タイガー・ウッズの不倫騒動の火が、意外に燃え続けている。というよりもむしろ、日に日にその燃え方の勢いは強まってさえいる。
この件に関して、おそらく多くの人が口には出さないまでも思っているのは、「二匹目“以降”のドジョウってこんなに醜いんだ」ということじゃなかろうか。しかし、自分の胸に手を当てて思いかえせば、どーみても車の来そうにない交差点が青になるのを待っているときに他の誰か一人が「最初の一人」になり一歩前に踏み出してくれさえすれば自分も渡れるのにという願望を経験したことがある以上、「あたしも言わせて!」という彼女らの願望も、認めざるを得ないわけだ。
それにしてもかの天才プロゴルファーのスキャンダルに関して、マスコミを見てもネットを見ても驚くのは、「見損なった」という感想が多いこと多いこと。彼らはタイガーにそれほどまでに聖人君子のキャラクターを押しつけ、かつ、それが自分たちから押しつけにすぎないことにさえ気付いていないほどに、タイガーとは聖人君子のキャラクターなのだ、彼らにとって。
しかし言わずもがな、タイガーは一度も「私は一生一人の女性、つまり妻しか愛しません。片手にあまるほどの他の女性とはニャンニャンしません」と宣言した覚えは(たぶん)ないわけで、いや、結婚とはつまり上記の宣言と同じことだろといわれても、僕らはいくらでもその宣言後にその「外」へ繰り出した先達を知っている以上、タイガーの宣言だけを真に受けるのは、フェアプレーの精神に反するのではないか。僕にいわせれば、「タイガーだって にんげんだもの」。そんな男だけじゃない!という批判もあろうが、これは「そういうことをしたい願望」と「そういうことのできる状況」という需要と供給の不幸な出会いなのだから、仕方がないのである。
ところで、今のところの彼の獲得賞金額の合計は80億円といわれ、広告収入などを合わせて彼の一生でに稼ぎだす総額はなんと、900億円なんだそうだ。
みなさん、900億である。
「5億あったら何する?」
「5億の家建てる」
というのはさまぁ〜ず伝説のホワイトボードネタではあるが、900億円あったらホントに「5億の家」が180戸建っちゃったりする。
よくよく考えてみれば、そんなタイガー・ウッズほど稼ぎのいい男が、これまで結婚という制度の檻の中で大人しくしていたことの方が、むしろ不思議な話ではないだろうか。世の中、お金がなさ過ぎて結婚できないという人もいるだろうが、お金がありすぎて結婚する必要もない男だっている。
「おひとりさまの老後」を何ら心配する必要もない彼が、結婚することにメリットがあるとすればそれは「種の保存」ぐらいしかとりあえずは思い浮かばず、種の保存にしてもタイガーには一人や二人とせこいことは言わず、それこそ種馬のごとく世界中に分散してその二世を存分に培養しさらに養ってもらいたいものだ。さすれば約三〇年後のゴルフ界はハイレベルバトルの様相を呈していること請け合い。
とりあえず今言えるのは、彼の稼ぎと性欲には結婚という檻が狭すぎた、ということ。