他人を思い通りに操れる能力を持つ男と、その男が唯一操れない男が出会ってしまう話。
予告だけみると結構ナンセンスで面白そうなのだけれど、実物はどうもヒューマンな方向に行き過ぎた感じがする。
思い通りにならない他者に始めて出会った主人公は、それにムカついてなんとか彼を殺そうとするのだけど、どうしても上手くいかない。しかしそんな彼は、実は自分と同じ怪物であり、ある意味地球上で唯一の自分の理解者である、と発見するのである。なるほど確かにねと思う。だけど、なんか、なんかそこじゃないんじゃね!? と思うのだ。これではただの情操教育だ。
攻撃にしても、川尻達也を出したそのあと、いくら大量であろうと一般人が素手で襲いかかったら、スケールダウン感が否めない。それ以外で主人公が能力を駆使したのは、銀行強盗と警察署からの脱出、あと人のたこ焼きを食うぐらいである。あまりに残念すぎる。
まぁ、橋田壽賀子みたいな鈍重な脚本からすれば、そんなこと望むべくもないのかもしれない。なんつーのだろう、全編すべての言動が記号的なのである。とくに日常パートのサブいやりとりがとにかく辛く、次第に早く非日常パートに移ってほしくなり、藤原竜也と山田孝之の対決をひたすら待望するようになる。
山田の仲間としてオカマをやらされている落合モトキが本当にかわいそうで、毎分、いや毎秒すべっている。登場時の描写もぶったまげるが、相方のオタクくんにしろ、今時どーなのよというぐらいステレオタイプだ。指名手配されたあと、スパかプールかでのんきにビーチボールで遊ぶ3人の姿は、今年公開の映画では一二を争う珍描写だろう。
で、AKIRAはなんだったんだー。