いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

保健・体育の教科書


先週の三連休、新築の家を買った伯父の家に行く。

新居というので、僕がまず気になるのはその匂い。新築の家独特のあの匂いというのが僕は好きなのだ。

これからどんどん体臭にまみれていくのだから、今が嗅ぎ時とばかりに家の隅から隅まで、クンクンと匂いを嗅いでまわる。



その次、いとこのN君の一人部屋チェック!

前のマンションでも自分の部屋はあったのだけど、彼の妹のYちゃんとRちゃんとも兼用だったので、今回彼は始めて自分だけの城を持つこととなる。

男子の部屋を拝見したとなれば、することはただ一つ・・・。


恒例のエロ本ガサ入れだっ!!
無駄な抵抗をされるので、N君が外出しているあいだに、さっさとやってしまいましょう!!


と、行きたいところなのだが、部屋のどこをひっくり返しても問題のブツは見つからない。

映像作品のそれも、アニメーション作品のそれもだ。PCに詰まっているのかというと、彼はまだ自分のPCは持ってない。

というか彼の部屋には、単なるグラドルや二次元美少女のポスターさえない。
つまり彼の部屋からは、性に対する関心の痕跡がまったく見当たらなかったのである。

その代わりに部屋に散乱するのは、DSのカセットやディアルカードばかり・・・。



彼は今年の春から高校生である。エロ本一つももっていなくて、未だにディアルカードゲームにはまっている彼の男としての将来には、ちょっと不安を覚えた。

N君よ、せっかく共学に入学したんだ。充実した青春を送ってくれよ。


そんなN君のために、部屋を出て行く前に最後、先達として僕が教科書の重要だと思われる箇所に落書き、いやアンダーラインを引いておいてあげようと、思い立った。

僕はおもむろに、N君の「新しい保健・体育の教科書」を開いた。


接着剤のぱりぱりという音がまだするその真新しい教科書の第一章は「性のめざめ」。
マスターベーションをすることは、健康になんら害はありません」(大意)。


ふむふむ、これは重要なことだ。


さっきのガサ入れで、おそらくN君はまだ性のめざめを経験してないと、僕は見た。
いざするというときになって、健康が心配になってできないというのは、気の毒だ。
イッた後に、虚無感とか罪悪感を覚えるのはともかく、やってしまうこと自体から逃げてしまうのはよくない。

だからここには、わりと太目の赤線をサッと引いておく
他にも、異性交遊など、本当に重要な箇所には波線の赤線をたくさん引いておいてあげた。


おそらく彼は、保健体育の授業のときになってこの箇所を開いて、きっと僕といういとこのやさしさの底知れなさに驚嘆すると同時に、深く感動するのだろう。
場合によっては、その教科書の存在によって、クラスのヒーローになるかもしれない。



次の日、僕は伯父の家をすがすがしい気持ちで後にした。
人のためにいいことをしてあげるって、なんだか気持ちがいい。