ふてぶてしくもあり、たまに神々しくもある雰囲気を「ゼウス」の一言でまとめた発案者の天才に嫉妬するレベル。「ゴッド」じゃダメ。やっぱり「ゼウス」なの。ときに見るものを驚かせるたろうさんのアクロバティックな手牌進行を「選択」とまとめた点もいい。
SS(ぴったり。素晴らしい)
第2位:戦闘民族(鈴木優)
言うまでもなく鳥山明『ドラゴンボール』からの拝借なのだけど、親のリーチに対してもギリギリまで押しまくる優さんの攻撃的雀風を表現していて素晴らしい。
第3位:軍師(勝又健志)
「麻雀IQ220」もあるけど、断然こっちを推したい。ヒゲを蓄えた勝又さんの戦国武将みたいな男くさい風ぼうと、チーム内も一目置かれている立ち位置、評価が高い解説での明朗な語り口も含め、「人に説く」のが似合うから「軍師」というのがぴったり。
S(とても好き)
第4位:ヤンチャな貴公子(本田朋広)
以前までは「北陸の役満プリンス」だったが、こちらの方が断然良い。たろうさん並の「そこから鳴くの!?」というアクロバティックな雀風を「やんちゃ」と評したのが素晴らしい。唯一のデメリットは、同名タイトルのラノベがあるようで、検索上は不便なこと。
第5位:小さな天才(堀慎吾)
よく考えたら前半は褒めてないんだけど、シンプルで分かりやすいし、シンプルなのがカッコいい。「天才」は安易に使えないリスキーな言葉だけど、この人に使っても誰も文句言えないというのもある。
第6位:二刀流ブルドーザー(鈴木大介)
プロ将棋棋士というのも踏まえて「二刀流」とまとめるのはありがちだけど、さらにそこに「ブルドーザー」という要素を付け加えてグッと良くなった。卓上のすべてをなぎ倒していくような高打点を狙う雀風を上手く表現している。
A(好き)
第7位:卓上の暴君(瀬戸熊直樹)
「卓上の~」シリーズ。シンプルだけど、どっしり構えでドカンと和了り、時折いつまで和了続けるんだという瞬間があるのを「暴君」と評したのがよい。
第8位:魔王(佐々木寿人)
短いし、分かりやすい。寿人さんには他に「麻雀攻め達磨」という二つ名もあって、ハマった時に追撃の手を緩めない雀風を評しているとは思うけど、元ネタがいにしえの甲子園ネタすぎておっさん世代以外にはピンとこないと思う。
第9位:繊細なる超巨砲
正反対の2語をくっつけるのはコピーのよくある手法なのだが、上手くハマってる。
第10位:龍を継ぐ者(仲林圭)
まず字面がカッコいいし、物語性を感じる。これも評価ポイントの1つとして上げたい。一読では「?」となるけど、興味を持って調べたくなるのがいい。で、調べたら少し熱い話が出てくるのでおすすめ。
B(悪くない)
第11位:麻雀サイボーグ(小林剛)
意外と少ない「麻雀◯◯」シリーズの二つ名。最近では「実は人の気持ちを思いやれるいい人」という説が蔓延してキャラ崩壊疑惑があるけど。
第12位:モンキーマジック(猿川真寿)
名字にかけてていい感じ。カッコいい。ただ、思いつくのにかかった時間3分ぐらいじゃね? と思ってしまったけども。
第13位:卓上の魔術師(園田賢)
もはや長尺インタビューが「Mリーグ」名物になっているが、仕掛けを駆使する雀風を「魔術師」と評したのがよい。もはや「おしゃべり鳴き野郎」とかでもいいと思うけど。
第14位:笑顔のサンシャイン(日向藍子)
二つ名の中ではあまり知られてない方だと思うけど、「日向」という名字と笑顔がトレードマークの本人のかけ合わせが見事。公式実況・日吉辰哉の発案らしい。センスあるなあ。
C(俺はいいとは思わんけど絶対替えるべきとも思わん)
第15位:最速最強(多井隆晴)
本来なら抽象的すぎてダメなんだけど、「俺はいいとは思わんけど絶対替えるべきとは思わん」の最たるもので、もはや多井さんと言えば「最速最強」なのでこのままで。
第16位:レディベルセルク(高宮まり)
カッコいい。先行する漫画作品のタイトルもあって、「なんかよくわかんないけど、イカつそう」というのは伝わってくるし、本人の攻撃的な雀風ともマッチしている。
第17位:朱きヴァルキュリア(伊達朱里紗)
本人の名前の「朱」を取ったのが上手い。「ヴァルキュリア」はよくわからないけど、「なんか強そう」なのは伝わってくる。声優との兼業だからといって安易に「声優」とか「二刀流」と入れなかったことも評価したい。
第18位:卓上のヒットマン(松本吉弘)
アディダスのジャージ姿で他の組にかちこみにいきそうなイカつい風貌も相まって「ヒットマン」というのはピッタリ。
第19位:麻雀バガボンド(滝沢和典)
「Mリーグ」史上唯一の移籍経験者だし、バカボンド(放浪者)という二つ名はあり。見た目もかっこいいし。何なの? 昔試合後のインタビューで「カンチャン即リーあと引っ掛けおじさん」への改名を宣言していたけど、公式には採用されなかったっぽい。
第20位:卓上の舞姫(二階堂亜樹)
