いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】大脱出(原題Escape Plan)


ちまたで「逃走」が流行っている中、奇しくも日本公開となったのが、シルベスタ・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガーの2大スター共演によるアクション映画『大脱出』である。
「エクスペンダブルズ」シリーズに続く「セット売り」で、もう20年早くやればよかったのにというところだが、あわせてオーバー130歳の2人の勇姿をたしかめに公開日に劇場にかけつけた。

スタローンの役どころは脱獄のプロで、どんな監獄も奇想天外な方法で脱出してしまう天才的才能の持ち主。
は? なに? どゆこと? という感じで煙にまかれ、鮮やかに種明かしがされる冒頭は、まさに掴みはOKという感じ。

ただ、すでにこの時点でスタローンが知性的な役というところに若干の危うさがあって、全然頭がよさそうに見えないのだが、出された難しそうなパズルをいともあっさり解いていたので、頭はいいのだろう! たぶん!


今回のターゲットは、アメリカ政府が秘密裏に思想犯など特殊な犯罪人を拘束している刑務所。どこにあるかさえわからない(ただ、予告で若干ネタバレしてるけど)難攻不落で、仲間の助けも借りられない状況に陥ってしまったスタローン! しかも素姓がバレてしまったスタローン! 大ピンチじゃん!


そしていよいよ、前カリフォルニア州知事、シュワちゃんも登場。「エクスペンダブルズ」では少なかったツーショットも、出し惜しみなくバンバン使われる。
スタローン67歳、シュワちゃん66歳で、もちろん代役を立てている場面もあるだろうが、アクションに関しては肉体的衰えを感じるところはなかった。とくにシュワちゃんの肌つやは全盛期とそんな変わらなかった気がする。


新人イジメや食堂での暴動からの懲罰房へどーん! など、「映画の刑務所あるある」を快調にこなしたあと、苦労しながらもついにスタローン、刑務所のある場所をつきとめる。そして、いよいよシュワちゃんと脱出を決行するのである。

最初に危惧したとおり徐々に知能犯の面影はなくなり、クライマックスはいままで抑えていたあらぶる2人のアクション俳優魂が、ついに解放される。その点、冒頭のような緻密さはなく、少々大味である。また散々考えたあげくそれかい! というしょぼい脱出案にも冷めるところがある。
それから、脱獄を許す刑務所側もアホすぎる。とくに刑務所長は、ある設定を鑑みれば、脱獄のプロの主人公の「弟子」といえ、それにしては油断しすぎだろ! と思わなくもない。
しかし、ラストにはちょっとしたドンデン返しもあり、ガッカリはしないまずまずの一作。


先に肉体の衰えは感じないと書いたが、映画を締めるお約束の「大爆発」に心なしか勢いがなく、むしろそちらにさみしい気持ちになった。ぼくらはあと何回、彼らの新作が見られるだろうか?