今年の『24時間テレビ』で100kmマラソンに挑戦したANZEN漫才のみやぞんが、SNSで良いことを言っていた。
なんとか無事にゴール出来ました‼
— ANZEN漫才 みやぞん (@anzenmiyazon) August 27, 2018
沿道やテレビで応援して頂いた方やファンの方スタッフさんに心から感謝したします😭💖
まぁー楽しく出来たので大満足です😆
何かやったから人間価値があるわけじゃない🙌
ただ生きてるだけで人間十分価値がある😆✨
これからも楽しくやるぞーやるぞーやるぞー👍💖 pic.twitter.com/s0xHKrtxu7
何かやったから人間価値があるわけじゃない ただ生きてるだけで人間十分価値がある
これを、できるだけ楽をして生きていきたいぼくのような人間が言ったならば、大したことはない。右から左へと受け流されていただろう。
この言葉を、約165km諦めずに、弱音を吐かずに、走ったり泳いだり自転車こいだりし続けた男が言うセリフだから、ものすごくカッコいいのである。
そして、これこそが『24時間テレビ』が本来持つべきメッセージ性ではないか?
毎年、障害者に何かに挑戦させては、できたことをみんなで祝福する。それはそれで感動する人もいることだろう。
でも、それは裏を返せば、ありのままの彼らでは感動できないの? という話にもなる。
みやぞんは言う、本来人間は生きているだけで価値があるのだ、と。
奇しくもこれは、みやぞんが尊敬する大先輩、明石家さんまの至言、「生きてるだけで丸儲け」に通じるものがある。これを言うさんま師匠がただたんにネアカなお笑い怪獣ではなく、家族が不幸な死を遂げたことがあるという背景を知ると、その言葉の陰影に深みが増す。
みやぞんがSNSに言葉を投稿したのに前後して、漫画家のさくらももこが亡くなったという報があった。
みやぞんの言葉を聞いたこととリンクして、さくらさんの描いた漫画『COJI-COJI』という漫画の忘れられないシーンを思い出した。
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- 作者: さくらももこ
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あるときコジコジは担任教師の「先生」に呼び出され、「向上心がなさすぎる」と叱られる。何をしているのかと聞かれたコジコジが、毎日の悠々自適の暮らしを答えたところ、先生に「なにっ!? 遊んで 食べて 寝てるだけじゃないかっ」と詰め寄られる。
ここでコジコジは「えっ 悪いの? 遊んで食べて寝てちゃダメ?」「盗みや殺しや サギなんかしてないよ 遊んで食べて 寝てるだけだよ なんで悪いの?」と逆に聞き返す。
混乱した「先生」が、今度はコジコジに「将来は何になりたい?」と聞く。
するとコジコジは言うのである。
どうだろう、この圧倒的な自己肯定感。
これを、「なりたいもの」や「したいこと」をやたら強要されていた子どもの頃に読み、救われたものである。
知っている人も多いだろうが、このコジコジのキャラクターはデザインからしてものすごくゆるい(当時はゆるキャラなんて言い回しはなかっただろうが)。話し方もこんな感じだ。
であるがゆえに、その素朴な言葉がかえって刺さる。
みやぞんの言葉を読んだとき、さくらさんの訃報とリンクして、このコジコジの言葉を思い出したのである。
頑張って何かになりたい、やりたい、変えたいと思う人がいたっていい。
でも一方で、生きているままの、いびつな、欠点だらけの間違いだらけの自分を愛してやる、という視点を伝える言葉がもっといても良いんじゃないだろうか。