いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ジュピター

マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉弟による最新映画である。ミラ・クニスを主演に迎え、地球の存亡をかけた壮大なスペースオペラになっている。

宿命の星の下に生まれた女ジュピター=ミラ・クニスだったが、成人した彼女は清掃員として貧しい生活を送っていた。そんなジュピターのもとにある日、彼女を守ろうとする宇宙人と彼女を殺そうとする宇宙人が両方現れ、攻防をおっぱじめる。ジュピターは、彼女を守ってくれたハンターのケイン=チャニング・テイタムから衝撃的な事実を聞かされる。自分は、宇宙の女王の生まれ変わり(遺伝子が一致)だというのだ。

ストーリーの前半は、宇宙の支配者であるアブラサクス家の3兄妹が、突如女王の継承者として現れたジュピターを巡って繰り広げる駆け引きで展開していく。ところが、この三つ巴の争いがどうも盛り上がらない。で、最終的に一番上の兄貴の件は片付くが、ほかの妹と弟はほったらかしである。

もともとこの人達はストーリーに難があると思っていたのだが、ではビジュアル的にはどうか。
マトリックス』以降(というかぼくも含めて大多数の人が“以降”しか知らないと思うが)、どうしても彼ら姉弟には「新しい映像体験」を期待してしまうが、本作には『マトリックス』のように「見たことないもの」が見れたとの満足感はなかった。全編、VFXでド派手にドンパチやっているが、どうも既視感がある。
また細かいところでいうと、個々の宇宙船のビジュアルが似すぎていて、どっちがどっちの乗船するものかわからなくなる。さらに、これだけCGまみれの中でジュピターに瓜二つだったとされる女王の銅像が安っぽいのはなんなんだ。


また「人類の歴史は実はこうで……」との話も、「そもそもこの世界が仮想現実だった」とぶちあげた『マトリックス』の衝撃には及ばない。

観ながら、この人達は映画よりゲームを作った方がいいのではないかと思いついたのだが、それは、ファイナルファンタジーみたいな情景が多かったからだけなのかもしれない。