いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

寺門ジモン監督映画『フード・ラック!』とかいう最強の“アイドル”映画とアンジャッシュ渡部の亡霊について

『寺門ジモンの取材拒否の店』などの番組で知られる、グルメ超人狂人ことダチョウ倶楽部・寺門ジモン初監督作、『フード・ラック!食運』をようやく観てきた。

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寺門ジモンといえば、お肉にうるせーおじさんというのが一般的なイメージだと思われるが、本作のテーマはまさにグルメというド直球ぶり。焼き肉をはじめとする食べ物への、監督の常軌を逸したこだわりが、そのまま叩き込まれたような内容になっている。ジモンの精神論を超えて、もはやオカルトの部類にはいったグルメスピリチュアリズムがばっちり堪能できる。

 

そのため、映画も監督本人と同様に暑苦しいものになっている…と思いきや、メインキャストはEXILEのNAOTO、土屋太鳳というさわやかな2人。黒烏龍茶のごとく、2人が脂ギッシュな監督の作風を分解してくれている。

 

ただ、急いで付け加えて置かなければならないのは、本作の”真の主人公”は、NAOTOでも太鳳ちゃんでもないということ。本作のヒーロー、ヒロインは何を隠そう、次々出てくるさまざまな部位の美味そうな焼き肉の数々だ。

 

ここで思い出すのが、80年代にピークを迎えた「アイドル映画」というジャンルである。

誤解を恐れずにいえば、「アイドル映画」とは、ストーリーなどは二の次で「そのアイドルをいかにかわいくスクリーンに映すか」を考え抜いた映画と定義づけられる。

そして本作『フード・ラック!』は、「焼き肉をいかに美味しそうにスクリーンに映すか」を考え抜いた、アイドル映画と言えるのだ。シーン転換のたびに肉がジュ~と焼ける映像がブリッジとして無意味に入れられる徹底ぶり。あれはアイドル映画でいう、ストーリーに関係なく差し込まれる水着シーンみたいなものだと思う。

 

ストーリーが気に入らないという人がいるかもしれないが(それでも、ピーク時の角川映画よりはかなりまともである)、この映画を観て劇場から出たあと、向かいに焼肉店があったら、間違いなく入ってしまうだろう。

ここまで胃袋を掴んでくる映画もなかなかない。ぼく自身は、上映の時間の都合で「空きっ腹で観る」というとても無謀なことをしてしまった。自殺行為である。日本で初めて「飯テロ」の死者が出たかもしれない。それぐらい、全編、美味しそうな焼き肉の描写は強烈だ。

 

そんな飯テロ映画、ならぬ飯ジェノサイド映画『フード・ラック!』だが、一つ印象的な箇所がある。

本作では、NAOTO演じる主人公と敵対するうさんくさいグルメライターを松尾諭がいかにもうさんくさそうに好演している。本作では、その彼を通して「市場が閉まる土日月にホルモンを出す店を信用するな!」という、焼き肉マニアの間では常識化したテーゼを提示される。ホルモンは鮮度が重要だから、市場が閉まる週末に客に提供する商品は、鮮度が落ちて美味しくない、というのだ。

このテーゼに、作品はある形でカウンターを返していくワケだが、この「市場が閉まる土日月にホルモンを出す店を信用するな!」という教訓、ここ最近どこかで観た記憶があると思ったら思い出した。

 

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www.youtube.com

 

この人、最近テレビで観ないけど、どこにいったのだろう…(※別に2人は敵対しているわけではなく、むしろ渡部はグルメタレントの先達としてジモンを師事していることは付け加えておく)。