いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】オブリビオン ★★★★☆

公開初日の昨日、観に行ってきた。カウンターでチケットを買う段になり「オブリビオン」なのか「オビリビオン」なのか、それとも「オバリビオン」なのかわからなくなりドキドキしながら購入した。トム・クルーズSF映画。「オブリビオン」が正解。


21世紀、人類は地球外生命体スカヴとの全面戦争に勝利したものの、核兵器により地球を住めなくなってしまった。避難した人類は地球の近くにテットという名の巨大なコロニーを設け、そこを仮住まいとし、土星の月タイタンへの移住を準備をしている。
地球には水を採取するためのプラントが設置される。2077年、トムさん演じるジャック・ハーパーは、その採水プラントを警備するドローンという機械(ボール型の無人型迎撃機)の修理屋として地球に残ったたった二人の人類のうちの一人だ。
オブリビオンとは「忘却」を意味する。ジャックと彼の「最高のパートナー」ヴィクトリア(アンドレア・ライズボロー)は、任務に必要ないということで予め記憶が消されており、おそらくタイトルはこのことを指している。忘却は追々ストーリーの要となっている。


未来SF映画というと、やはり世界観がキモで、本作がどうなのかというこれがまたワクワクしてくる。
この「オブリビオン」、前半はストーリー的にやや退屈だが、だれもいなくなった地球の黒土を、トムさんがただ一人飛行機やバイクを走らせるところなど、すごくいい。最近でいうと、リドリー・スコット『プロメテウス』で主人公らが降り立った惑星に雰囲気が近い。もっとも映画の出来としては断然本作の方がましであり、このことは後述する。
他にも、ジャックとヴィクトリアは普段地上からはるか頭上の居住スペース、ドラゴンボールでいうところの神殿みたいなところに住んでいる。あんな雲の上に吹きさらしの透明なプールなんて怖すぎるだろというツッコミようはあるが、白を基調にしたデザインもすごく気持ちがいい。
前者の黒土の大地も、後者の居住スペースも、共通しているのはポカリスエットのCMにうってつけな風景だということだ。バイクから降りたトムさんがさっとポケットからポカリを取り出しゴクゴク飲みだしても、なんら違和感ない。

ちなみにヴィクトリアはキャスターの大桃美代子に顔が少し似ていて、後半ジャックにとって重要なもう一人の女性が現れ「三角関係」になってしまったのは、さもありなん。彼女はこのあとやっぱり酷い目に遭うが、酷い目に遭えば遭うほどさらに大桃に似ていったと感じたのはぼくだけだろうか。


予告編でも公開されているのでネタバレにはならないと思うが、「やっぱりまだ地球に人がいたのね」という展開である。
が、もちろん原作小説によるところなのだろうが、『プロメテウス』よりはるかにましと思えるのは、ここから主人公らが立っていた前提がまちがっていたということが明かされ、どんでん返しが連続するのである。ここらへん、正直なところこの映画に対してあった低い期待値を軽々と越えていってくれた。
食糧難といわれていたはずの地球の地下でどうやって彼らは生きながらえていたのかという疑問や、地球全土を巻き込んだ話のはずなのにこじんまりとした印象を残すことへの違和感はあるが、それらはあまり気にならない。

ちなみに、途中で「なんちゃってプレデター」みたいなのが出てくるので、見逃さぬよう注意しておいてほしい。