いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

エンド・オブ・ザ・ワールド 65点【映画評】


90年末に公開された『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』は、地球への隕石衝突による人類の存亡をめぐる作品であったが、本作『エンド・オブ・ザ・ワールド』は一味ちがう。
原題の"Seeking a Friend for the End of the World"が示すように、本作では隕石の衝突を悲観的にはみていない。いや、望んではいないのではるが、「一旦そう決まったらしかたないよね」というスタンスなのだ。


主人公ドッジは、地球滅亡が決まった瞬間に妻に出て行かれた冴えない中年のサラリーマン。締め切りがあるからこそ筆が進む宿題と同じように、彼は人生の期限が決まったからこそ、失われた初恋の相手と"ある人物"との和解をするため、旅に出る。お供をするのは、キーラ・ナイトレイが演じる隣人の女で、彼女もはぐれてしまった家族を探している。

彼らに地球の命運は握らされていない。地球滅亡を黙って受け入れる側で、つまり本来は「主人公以外のその他多数」なのだ。そんななんのへんてつもない立場から描かれる本作は、いわば「地球滅亡に立ち会う人々のリアクションの見本市」のような様相を呈している。
ある者は会社を辞めるだろうし、ある者は自殺するだろうし、ある者は警察がいなくなった世界で暴動を起こすだろう。またある者は、ここぞとばかりにだれかれ構わず交接をとげようとするし、またある者はいつもどおり職務を全うするのかもしれない。
印象的なのは、日本にもあるレストラン「Friday's」の超ハイテンション接客。ああいう風に、自分の職務と自分の欲望を同時に満たすことこそが、真のワークライフバランスかもしれない。


盛り上がりにはやや欠けており、全体的に地味ではあるが、それでも最終的に言わんとしていることはわかる。人生最後の瞬間は、やはり"あの光景"で終わりたいものなのだろう。
題材が題材だけに、世界が終わるとわかったら、よくわからないやる気とか、ほとんど初対面の人にでも衒いなく本音を話せるのだろうかと自分の身に置き換えて考えてしまう。
あなたはどんな地球最後の日を迎えたいだろうか?

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