いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ホーンズ 容疑者と告白の角

https://www.youtube.com/watch?v=nxjhB2xsQKA:MOVIE

ぼくも何度かサービス業のバイトをしたことがあるが、自分が向いていないのがよくわかる。その理由は、人がものより、圧倒的に情報量が多い存在だからだ。バーバルコミュニケーションのみならず、仕草など、様々なことで人は「本心」を放つ。

もしそんな人のあられもない「本心」が、自分が知りたくもないのに手に取るようにわかってしまうとしたら、どうだろう。

本作「ホーンズ 容疑者と告白の角」は、ある悲劇を境にそんな数奇な運命をたどることになった男を描く、ダニエル・ラドクリフ主演のダークファンタジーだ。

最愛の恋人を何者かに殺害された男イグ・ペリッシュは、ただでさえ絶望のどん底にいるにもかかわらず、あろうことか恋人殺しの容疑者として連日メディアで叩かれることに。自暴自棄になった彼は、ある罰当たりなことをしてしまう。そしてその翌日、彼は自分の額に二本の角が生えていることを知り、驚愕する。驚きは更に続く。どうやらその角は、他人に醜くおぞましく、知りたくないような「本心」を口にさせてしまうらしい…。

超どうでもいい話だけど、さっき日本版の公式サイトをのぞいたら元ヤクルトの角盈男東京03角田晃広のコメントが載ってたぞ。名前に角が入ってるだけに。どういうテンションのサイトやねん。

閑話休題
ホラーな描写もあるけれど、基本的にはファンタジーと恋愛ものっぽさが残る。ラドクリフの角姿をみておそらく7割ぐらいの人は怖い、というより、クスっとくるのではないか。ラドクリフ本人は大真面目なのだけれど、ふつーに考えて真顔の彼の頭に角が生えている姿は面白い。

この映画は、人の「本心」というおぞましいものを描きながらも、そこにはどこか滑稽さも残すようにしている。いや、おぞましいことが滑稽というのだろうか。読んではいないが、原作者ジョー・ヒルについて映画の予告で「スティーブン・キングの息子」と表現されていたのもわかる気がする。そういう作品の感触は似ている気がする……と思ったらこの人、本当にキングの息子なだけじゃねーかよっ!

終盤の取材陣をその角の力でやり過ごしてバーに入り、中で一悶着あった上に出てくるところまでは、たまらなくカッコ良かった。

本作の中心となる殺人事件については、中盤まで具体的に何があったのかをなかなか明らかにならないのはもどかしいが、蓋を開けてみればわりとどうでもいい。真相の方も、「火サス方式」の推理でなんとなく想像がついてしまう範囲なのだが、驚いたのは最終盤における謎のヘビ推しである。

もちろんそこには、聖書の中でのヘビの位置づけが関係しているのだろうが、あまりに唐突で、ここにも笑う。ただ、最近「アナコンダ」を見たみ身としては、VFXの技術の圧倒的な進化の道筋を体感できたのではあるが。

俳優陣の中では、主人公の親友を演じたマックス・ミンゲラが光っていた。ぼくと同い年だが、実は「ソーシャルネットワーク」でウィンクルボス兄弟のちっこい参謀みたいなのをやってたやつで。あんなチンチクリンなのが、こんなイケメソに化けるのかというので、これからまた楽しみな俳優がひとり増えた形だ。