- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: サンクチュアリ出版
- 発売日: 2014/04/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者の肩書は心理学者だが、内容は学術的というよりエッセイにちかく、なおかつ実効性がありそうだから面白い。
もちろん、男性だって大なり小なりの「女」を抱えているが、やはり女性の方が比較的多くの「女」をもっていて、そんな「女」を多く抱えた女性同士の人間関係で、「女」が増殖してしまうのは無理からぬことのように思える。
妙な問いではあるが、ではなぜ、女性の方がより多くの「女」的なものを抱えてしまうのだろう。筆者はそれを、現代でも依然女性が男性に「選ばれる性」であることが原因なのだと解説する。「選ばれる性」という他律的な存在であるからこそ、そして男性に求められる「女性らしさ」に順応しようとするからこそ、女性の中で「女」が頭をもたげ始める。
筆者は女性に自律せよと呼びかけるが、それは一部フェミニズムがこれまで言い続けてきた「男になること」ではない。女性が自身の「女」をただただ嘲笑し、見下しても、「女」の傷がより深まるだけだと筆者は指摘する。そうではなく、「女」からある程度を距離を取りつつも、"「女」を癒やす"べきだと主張する。
本書は、「女」に巻き込まれないように距離をとり(STEP1)、自分の身を守りつつ(STEP2)、相手(そして自分)の「女」を癒やす(STEP3)という3STEPに貫徹した対処法で、27にも及ぶ女子の人間関係のケーススタディをみていく。これだけあれば、読者の悩みもどれかに少しは被るのではないだろうか?
私見では、女性同士の人間関係に疲れた女性が(男女の関係の有無を問わず)男性ばかりとつるむという現象をよくみかけるが、本書はそうしたある種の「逃げ道」に読者を誘い込まない。あくまで、女性の人間関係を女性の人間関係という完結した問題として取り扱う。
「本を読まない人のための出版社」を標榜するサンクチュアリ出版だけに、非常に読みやすい。最近はよくあるが、大事なところには太字が引いてあり、極端な話、太字だけを読んでも十分事足りる。本書を読んで、男女ともに自他の内なる「女」を見つめなおしてみてはどうだろうか?