- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/05/09
- メディア: Blu-ray
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あなたは「運命の人」というものを信じるだろうか? この世界にたった一人、あなたとつながることが必然であったという伴侶の存在を。
映画「アジャストメント」は、そんな「運命」の物語だ。マッド・デイモンが演じる若き下院議員ノリスは、おしくも上院議員選挙に敗れた同じ夜、バレエダンサーのエリース(エミリー・ブラント)と運命の出会いを果たす。
瞬く間に惹かれ合う2人。ところが、2人の後ろに忍び寄るのはコート姿の怪しい男たち。
彼女と通勤バスで劇的な再会を遂げたノリスだったが、いざ自分の会社を訪れると、謎のコート集団によって会社の同僚たちに「調整」が施されていたのだ! なにそれ怖い!
拘束されたノリスは、"彼ら"が「運命の書」をもとに世界を秘密裏に「調整」し、その安定を保っていたのだと聞かされる。人類にまかせておくとホロコーストとか起こすしどうも頼りないということから、知らない間にところどころで調整を加えておいたというのだ。
そしてノリスは、自分とエーリスのどうしても会ってはならない、運命どおり添い遂げてはならない、と宣告されるのだ。彼らが「運命」として添い遂げることが、人類にとって望ましくない道なのだ、というのだ。
ここで観ていて混乱するのは、ノリスは「運命」に抵抗している、というわけではないのだ。むしろ、「運命」の道筋を"調整"によって変えようとする"彼ら"に抵抗している。つまり彼は運命論者なのだ。
だが予告にもあるが、その一方で"彼ら"の「調整」についても一部で「運命」と表現している。これが非常にわかりにくい。
けど話は実に単純で、主人公につきつけられるのは「運命の人」と添い遂げる/「運命の人」を諦めて人類にとってよりよい道を生きる、という二者択一で、そこからあんまり話は進まない。ノリスはもし彼女と再会すれば、お前の脳を「リセット」するぞという怖い脅しをかけられるのだが、そのリスクを犯してもでも会いたい相手なのか、それともリスクとリターンを比較検討できないバカなのか、わりと葛藤なく彼女との再会に向けて突き進む!
最終的にどうなるのかというと、"彼ら"の上司である議長(おそらく神だと思われる)の采配によって、ノリスとエリースは運命どおり添い遂げることを許してもらえるのである。なんだそれ! たまにこういう「偉大なる意思」みたいな超人的な何かが、寛大な裁定で主人公の選択をチャラにするというクライマックスがあるが、それって意思側(もっといえば制作側の)裁量でどうにでもなるんじゃない?
同じように人生での選択を題材にした映画では「バタフライ・エフェクト」を思い浮かべる人がいるだろうが、あの映画での主人公の最後の「決断」の方が、はるかに重く、犠牲を払っていると思えてしまうのである。