いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】そんな彼なら捨てちゃえば? 70点(ベン・アフレックがキモかったので)


そんな彼なら捨てちゃえば? [Blu-ray]

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ベン・アフレックブラッドリー・クーパースカーレット・ヨハンソンら豪華キャストが共演したラブコメ
2004年の小説版から引き継いだ邦題がかなり印象的。原題の"He's Just Not That into You"はそのまま訳すと、「彼はあなたに気がないだけ」となる。実はこれ、「そんな彼なら捨てちゃえば?」と会話として成立しており、かなり大胆な意訳といえる。


複数の既婚、独身の男女が入り乱れる群像劇で、さまざまな男女の形が描かれる。デートする男が中々次のアクションを起こしてくれないとか、同棲して7年の彼氏が全然結婚を切り出してくれないとか、前に身体の関係をもった女が最近つれなくなったとか、様々な悩みがごった煮で詰め込まれている。
その中で、特にフォーカスされるのがジニファー・グッドウィンが演じるジジで、彼女は典型的な恋愛脳。デートした男から次のアクションがないことに気をもんでばかりいる。仕事しろ!


これがいわゆるジェンダー非対称性というやつで、背景には「女から電話するなんてちょっと……」という遠慮があるわけだ。
アメリカでもまだそういう文化が残っているのかという発見があったが、本当のところはどうなのだろう。


女たちは、男の側に何らかの「電話できない理由」があると推測し、早合点する。その推論に協調し、後押しする周りの女もよくない。
そこで原題の"He's Just Not That into You"に帰ってくるわけだ。


そうした「電話できない理由」とともに、劇中で恋する女たちを勇気づけるのは「例外」だ。世間は広く、「そんな彼」でも結果的にハッピーエンドにこぎ着けられたという女性が、中にはいるかもしれない。
でもそれは、結果と原因をアベコベにしているだけだ。
例えるならそれは、「成功者はみんな努力している」という論理式の瑕疵と同じだ。それは、ただ単に成功者が努力したと言っているのにすぎず、努力した人がみんな成功するわけではない。いやむしろ、努力しても成功しなかった方が現実的には多いのだ。
「例外」の錯誤というのは、度々見かける。その一つがここにもあるだろう。「上手くいっていない恋愛が上手くいった」という「例外」を、「上手くいっていない恋愛は上手くいく」という法則に読み替え、自分にも起こりえると勘違いしてしまっているのだ。


さて、そんな風に片思い中の人にとってはきわめて「不都合な真実」を突きつけるこの映画だが、そのラストはかなり「例外」攻めできており、その点ではかなり拍子抜けである。また、新バットマンことベン・アフレックのラストシーンは、かなり気持ち悪いことになっている。
でも、「例外」の件については仕方ないことかもしれない。ラブコメで「例外」が起きなければ、夢も希望もない。
この映画から我々が学ぶべきは、意中の相手から出てもいない怪電波を受け取って舞い上がったり落ち込んだり、一喜一憂しているより、さっさと自分から行け、ということではないか?
ダメで元々である。トライ&エラーの繰り返し。女子風にいえば「次行こ、次」となるだろうか?