- 作者: 山本桂子
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: Kindle版
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そんなぼくの見解について、本書『ブスがなくなる日』は同意してくれるようだ。SF映画のようなノリのタイトルだがそうではない。本書は、髪型、化粧、スキンケアといった美容文化の発展と、同性による審美眼で磨かれることによって、日本から「ブス」という概念がなくなろうとしている、と論じるのだ。ぼくもこの点には同意で、確実に「平均点」は向上していると思う。
焦点をあてているのは現代だけではない。2章では日本でどういった顔がブスとされ、美人とされてきたかという歴史的変遷を追い、3章では女性を男に依存して生きていく<ヨメ派>と、自立して生きていく<非ヨメ派>に分類し、両者の行き方の移り変わりも振り返る。このあたりの解説はかなりクリアカットでわかりやすいし、読みやすい。また、女性の容姿というと本来はデリケートで重たい論題のはずだが、ですます調のためやや軽快になっている。
ただ、単純化し過ぎじゃないかと不満に思う人は、おなじ山本さんが書いたこちらがお勧め。
- 作者: 山本桂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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本書に戻ると、興味深かったのはでは美しさが世界では「どれだけ容姿にお金をかけられるか」という所得格差の問題と結びつけられる一方、美しさが道徳と結びついているという日本特有の現象だ。けれどそれも、容姿がダメな人は内面もダメとみられる危険性があるという問題も含むのだが。
締めにおいて筆者は、本人が望むなら美容整形や歯列矯正もアリだとしているが、その一方で、ブスはブスとして自信を持て、とも言っている。このあたりは、「みんなちがってみんないい」という当たり障りのない論調でつまらない。
しかし、本書のいうとおりに「ブス」の絶対数が少なくなっていくならば、これから少数派になっていく「ブス」への風当たりはますます強くなることも予想され、自信を持てという助言はあながち間違いではないかもしれない。