いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】何千、何万の言葉を使っても「まずは観てくれ」に勝てない、これは事故だ……/地獄でなぜ悪い

http://m.youtube.com/watch?v=a9u_ca4NvdU&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3Da9u_ca4NvdU:Movie
凄い映画を観てしまった……というのが最初の感想。そしてすぐ、いや、「観た」という一方的な言い回しが不適切なような気がしてくる。こちらに襲われたかのような感覚を残す、凄いことが「起きた」のである。好好きか嫌いか、いいか悪いかという判断を吹っ飛ばし、園子温監督の最新作『地獄でなぜ悪い』はそんな「事故」的な余韻を残す。この映画だからこそ言いたい、これは大変なことやと思うよ。。。


長谷川博己も國村準も堤真一も、スクリーンいっぱいに溢れんばかりのバカを演じる。星野源が必殺のイキ顔をこれでもかと見せれば、エロくて可愛い二階堂ふみ(途中まで虎南有香と間違えていた……)もやっぱりどこか狂ってる。おまえら、なんてステキなんだ!
そしてなにより、この映画を作った園監督が一番キメている。監督本人は否定するかもだが、前作『希望の国』全編に漂っていた「義務感」のようなものから解き放たれ、本作ではふる×んでドスを振り回すかのように、映画を片手に暴れまわる。熱に浮かされた場内は、生首が飛ぶシーンで爆笑するのである。


「映画の映画」というのは、ともすれば監督のナルシシズムが香る嫌みな作品になりがちだ。いわば、自家製「情熱大陸」のような。この映画にも、自己言及的なシーンは幾重にも差し込まれる。しかし、不思議なことにこの映画ではそれらが一切臭みを発しない。それがなぜなのかは今も考え中で答えは出ていないが「そんなことを気にしていられない」のが一番的確な表現かもしれない。

あそこはいらなくね?といった注文をつけたくなる箇所もなくはないが、「衝撃映像100連発」をテレビでみながら「いや、ここはこうした方が…」と言うヤツはいないだろう。それと同じである。

作り手の「どうだおもしれーだろ!」というドヤ顔が見えそうで悔しいが、参りました!おもしろいです!
冗長になってしまった。何千、何万の言葉で語り尽くしても「観てくれ」に勝てないだろう。繰り返すが、これは事故である。