新緑の季節が訪れ、最寄りの大学キャンパスにも入学を迎えたキコリ風髪型非対称系男子たちと、女性誌から丸写ししたような亜麻色の髪の乙女たちが大挙している。そのハチきれんばかりの初々しさに、おもわず甘酸っぺー!お前ら甘酸っぺーよ!!!と意味不明な供述を繰り返してしまう27歳アルバイトなのだが。
入学して約3週間、新生活にも慣れてきたところで、そろそろ恋愛的な方面にもモゾモゾしたくなってくる頃合いであろうそこの君。ここで私は君に、そんなに悠長に構えている時間はないぞ、と警告したい。
というのも、多くの恋愛にはタイムリミットがあるわけだ。
きょう君たちに紹介したいのは、「出会って3か月理論」というものだ。
いいか非モテのきみたち、よく聞け。多くの恋愛は出会って3か月以内に決まる。ここから3か月以内に仲がいいにもかかわらず何も起こせなかったら、君にとって戦況は相当シーキビである。このことをよく心得ていてほしいのだ。
なぜか。ここから説明しよう。
オーソドックスな恋愛には、まず告白がつきものだ。いや、知らぬ間にあれよあれよとベッドインみたいなのもあるじゃないかだって? バカ言っちゃいけない。君は非モテなんだから。身の程を知りたまえ。
閑話休題。愛の告白をするとき我々が催す緊張の原因とは、自分の好意をその対象である本人に伝えることであるから、ということに異論はないだろう。
しかしそれだけではない。知ってか知らずか、我々は「告白」をするとき、相手に対して「あなたとの関係性をアップデートしたい」という提案をしているのだ。
あなたは今まで、親に「親になってください」といって親になってもらっただろうか。兄弟に「兄弟になってください」といって兄弟になってもらっただろうか。友達に「友達になってください」といって友達になってもらっただろうか。概して人間関係は、「知らぬ間に」そういう関係になっているもののことを呼ぶ。
しかし、恋愛だけはちがう。そう、つまりほとんどの人にとって「関係性のアップデート」が求められるのは、恋愛における「告白」という儀式が初めてといっていいのである。
私がここで主張する「出会って3か月理論」の3か月とは、この「関係性のアップデート」がしやすい期間といいかえてもいい。
大学で知り合い、お互いメアドやソーシャルのアカウントを交換しあい、毎日のように授業、サークルで接する。はたして、このルーティンによって出来上がりつつある「オレたち/ぁたしたち、イイ感じだね」というムード。
このムードにライドオンしてそのまま「つきあっちゃう?」ともっていける猶予こそが、何を隠そう「出会って3か月まで」であると、私はいいたいわけである。
高校まで恋愛してこなかったにもかかわらず、大学に入ってあっという間に彼氏彼女を作ってしまうという猛者がたまにいるが、まさにこの「3か月」に羨ましいほどタイミングがバシッとはまったのだと、推測する。
では最初の3か月に何もおきなければ、いったいどうなっていくのか。
それ以降もよっぽどのことがないかぎり、
「オレたち/ぁたしたち、イイ感じだね」
ここまでは変わらない。しかし半年がすぎ1年がすぎ2年がすぎと、時が経過していったとしよう。
すると、
「オレたち/ぁたしたち、イイ感じだね」
「イイ感じ」というところで関係性が凝固してしまい、それ以上発展しようがなくなってしまうのだ。
ここから巻き返すのは相当厳しい。なにしろ、相手の「友達フォルダ」に君は格納されてしまっているからだ。
また、きみにとっても事は厄介になってくる。好きな人とともにすごし、好きなところを知れば知るほど、このアップデートが拒否されないかと、不安になる。もし拒否されるならこのままでいいかと、弱気になる。
さらに、出会ってから時間がたってからのアップデートは、「今までのはなんだったんだよ?」感が付きまとう。恋愛が自然にできないわれわれ本能が壊れた非モテは、何にもましてこの「根拠レス」に苦しめられるのだ。
だからこそ、人間関係の年輪を重ねないうちに、友達としてまだ収まりの悪いうちに、その勢いで告白することが望ましいということなのだ。
ところで、なぜそれが3か月なのか?と疑問を持った読者もいるかもしれない。
ぶっちゃけよう、特に理由はない。
知人と話していて、
「だいたい3か月だな」
「だね」
これで生まれたのが出会って3か月理論である。
だからもちろん個人差が少しくらい出てくるだろう。あくまでこれは目安に過ぎない。
大学の新歓期に出会ったとしたら、あと少しで1か月がたとうとしている。つまり、きみに残された猶予はあと2か月ちょっとだ。君は気になる彼/彼女に今日までに何かアプローチできただろうか?ゴールデンウィークへの戦略は立てているのか?
そして新歓期のライバルは、同級生だけじゃないということも忘れてはならない。先輩たちにとっても、新入生は「出会って3か月」に当てはまるのだ。自分が1年のときに大学デビューにミスった彼らは飢えたハイエナであり、強敵だ。
君たちに残されている時間は、多いようで少ない。幸運を祈る。
ちなみに、一昨年書いた大学1年生向けの文章がこちら↓↓↓
大学は「職員室」にまで踏み込まないとはじまらない - 倒錯委員長の活動日誌