これも「卓上の~」シリーズ。「舞姫」はもうよくわからないけど、今さら変えるほどでもないしなあ感。
第21位:麻雀シンギュラリティ(渡辺太)
パッと見よくわからないんだけど、新世代感があってよい。
D(できれば変えた方がいいと思う)
第22位:麻雀ハイブリット(白鳥翔)
率直に言って「何と何の(ハイブリッド)?」と疑問。一時期「供託泥棒」というのがあったらしいけど、安易すぎる。みんなするよ供託泥棒。「白鳥翔」という名前にあの華やかな見た目だし、せっかく天鳳位獲ったんだから、もっといい二つ名をもらってもいいと思う。
第23位:強気のヴィーナス(黒沢咲)
意外にも「セレブ」というのは二つ名ではないのね。安い和了りを拒否し、少しアンバランスとさえいえる面前至上主義、高打点至上主義な雀風をとらえて「セレブ」と評したのは上手いと思うんだけどなあ。強気のヴィーナスは正直、ボンヤリしている気が。
第24位:二階堂瑠美(天衣無縫)
意外とない四字熟語系二つ名。念のため「天衣無縫」を調べると「詩や文章に技巧がみられないのに、自然に素晴らしい出来栄えであること、また、その人の人柄や言動が、無邪気で飾り気がないことのたとえ」という意味で瑠美さんに通じるものが確かにある。「卓上の変顔」でもいいのでは(酷い)。
第25位:魔神(渋川難波)
どうググってもピンとくる理由は見つからなかった。本のタイトルにもなっちゃったけど、まだ間に合う。変えた方が良いと思う。
第26位:手順マエストロ(内川幸太郎)
この二つ名を見るたびに、「麻雀プロたるもの全員手順マエストロであれ」と俺の心の中の千鳥ノブが疼く。悪くはないんだけど、誰でも当てはまるような文言は、二つ名にしてほしくない。
第27位:逆襲のヘラクレス(浅井堂岐)
たぶん筋トレしてるから「ヘラクレス」なのだろうけど、「何からの逆襲?」となってしまう。こういうなんとなく置きに行く言葉が微妙。皮肉にも今季の個人成績低迷によってこの二つ名がぴったりになってしまった。来季の逆襲のヘラクレスに期待。
第28位:純卓のインフルエンサー(中田花奈)
率直に言うと、本人に二つ名が負けてる。もっといいのを作ってあげてほしい。「手順は下り坂系」とか? ダメに決まってるだろ。
F(いますぐ変えたほうがいい)
第29位:雪原の求道者(萩原聖人)
なんでハギーだけキャッチコピーの時点で耐え忍ぶ苦しい試合展開が暗示されてんねん、というのがツッコミどころ。「三色おじさん」は無理でも、もっと前向きな二つ名に変えてあげてほしい。稀代の俳優つかまえてこれはかわいそう。
第30位:清純派黒魔術師(菅原千瑛)
「黒魔術」は面白いのだけど「清純派」がよくわからないし、そもそも7文字すべて漢字って読みづらすぎる。定着させる気がないのか。ウィキペディアによると本人も替えたがっているらしい。
第31位:無敵のタイタン(竹内元太)
高身長を評して「タイタン」はいいとして、「無敵の」は置きにいきすぎ。思考停止すぎ。一説では「ベタオリ十段」を本人が提案したらしいが、却下されたという。却下する気持ちもわかるけど、「無敵のタイタン」よりはいいと思うけどなあ。
第32位:孤高の探求者(醍醐大)
率直にいって安易すぎ。「こんなの誰でも当てはまるぞ」というのがダメダメ。誰だって麻雀打ってる最中は孤高の探求者なのだよ。今季MVPで優勝の立役者にこのぼんやりした二つ名はもったいなすぎる。「先切り十段」じゃダメなの?
第33位:天才すぎるオンナ雀士(茅森早香)
「すぎる」がダサいし、「オンナ」がカタカナなのもなあ。昭和。「監督」要素も加わるし、もう少しなんとかならんのか。
第34位:聡明なるバイプレイヤー(浅見真紀)
まずコピーの時点で「バイプレイヤー」(脇役)に指定するのが、本人に失礼。もしかして本人が提案したのかもだけど。このあたりチームの旧制高校的と言うか、エリート男子校的な選民意識が見え隠れする(偏見ですよ偏見)ように思えるのは俺の心が汚れているだけ?
第35位:気高き女海賊(瑞原明奈)
「モンキーマジック」と同じく3分で考えてそう。猿川のはまだ個性が出ていていいのだが、こちらはほかの女流プロがチームに入ってきたら代替可能じゃね? という安易さがある。これだけ本人はキャラが立っているのに、もったいない。あと、「“女海賊”って、海賊が男のものって決めつけじゃないですか?」と、俺の心の中のフェミが叫んでいる。
第36位:完全武装アフロディーテ(岡田紗佳)
最下位はこちら。別に今季の成績を反映しているわけではない。もはや意味不明だし、何を言いたいのかがピンとこない。何より全く定着していない。テレビタレントとして近年あれだけ活躍しているのに、こんなのを来シーズンも使い回すのはもったいない。つーか、グラビア・タレント時の二つ名「役満ボディ」が強すぎる説あり。ただ、これをMリーグで使うのはなあ…感。