いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

友達の輪が途切れた件


『いいとも!』のお友達紹介が変更 タモリ自ら翌日ゲストを発表

フジテレビ系『笑っていいとも!』(月〜金 正午)の人気コーナー「テレフォンショッキング」の名物“お友達紹介”が、きょう9日の放送回から司会のタモリ自ら紹介する形に変わった。これまで出演ゲストが友人や知人を紹介してきたが、この日からタモリが「明日のゲストを紹介します」と切り出し、パネルに翌日のゲストが表示される形となった。

(抜粋)

ネットではこの話題が意外とスルーされているみたいに思うんだけど、個人的にはけっこう「えええっ!?」ってなる事態なわけですね。その衝撃はタモリがオープニングで歌って出てこなくなったときか、それ以上かも。


では、なぜこれがボクにとって衝撃的だったのかということについて少々説明を。


テレビの時代を3つくらいにざっくり分割すると、最初に来るのは「夢の時代」なわけですよ。ちょうどいいタイミングであさま山荘事件が起きたりなんかして、テレビが映画を抜きさり娯楽の王様に君臨した時代。テレビに映るスターたちが視聴者に見せてくれたのは夢であり、理想であり、憧れであり。視聴者は羨望の眼差しでテレビを見上げていた。


その次に来るのは、「共犯関係の時代」。視聴者の側もテレビにそこそこ慣れてきて、またテレビの側もそういう「わかってる視聴者」に向けてネタを投じてた。例えばとんねるずが部活ノリとか、めちゃイケのユニットコントとか、そういう「わかってる人」こそウケるネタを仕掛けるようになった。

この時代はテレビと視聴者の目線の高さが同じだったと思うわけですよ。いわば、テレビと視聴者が共犯関係だった。視聴者の「わかってますよ(ニヤニヤ」という自意識が実はウザかったりするんだけどそれはともかく、両者が目配せしあう独特な疑似的共犯関係の時代がしばらく続いた。


そして今が三つ目の時代。この時代は名づけるならば…「陰口の時代」。今の時代はネットがあるから、テレビのいない所で視聴者同士がつながれるようになった。そして何が起きたか――テレビの「陰口」が叩かれ始めた。今の時代って、はっきりいって視聴者がテレビを見下してますよね。だから、もはや「テレビのお約束」だとかなんとかのは「つきあってらんねーよ!」って話なわけです。

そんでそんで。
話を戻すと、『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングの「友達の輪」っていうのは、2つ目の時代まで視聴者がつきあっていた「テレビのお約束」の最たるものだった。誰もが予定調和なのを知っていたけどそこにはツッコミを入れず、あたかも予定調和なのを知らないふりをして面白がってた。その象徴的なシステムなんですよ、友達の輪って。そんな「友達の輪」が昨日、唐突にプツンッと途切れた。それは例えるなら、すでに弾力と瑞々しさを失っていた輪ゴムがボロっと切れるかのように。

マスメディアは終わった、芸術は終わった、日本は終わった…こういう「終わった論」って腐るほどあって、それこそ「終わった論は終わった」なんて言ってやりたいところですが、このテレフォンショッキングのニュースは本当にショッキングで、「祭りとしてのテレビ」の本格的な衰退の兆候的事態なのかもしれないと思ったわけでありました。