いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】龍三と七人の子分たち

藤竜也を主演に迎えた北野武監督作。かつて任侠道に生き、血なまぐさい人生を送ってきた元ヤクザの高齢者たちが、街にはびこる半グレ集団と対決するため、あらたに組を結成するというアクション・コメディだ。


余談だが、ぼくはこの映画を観に最近話題の二子玉川駅周辺を初めて訪れたのだが、これがなかなかのにぎわいだった。そういう立地も相まってか、平日昼にもかかわらず本作の上映も結構な入りだった。
特徴的なのは客層で、スクリーン上で活躍する龍三たちと同年代の高齢者がやや多かったような気がした。この後の回でウィル・スミスの「フォーカス」を見たのだが、そちらとは客層がちがったところから、劇場の立地よりもやはり本作が訴求する年代なのだろう。


北野監督にしてはだいぶ「陽」の方に触れた作品である。全編にあの下らないギャグが織り込まれていて、周りのおばちゃんは笑いっぱなしだった。展開もわかりやすく、北野監督にしてみればかなり「高齢者にやさしい映画」である。

まあ、たまにはこういうのもいいのかなあと思っていたのだが、組再結成以降は物語に勢いが失われ、展開がやや無理やりであったり、ギャグについてもどこか雑であったり感じた。個人的には「志村けん」のコントに似てきたイメージがある。ぼくは志村のトークは好きだが、コントはちょっと見ていられない部分もあって、それに通じる「キツさ」があった。

もっとも、志村っぽく感じたのは、周りのおばあちゃんの笑い声から、あの懐かしいテレビの「笑い屋」を連想しただけかもしれないが。

ただ、ふつうに爆笑できるところもある。たとえばアクション映画でよくある死体を縦にする描写である。もはや古典中の古典といえるが、この映画ではこれまた不謹慎なアレンジを加えられているのだ。さすがにここでは引くだろと思ったおばあちゃんがたも爆笑だったので、日本の未来は明るいと思った。

ぼくの好きな北野映画ではないが、繰り返すと「高齢者にやさしい映画」といえ、ある一定の評価はしてよいのではないだろうか。