突然だけど、リア充は群れるものだ。
友だちの少ない人間からすれば、群れることのできるのもひとつの能力ではあるが。
僕がリア充の群れについて思いをはせるとき、いつも思い浮かべるのはエイベックス所属のグループ、AAAだ。彼ら彼女らこそ、僕の抱くイメージの中のリア充像を体現して見せてくれるグループだ。
僕が彼らをTBSのレコード大賞で初めて視たときに抱いた第一印象は、新人賞っていうけどこいつら全然知らねーよ!ということよりもまず、「男女混合のユニット!?」というものだった。
そう、AAAはイケてる(死語)今どきの若者(死語)の男5人女2人によるユニットだ。それまでアイドルといえば、原則的に異性と深い交流を持たない(という設定の)存在だと思っていた僕は、彼らの存在によって軽いカルチャーショックを受けたものだ。
え、男と女が一緒のグループ?
その中で恋愛とかに発展したら、どうすんの?
当時男子校という名の陸のアルカトラズ島に幽閉されていた僕は、そのような短絡的な発想のもと、彼ら彼女らの関係を怪しんだものなのだ。
しかし、彼らのようなリア充の群れは、一見恋愛関係になってもよさそうなのに、なっていない。むしろそうした欲求はグループ外で満たし、グループ内には持ち込まないという気骨の持ち主であることが多い。そう、ここに、チャラいやつほど(TPOをわきまえて)チャラくない、という逆説がなりたってしまうのだ!
これがそのまま、世の中のなんちゃってAAAことリア充グループにも当てはまる。四六時中あんだけ仲良くつるんでるんなら、たぶんつきあってんだろ!?どうせヤってんだろ!?という淡い期待がこちらにはある。これはたぶん、嫉妬と羨望の入り乱れた「ひとおもいに絶望させてくれ!」という転倒した気持ちからくる「期待」なんだけど、彼らはそれをあっさりと裏切る。実際は、どんなに仲がよくっても彼ら彼女らの間柄は「友達」のままだったりするのだ。そしてそのことが、逆説的にこちらのルサンチマンをさらに募らせる。
こうしたリア充グループに、そんな不文律をしらない非リアが入ってきたら、さあ大変。
「この子、どこ行ってもゴミのように扱われる俺を人間扱いしてくれた!お、おれのこと好きなんじゃね?」などという淡い期待の大暴走が始まる。例の「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!」というAAよろしく、人間の序列を超越した彼ら彼女らは、僕らのようなクソ虫にだろうと、菩薩のごとき御慈悲をさしむけてくれる。だがそのことを気づかなければ、それを特別な意味としてとってしまっても、無理はない。
非リアなサークルに女の子が入ってきたときサークルクラッシャーへとクラスチェンジする現象の目撃例は多い。しかし、その正反対、リア充のグループに放り込まれた非リアが勘違いして自爆するという可能性もなきにしもあらず。
春は出会いの季節。分相応を見きわめ行動されたい。