いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

国母擁護派とアンチが共有しているもの

もはや話題としては腐りかけていますが、備忘録的に書き殴っていきます。


国母クンの例の一件は、第一弾「服装の乱れ事変」で種火がつき、第二弾「反省してま〜すの乱」で絶賛炎上中になったというところでしょうか。おおよそ彼に対して厳しい見解を示す人は、「オリンピック選手としてふさわしくない!」とか「TPOをわきまえろ!」とか「反省してねーだろてめ!」とか、一時は出場せずに帰ってこいとまで、話は膨らんでおりました。


多くの人に共感してもらえるかもしれませんが、僕がまず興味深かったのは未だに人って人の服装に目を光らせているんだなということ。後藤真希の母親の葬式の辻ちゃんならまだしも、別に出立の服装なんてそこまでとがめられるのかねと。でも、おそらく彼らにすればがまんのならないもんだいなのでしょう。

しかし、興味深さで負けず劣らずなのは擁護派の方々の意見。僕が見た中でよくあったのは、「ボーダー文化を知らない奴らが文句言うな!」というもの。国母クンの擁護に回る人の多くは、彼のあの「服装の乱れ」、もとい「着崩し」ごしに、彼の生き様はたまたボーダー文化(そんなくくりがあったのか?)の一端が隠されているのだ、とおっしゃるわけです。


この問題の賛否は僕の印象とそれから「5時に夢中!」月曜日の電話投票などの結果を鑑みても、おおよそ前者と後者が約2:1の割合でしょうか(もっとも、興味ねぇよという人が大多数なのかもしれませんが)。


ところで、これはだれもいってくれないので書くのですが、前者と後者、対立しているようでいて実はひとつだけ、共有している価値観があるのです。
ずばりそれは「服は人なり」という発想であります。
批判する側は、乱れたあの服装をだしに「服装が乱れている!」とか「五輪に出る資格なし!」という。それはつまり、遠回しに彼の「服装の乱れ」から透けて見える「精神の乱れ」を指摘した(つもりになっている)わけですね。一方擁護派は、あの「着崩し」に、彼のボーダーとしての生き様をみる。彼はあの着崩しによってそれを全身から発散している、というわけです。お互い立場は違うが、そこには服がその人の人となりを代理表象している、という思考がある。


でも、Tバック履いている女の人だからって「ヤリ×ン」とは限りませんし、また、サッカールックの男がサッカー上手いとも限らない。そうとはわかっていても、いざとなると人は潜在的にまだ持っている思想「服は人なり」を振りかざすのでしょうか。


想像するに国母クンからすれば、服装がもとで反省をうながされるのも「ちぇ、うるせーな」でしょうが、「あれが彼のボーダーとしての生き様だ」とバシッと決めつけられるのも「味方」の発言とはいうものの、どこか「ぽっ」となってしまうというか、背中のかゆくなるような気まずさを味わっているのではないでしょうか(もちろん彼がネットなどを閲覧していたとすればのはなしですが)。少なくとも僕が彼の立場なら間違いなく、「ぽっ」としてしまいそうです。「やめてくれ、あの「着崩し」にそれほどの意味はねぇ!ただなんとなくああ着ただけなんだ!!」と。


いじめられっ子にとって実はつらかったりするのが、いじめっ子の言葉よりも、彼をか弱く守られるべき存在だと勝手に定義しちゃう助ける側の言説であるというのは、よくある話(もちろん悪気はないでしょうが)。もっとも、もしそれを擁護する方が意図しての発言なら、なかなかたちが悪い新手のdisりかたではありますが。


最後に、これもだれもいってくれないので書いておきたいのですが、大多数の人にとっては国母クンのあの「服装の乱れ」を見たあとに問題としてニュースになったというよりも、騒ぎになってから「服装の乱れ」へと目がいったはず。情報にトロい僕もその口なのですが、ぱっと見でどうみても最初に目がいくのは首から下というよりも、首から上でしょう。つまり服装の乱れではなくて、彼のドレッドヘアーと冬季五輪代表ばなれしたあの褐色の肌(日サロでしょうか)。


これは推測ですが、批判している人も最初にまずあの首から上の「惨状」に驚いたあとでようやく、首から下にいって、あとづけでそれを総体として彼の「服装の乱れ」として片付けたのではないでしょうか。


だから彼を批判している人たちは、服装の乱れをたたき台にして本当は間接的に首から上が浮世離れしているからこそ、彼を叩きたかったのではないかと僕はにらむのです。なぜ直接上に行けないかというと、国母クンのその口から直接否定されない限り彼がボブ・マーレー原理主義者であるという可能性が捨てきれないのと、我々日本人が抑圧していたジャマイカンに対する恐怖とそして、実はみんな、ひそかに映画『クールランニング』の大ファンなのです。
なんのこっちゃ。