うーん。どうも、一時新人類のようにもてはやされた、草食系男子というのが僕はわからん。
僕は恋愛にがつがつしていない若い男がいる、という事実を認めることにはやぶさかではない。僕の周りにも、彼女がいないし女性にがつがつ向かわない、というやつはいくらでもいる。ただ、それだからといって彼らが恋愛に「奥手」だとか、「性的にたんぱく」だとか、そういうことにはならないような気がするのだ。
草食系男子が語られる始めたとき、まず最初にあったのは「恋愛にタンパク」という要素だったと思うのだが、それから語の内容が定まらぬうちに森岡正博などいろいろな識者がいろいろな定義を定めた草食系男子本を出していき、次第に定義がごっちゃになってしまっているので、一応ウィキペディアに載っていた「主な特徴」というのを参考に。なお、便宜上番号をふっておいた。
１恋愛やセックスに縁がないわけではないのに、積極的でない
２女性を単なる異性対象ではなく、ひとりの人間として平等に尊重する傾向が強い
３恋愛至上主義的な風潮に踊らされずに、家族や仲間と過ごすのを大切にする
４傷つけられたり、他人を傷つけることを嫌い繊細である
５恋愛に使わないエネルギーは趣味や仕事、ファッションに向かう
６女性に誘われれば旅行やショッピングに同行するが、恋愛に発展しないことが多い
７性風俗を無駄なことと思い、お金を使わない
８いい人止まりになりがち
９女性と一晩過ごしても何もせずに普通に寝る
１０外出より部屋にいる方が好き
１１甘いものや料理が好き
この箇条書きの中で、恋愛に直接的に関わりあいをもつものをピックアップすると、１、２、３、６、８、９になるだろう。
でもこれらの特徴をよくよく眺めてみると、それらすべての理由が、単に「めんどくさいから」で済ませられることなのではないか、と思えてくるのである。彼らは草食系というよりも、単にめんどくさがりやの無気力系男子、なんじゃないか？
以下、「めんどくさい」を理由に１、２、３、６、８、９に答えてみた。
１恋愛やセックスに縁がないわけではないが、めんどくさいので積極的ではない。
２特別に一人の女性を尊重する（愛する）と、後々めんどくさいことになりそうなので平等に尊重する傾向が強い。
３衣食住の揃う実家にいる方が楽だし 女性と飲んでもいろいろ話題に気を使わなきゃならなくてめんどくさいので仲間と過ごす。
６女性の旅行や買い物への誘いを断るとめんどうなの同行はするが、恋愛には発展「させない」。めんどくさいから。
８いい人でいたほうが、人間関係に波風が立たない。
９「何かしたら」後々めんどうなので、普通に寝る。
草食系男子が「恋愛にがつがつしない」だけだったら、他のことには積極的であってもいいはずなのだけれど、こう考えていくと１０なんて怪しいもんで、めんどくさがり家な男の「いかにも」な特徴である。それに男の甘党なんて、別になーんにも珍しくないぞ。
そして７の「性風俗を無駄なことと思い、お金を使わない」についてだが、これはちょこっとイジくれば正解になる。「無駄だからお金を使わない」のではない。ここでいう「無駄」が、「性欲を発散するなんて無駄」という意味においての無駄なら、それは男の生理についてあまりにも無理解だと言えるだろう。それは、無駄か無駄じゃないかで判断できるような類のものではないのだから。そうではない、「お金が出ていくから風俗に通わない」のだ。
ではその性欲の発散がいかにして行われているかというと、主にネットである。ネットでエロ動画見放題の今の時代、自室でしかもタダでできるマスターベーション以上に「めんどくさくない」性の処理の仕方があったら、教えてほしい。
だから僕が言いたいのはつまり、草食系男子という事態が起こっているのだとすればそれはすなわち、彼らが「奥手」だとか「性的にたんぱく」だということとは、また別の位相の問題だ、ということ。
もちろん、以下のような統計も出ている。
「異性との付き合いが面倒・わずらわしい」
→20代独身（28.2%）、30〜44歳既婚の20代独身時（10.0%）
『日経MJ』2008年10月29日。同年10月、インターネット上で20代の1,089人及び比較対象として主に30-44歳の回答者のデータを使って分析した「MJ若者意識調査」の結果。（ただしウィキペディアからの孫引き）
先行世代と比べて、確かに若い男の方が恋愛に対してめんどくささ、わずらわしさを感じているということがわかる。
で、そういう統計結果が出たにもかかわらず、それ以後もなお、「奥手」で「性的にたんぱく」な草食系男子というイメージが巷で流布しているのが、僕にはよくわからん。それは単なる無気力ではないのか。
草食系男子。それを、単なるめんどくさがりやで甘党のオナニストと呼べる可能性はないのか？
