エンドロールが終わった後に、すぐ後ろに座っていた中高生だろうか、女の子数人が「ヤヴァイ!ヤヴァかったねー!」と興奮気味に話していたが、オレも思った。これはヤバイ。このクオリティは。
まず指摘できるのは、ハンターハンター初の劇場版となる今作が、圧倒的な内向きだということだ。原作に登場したキャラが半ば強引にチラっと登場するなど、ファンしかわからない、ファンしか楽しめない、そしてファン以外にはどうでもいいような要素が満載。圧倒的な内輪ノリが全編に散りばめられている。
じゃあお前はファンじゃないのか。ファンだからこそ観たんだろ? といわれればごもっともで、ぼくが0巻目当てでノコノコ劇場に足を運んだことは白状しておこう。
ただ、そんなファンであるぼくでさえ、その内輪ウケの気持ち悪さに目が覚めざるを得なかったのは、劇場版オリジナルキャラのどこかから借りてきたような凡庸な設定(つーか能力が団長とカブってるしっ!)や、まるで情操教育の教材のように気持ち悪くかつチープなメッセージ性、さらに腐女子だって野暮すぎて興ざめだろうというホモい展開など、そう、単刀直入に言うと映画としてクオリティが低すぎたからだといって差し支えない。とくに、「人形」だというエクスキューズはあるとはいえ、幻影旅団の使い方などは原作ファンであればあるほど目を覆いたくなる仕組みで、なかなか手の込んだ嫌がらせだ。
もちろん、これらのなかには、原作マンガというよりもアニメ版から引き継がれたものも少なくないのだろう。けれど、特典とはいえ原作者直筆の「コミックス0巻」の配布がある時点で、それは「あくまでのアニメの映画版」と言い訳できない状況に自分達で追い込んでいやしなかったか?
と、まあ散々だったのだけれど、これらのダメなところを悪い意味で増幅させたのが、テンポの悪さ。これは今作に限らず、思い返してみてもそうだが、ぼくはマンガのアニメ版というのとことん相性が悪い。ドラゴンボールは、アニメ版も好きだが、テンポの悪さだけはとにかくイライラさせられる。これがジブリや細田守の作品には感じられず、「マンガのアニメ版」特有なのだけれど、そういう人は他にいないだろうか?
記事タイトルどおり、コミックス0巻の特典と考えれば、それでも何とかガマンできるだろうか。