いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

自民党の大勝であらためて実感する民主主義の利点

選挙が終わりました。結果は、自民党の単独での絶対安定多数を獲得するという歴史的な大勝。

小選挙区制という制度の性質上、極端な結果が出やすいということはしかたないにせよ、これは凄まじい結果です。

安倍さんは厳しい表情でしたね。首相返り咲きがほぼ確実であり、もう少し笑みがこぼれてもいいはずなのに、話していない時は終始口を真一文字にしていた印象です。口から出るのも重々しい言葉ばかりでした。野田さんの方がむしろ心穏やかなようにさえ見える。

ここには、今の選挙制度を通しての「民意」が”信用ならない“ものであることを、彼が身にしみて分かっている事情があるのではないでしょうか。前々回は自民の大勝、前回は自民の大敗でした。となると、もし政権運営に失敗したら次の選挙で敗戦の弁を述べることになるのは自分かもしれない――そんな状況でぬか喜びなんてできないのかもしれません。


さて、この選挙を受けて、ぼくがいたSNS上では歓喜の声よりも怨嗟と絶望の声の割合の方が高かった気がします。ここにバイアスがかかっていることは間違いありません。ぼくも今回は見事にSNSにダマされました。

とにかく、反自民の人たちのグッタリした様子がスゴいんです。ひん死状態です。冗談でしょうが、国外に避難するとつぶやく人もいました。

ただ、それはそれでおかしいと思う。よく、議員さんは当選することがゴールだ、というような批判があります。たしかに議席を取ることが自己目的化したらマズいですが、それと同様に有権者の側も選挙の結果だけに一喜一憂するのは、ちょっとおかしい。
というのも、これは戦争ではないからです。勝った方が負けた方の財産から権利、生命まで何から何までを収奪する――それでは、未開社会での部族間の争いと同じになってしまいますが、ぼくらが乗っている制度はそういうわけではない。

重要なことは、原則的にすべての国民が自民党政権における権益の受益者であるということです。これは自民党に投票した人、投票していない人に関わらずです。同様に、自民党政権による失敗のツケは、自民党に投票していない人だけでなく、投票した人にだって払わされることになります。そこにおいては全く対等な立場なわけです。
日頃評判の悪い民主主義ですが、ここだけは誰もが認めるべきよい所でしょう。当たり前の話ではありますが、この「当たり前」には何度アンダーラインを引いても引きすぎることにはならない。


たしかに、ぼくらがもっとも直接的に意思を表明する機会、ぼくらがもっとも政治に接近できる機会は選挙です。そして次の選挙がいつあるかはわからない。

しかし、現行政権の動きをチェックしておく手段はいくらでもあるし、異議を唱えたり告発をしたりする手段は今の時代にはいくらでもある。
祭り事は終わりましたが、新しい“政“はまだ始まったばかりです。厭世的になったり、気を落としている暇はないのかもしれません。