きょう、友達からこういう話があるのを教わりました。
(CNN) 米ウォルト・ディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」のファンの間で、「続編ではエルサにガールフレンドを」と訴える呼びかけがソーシャルメディアを通じて広まっている。
きっかけは10代のアレクシス・イザベルさんがツイッターに、「ディズニーがエルサをレズビアンのプリンセスにしてくれたら、どれほど象徴的か」と書き込んだことだった。
イザベルさんは続いて、「Dear @Disney,#GiveElsaAGirlfriend.(親愛なるディズニーへ、エルサにガールフレンドを)」と投稿した。
この投稿が発端となり、「アナと雪の女王」の続編はLGBTへの認識を高める媒介になって欲しいと要望する声が高まった。
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「アナと雪の女王」は解釈がストンと落ちるようなわかりやすい作品ではないのですが、クライマックスでエルサは妹のアナと和解し、ともに両親から引き継いだ王国を盛り立てていくことを誓う。アナには彼氏ができますが、一方でエルサには後の伴侶になるであろう存在が明示されないまま、映画は幕を閉じます。
そんなエルサに対して、同性の伴侶をあてがえば、セクシャルマイノリティの象徴的存在になるのではないか、というのです。
この主張がビミョーに思えるのは、そもそも劇中でエルサはカミングアウトしておらず、作品はあえてそこに解釈の幅を設けているような気がします。なのに、そんなエルサの性的指向を決めつけていいのか。
また、自身のセクシュアリティの表明するためにわざわざ誰かとつがいにならなければならんのか、という話でもあります。ともすればそれは、「人はだれしも伴侶と一緒にいることが幸せである」というまた別の強烈な押し付けにもなりかねない。のんけだってゲイだって、ひとりで幸せだっていいじゃないですか。
しかし、それにもましてぼくが嫌なものを感じるのは、特定の思想、主張に応じて作品の内容の改変を望む行為です。それは、日本嫌煙学会と発想が同じなのです。
嫌煙学会がどのような団体かは、たとえば宮崎駿の映画「風立ちぬ」の騒動が記憶にあたらしい。
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7月20日から公開されている宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」の中に出てくるタバコの描写に対して、NPO法人の日本禁煙学会が要望を発表しました。(中略)
日本禁煙学会が問題だとしたのは、教室での喫煙、職場での喫煙、リゾートホテルのレストランでの喫煙と、作中に喫煙の場面が多く登場すること。特に問題として取り上げたのは、妻の手を握りながらの喫煙シーンで、「なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはずです」と指摘しています。
その他に、嫌煙学会は毎年「無煙映画大賞」「汚れた灰皿賞(モクモク賞)なるものを発表しています。有り体に言えば、前者が学会の評価する映画で、後者が学会の否定する映画になります。
ちなみに、2015年度はこんな感じ。
「汚れた灰皿賞」に、「百円の恋」と「美園ユニヴァース」の面白かった2作が入っているのが個人的には噴飯物ですが、ある特定の思想によって作品を評価することがどれだけグロテスクであるかがよくわかる現象だと思います。
今回の発案者はまだ10代で、そんな目くじらをたてることではないかもしれない。
けれど、それにもまして、今回の騒動には嫌なものを感じてしまうのではなぜでしょう。
作品を通して何かを訴えることは、何の問題もありません。けれど、作品に先んじて主張するプロパガンダには、ましてや作品を改変してまで行うプロパガンダには、どうしようもない抵抗感を覚えてしまうのでした。