いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】お嬢さん

https://m.youtube.com/watch?v=oeMQxa5qxA0:Movie

映画公式サイトより


日本統治下の韓国を舞台に、日本生まれ韓国育ちの美しい令嬢と、詐欺師の男女が騙し合いを繰り広げる、エロい、怖い、痛いの三拍子が揃ったサスペンスです。

韓国映画、特に強烈なそれであるほど、毎回「なんなのそれ…」と心にさざ波が起きます。洋画にはない、ましてや邦画にはありえない「ギョっ」とする、ともすれば不快にもなりかねない成分。そのくせ、観終わったあとには癖になってる、というタチの悪い劇薬です。この映画も「なんなのそれ…」と困惑しっぱなしなんですけど、それは決して批判ではなく、「なんでそんなこと思いつくの…?」という一種の畏怖がないまぜになった感情です。

ぼくの中でこれまで最も「なんなのそれ…」となった韓国映画は「オールド・ボーイ」なのです。何を隠そう「オールド・ボーイ」を撮ったパク・チャヌクこそ、この映画「お嬢さん」の監督だったわけですね。そりゃそうなるわけだ!

「お嬢さん」と侍女の淫靡さしかない関係もたまりません。面長清楚系美女(ポスター下部)を「お嬢さん」、イモ系女子(ポスター左下)を侍女にすえたキャスティングも心得ている。このふたりがそこらのアダルティーな動画も顔負けな組んず解れつの絡みを見せるものですから、もしかしたら劇場鑑賞中に体に異変をきたし始めてしまう男女もいるかもしれない。

本作では、「日本併統治下の韓国」という時代背景も、「なんなのそれ…」を感じる上で重要なスパイスになっている。舞台美術、言語、そしてもちろん肉体という様々な位相で日本と韓国が混じり合い、独特に雰囲気を作り出しているのです。ぼくは、聴覚的に日本語を、視覚的に韓国語を、とここまで忙しなくインプットのチャンネルを変えた映画を他に知りません。

ミステリー的にも、人間関係が二転三転し、「偽りの愛」が実は「真実の愛」だったと解き明かすストーリーは飽きません。変態映画にありがちな、官能性は突き詰めているけどストーリーはクソ、ということもないわけです。ここ最近、喉ごしのよい洋邦画ばかり観ていたぼくには、かなり濃い目の一発でした。おすすめです。