一夜にしてこれだけ評価が変わる人もまれでしょう。ここ最近、テレビのちょっと賢げな番組においてそれとなく存在感を高めていたショーン・マクアードル川上さんに経歴詐称の疑いが持ち上がりました。
本人は経歴の一部を「間違い」だったと認めたそうですが、一説には、ハーフとの血筋も嘘で、純日本人との疑惑も浮上しています。事実ならば21世紀のクヒオ大佐じゃないかとの話で、以前として予断を許さない状況です。
そんなショーンさんですが、ここで騒動に乗じての「便乗詐称告白」も始まっています。
藤原竜也が自身の「経歴詐称」を告白 中学時代のサッカー歴はウソ - ライブドアニュース
ほぼ100%「肩書」に乗っかっていたショーンさんに比べれば、藤原竜也の俳優としての成功は、経歴なんかよりも「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」の方が圧倒的にウエイトを占めていたでしょうから、問題はほとんどないでしょう。
ぼくも、この詐称告白ブームに乗じて、ある1件の詐称を告発したい。それは映画における「大ヒット」についてです。
映画ほどこの言葉が形骸化した業界もありません。客が入っていようといなかろうと、「大ヒット」が大安売りされているのです。
ためしにみてみましょう。
2014年公開、川口春奈・福士蒼汰共演のラブコメ「好きっていいなよ。」。
ふたりの後ろにあるボードには「大ヒット御礼」とはっきりある。しかし実際のところは2014年の興収で上位50作品中40位でした。心なしか、主演ふたりがどこか浮かない表情をしているようにみえるのは気のせいでしょうか。
つづいて、昨年公開された邦画では「劇場版 MOZU」という一作があります。TBSとWOWOWがタックを組んで、けっこう大々的に宣伝していました。そんな「MOZU」も「大ヒット」したそうです。
が、実際の興収は昨年の上位50作中最下位でした。
わかりますよ。「大ヒット」との表現は抽象的ですから、どんなに実態とかけ離れていたとしても明確な「嘘」にはなりません。そして、どちらもランキングで下位ではありますが、10億円以上稼いでいます。
けれど限度っていうものがある。「大ヒット」と喧伝するなら、せめてその年の10位以内に入るようにしてもらいたい。
たぶんもうほとんどの映画ファンは、配給会社による「大ヒット」を信用していません。投げる方も信じられていないことを知っているでしょう。「大ヒット」との情報を出す側も、「大ヒット」との情報を受け取る方も、誰もはなから信じていない。映画界における「大ヒット」はそんなかわいそうな境遇の言葉なのですよ。
そろそろ、きょう一番のおもしろ生放送になりそうな予感がする、ショーンKさんが出演予定だった「報道ステーション」が始まりますので、このへんで。