いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】レポゼッション・メン

ジュード・ロウ主演、フォレスト・ウィテカー助演による近未来SF。
経済が破綻した世界で、人工臓器サービスの利用料の滞納者から臓器を回収する回収屋(レポメン)の男たちの姿を描く。

自分で説明してて改めてなんだこりゃって思うし、実際観ててもなんだこりゃってなった映画である。
ロウ様、冒頭から滞納者の腹をかっさばき、順調に臓器を回収していく。回収、回収〜。
その手順がすごい。抵抗する相手を電気ショックで気絶させると、そのまま麻酔もなく、消毒もせず一気に切り開き、中に手を突っ込みクチュクチュやるのだ。乱暴すぎんよ!
映画は、このクチュクチュ描写をこれでもかと繰り返し描く。制作サイドのフェチシズムを感じざるを得ないが、最終的にそれを、男女の愛の行為にまで昇華させてしまうのだから凄い。2時間何度も見せつけられ理性をレポゼッションされた鑑賞者は、この愛の逢瀬を受け入れられる…ということにはさすがにならなかった。

このようなマジキチな仕事を生業にしているようだから、奥さんもご機嫌ななめ。あなた早く内勤にしてもらってとせがまれ、主人公はなくなく異動願いを出し、最後の「回収」に臨むのだが。。。


自分の身に起きたことをきっかけに、自分の仕事の残忍さに気づくあたり、おまえ今までそれがわからなかったのかとこの主人公のマジキチ度合いを再確認するところである。
というか、臓器を取り上げられた側はほぼ確実に死ぬのだが、これは傷害致死にならないのか? このあたりの世界観の雑さは気になる。もしかすると、弱いものを見捨てる米の医療制度などを皮肉っているのかもしれないが。そもそも、あんなに大量生産されてるのにわざわざクチュクチュして回収しなくても!
映画「ブレードランナー」や「未来世紀ブラジル」といった往年のSFへのリスペクトは伝わってくるが、それも少々先走りすぎか。
フォレスト・ウィテカーのこれでもかと変化する顔の演技だけがぼくの救いだった。