今フジテレビ開局50周年を記念してやっているドラマ「不毛地帯」。まだ始まったばかりだから出来不出来はわかんないのだけれど、とにかくキャストの力の入れようがスゴイ。それだけで、とりあえず視てみようという気にはさせられる。
ここ数年、いつのまにやら各局がおのれで勝手に開局××周年を祝うという風習が一般化し、そんななか制作されるのがこの手の開局××周年記念ドラマなのだけれど、どの局のそれにも共通点がある。
まずキャストがやけに豪華、そしてやたらと登場人物が多い。
これに尽きる。
おそらく通常のドラマでは類を見ないお金が動いているのだろう。なんせ開局××周年記念ドラマなんだから。それらの作品では、これ見よがしに豪華な俳優陣が、大量に画面を行き来する。時に、「こ、こんな大物が!?」という逸材を会社の清掃員とかそういう端役で「無駄遣い」してるのは、何かイヤミにすら思える。
でも、この風習にはいいことばかりでなく、弊害もあると思うんだ。
例えば、日テレが全面バックアップした実写映画『20世紀少年』三部作。僕は先日テレビ放送でようやく視たのだけれど、これまた唐沢寿明をはじめとする豪華キャストで固められていた。
本編開始して数分、ある宴会の席で次々に現れる、普段ならドラマ、バラエティ等で主役級に活躍するタレントたち。
するとである。視ているこっちとしては彼らが話しているセリフの内容というよりも、「こいつもかよ!あいつもかよ!」と、出ている人の顔ぶれに気がいってしまうわけだ。結果、いつまで経っても本編に集中できなかった。
そういうことを考えていると、「キャスト」をそろえたことで虐げられるはめになったメンバーのいる集団を目の当たりにした、少年時代のせつない記憶がぶり返してきた。
着ぐるみヒーローもの、例えばウルトラ戦士たちの集合写真。
一見壮観だ。
しかし、よく目をこらしてみよう。
はしっこのエースがしょぼいのだ。
ずんぐりむっくりといえばいいだろうか、他の戦士たちよりも明らかに身長が短く、その分横に伸びているように見える。少なくとも、地球で独り立ちして頑張っていたころの彼よりはスタイルが悪くなっているのだ。
表面的にはウルトラ戦士たちの豪華集合写真の体裁を整えたものの、着ぐるみを着る人の頭数をあわせなければならなくなった弊害が、こういう悲劇として顕在化したわけだ。
子供の頃、雑誌等で何度かこういうウルトラの「せつない集合写真」を目の当たりにするに付け、こちら側もエースの立場に感情移入してせつなくなった思い出がある。この写真と同様で、特にウルトラマンエースがその憂き目に遭っていた回数が多かった気がする。
彼は星の巡り合わせが悪いのだろうか。