いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

「顔面コンプ」で連帯しようとするのはクソだと思った話


これはある女の子から聞いた話。

その子がかつて、彼氏と付き合いたてのころに東京ディズニーシーに行ったときだ。

知っている人は知っているが、シーはランドよりも少しムーディーな雰囲気が漂い、カップル率も高い。夕方くらいになれば、周囲でチュパチュパやり始めることもザラである。


彼氏はそうしたムードに気負されたのか、あろうことか彼女にこんなことを言い放ったそうだ。


「ぼくたち以外、周りのカップルは美男美女ばっかだねwww」

ミッキーがその場にいたら、頭を抱えて天を仰いでいたことだろう。おいおい兄弟、そりゃねーぜと。

面と向かって言われた女の子は、この発言にいたく傷ついたという。


男の側に悪気はなかったのだろう。

ただし、世の中、悪気と心の傷はゼロサムゲームではない。悪気がないところでも人は勝手に傷ついてしまう。


この男からすれば「ぼくたち」と言いくるめた自虐は、自分の緊張をほぐす狙いか、その場の空気を和らげようとする狙いか、もしくは何も考えずにいったささいな一言なのかもしれない。


だが、この言葉は「美女でないお前は、美男ではないおれ程度が分相応だ」と言っているようにもとれる。

そして、悪意がないということは、裏を返せば本音ということだ。フルスイングで放たれた「お前は美しくない」との本音が、彼女に突き刺さったのだ。


こんな奴は、もしミニーが彼女だったら海底2万マイルに沈められていたことだろう。危ないところだった。



もちろん、「ぼくたち以外、周りのカップルは美男美女ばっかだねwww」と宣言することで、うまくいくケースもある。たぶんそれは、女の子の側が自身の美醜について完全に吹っ切れている場合だけだ。


女にとって外見は未だに男よりもややこしく、デリケートな問題だ。かつて大塚美容整形外科がCMの中で、「わたしの目があとちょっとだけ大きかったら、わたしの鼻があとちょっとだけ高かったら、この世界も少し変わるかも知れない」といっていた。大げさに思われるだろうが、でもそんな世界なのだ。

だからこそ「顔面コンプ」は、男にとっては気軽な「ネタ」であっても、女にとっては「ガチ」になる。


なによりも話を聞いていて悲しくなったのは、これがディズニーシーで起きた出来事だということだ。
夢と魔法の王国だ。なぜそこで、そんな夢のないことがいえるのだろう? どうして、そんな魔法から覚めるようなことがいえるのだろう? いるだけでときめくような場所で、女の子ひとりを楽しませられないどころか、なぜにそんな惨めな思いをさせる?


聞いていて思ったのは、この男が女の子へのリスペクトを決定的に欠いていたということだ。女なら無条件に崇めろといいたいのではない。ここでいうリスペクトは、おのれが好いてデートに誘った女を楽しませようとする気持ち、いい気分にさせようとする気概である。


そんなリスペクトも欠いたこの男は、慣れないデートスポットで気負いし、安易な自虐で彼女を傷つけたのだ。

どーせそんな風にすぐに自虐に逃げ込む男はモテないのだろうが、それでも、女の子とデートに行きたいならば。てめえの卑小な自意識がメタメタのギッタギタにされようがが知ったことじゃない。なによりも、相手の女の子を楽しませることだけに集中するべし。ハリボテでもいいから、ミニーにとってのミッキーに徹するべきなのだ。