すでに局所的に話題になっているが、インターネット界でまた一つ面白いお話が生まれている。
〜就活を控える学生必見!社会人の方と交流することで世界を広げよう〜
・就活などのアドバイスを受けたいから社会人の方と交流したい。
・社会人が行くようなおしゃれなお店に連れて行ってもらいたい。
などと思ったときになかなかいい機会がなくて困ったことはありませんか?就活の時やさまざまな場面で、社会人の方と交流を持っているといないとでは、大きく違いますよね。
大学の友達が同じような悩みを抱えていたので、どうにか20代の社会人の人と楽しく交流できる機会を提供してあげたいなと思い。
今回そんな悩みを解消するイベントを企画しました!!
だけど、このようなパーティーってチャラそうな人がくるんじゃないの>_<?
まともな人少ないんじゃないの>_<?
など不安ですよね。
なので、今回は社会人側の人数を『40人』と人数を絞り
厳選された社会人の方に来てもらうイベントにしました!(後略)
何度も使われる「>_<?」のバカにした感じ何なの>_<? というイラだちは募るがそれはともかく、大学のイベサーがやってそうな、よくある意識の高いイベントだと、お・も・い・き・や。
このイベントにはもう一つ、まったく別の入り口があったのである。
【女子大生60人vs社会人40人】 の『夢のハーレムコン‼』〜女性は厳選したかわいい女子大生のみ!!★飲み放題!★
女子大生と出会いたいけど、なかなかそんな機会なかなかないと思っていませんか?
せっかく社会人と付き合いたいという女子大生が多いのにもったいないです!!
そんな20代~30代前半大手企業の社会人の皆さんに最高のイベントを提供します!!!!!
女性は全員女子大生のみ!!!
さらに、現時点で60人は事前チケットをご購入頂いてますので、参加確定です!!!!
つまり「「何があっても女子大生が60人は最低でも集まるEventとなります」」
さらにさらに、主催者が大学ミスコンの運営者なので、厳選されたかわいい女子大生が
きます!
さらにさらにさらに!今回女子大生を誘う段階で『付き合うなら社会人のほうがいい!』
というのもチェック済みです!!!!!!!
このクオリティの女子大生のみを集めてイベントを行えるのは今回限り!!!
皆純粋に楽しみに来ておりますので、女子大生だらけの超宴会をおもいっきり楽しみながら、
仲良くなってしまいましょう!
(後略)
前者もそれほど賢そうな文章にはみえないが、後者の文章にはまた別のセンスが光る。卑猥な単語を一つもつかっていないのに、どうしてこんなに猥褻で俗物な文章が書けるのだろう。個人的には「!」と「!」の使い分けに意味があるのかが気になるところ。
何が言いたいかというと、前者と後者は会場はおろか、開催日時までピッタリと一致している。
つまりこの2つ、まったく同じイベントに対しての女子大生向け用、社会人男性向け用の告知ページなのである。
前者の告知ページを見た女子大生は、まさか後者のような告知を見た「社会人」が来るとは思わないだろうし、その逆もまたしかりである。これを読めば、女子大生は(男性女性をとわず)社会人と交流を深めて見識を広められると思うだろうし、社会人男性の側は複数の女子大生とよろしくできると思うだろう。双方のニーズが著しく解離しているのだ。
ちなみに前者では、「パーティーってチャラそうな人がくるんじゃないの>_<? まともな人少ないんじゃないの>_<? など不安ですよね」とあるが、後者をみてやってきた男が「チャラそうな人」でない確率の方が低いと思うのだが。
悪質であるが、その一方で企画者を頭いいと思ってしまったことが、悔しいところ。
よく読むと、前者は就活イベントであるとは一言も書いてない。「就活を控える学生」だの、「就活や悩みを相談しよう」「就活などのアドバイスを受けたい」などと、就活をにおわせてはいるが、イベントにおいて確実なのは社会人男性と出会えるというただ1点だけなのである。
また後者に、「女子大生を誘う段階で『付き合うなら社会人のほうがいい!』というのチェック済み」とある。あれ、そんなこと書いてねーだろと思うのだが、おそらくこれは前者の「社会人の方と交流したい」という文言にかかっているのだろう。盛り過ぎではあるが、真っ赤な噓ではない。うーむ、実にずる賢い。
一方で、2つの告知はどちらも同じPeatixというイベント告知サービスを利用しており、これは運営側的にはアリなのか、という話はある。
利用規約の第4条によると、掲載するイベントは審査しているようで、「面識の無い異性との出会い」を目的とするイベントについて、利用停止および削除などの措置をとるとしている。その基準でいくと、このイベントは限りなく黒にちかいグレーな気がするのだが……。
改めて言うまでもなく、ゲスい話である。
けれど同時に、こうしたことは世の中で常にすでに起きている出来事のような気もする。もし女子大生に「就活の話、聞かせてください!」とオファーされたとすれば、どうだろう? 断言しよう、大学のOBやなにやらの男たちのメリットといえば「女子大生と飲める!」、ほぼその一点に尽きるのだ。
ニーズに解離はあるが、お互いにメリットがある――不当なほどにギャップのある2つの広告は、そのシチュエーションの形を変えた具現化である。われわれが嫌悪感を抱くとしたら、男と女のそういうシチュエーションを何度も体験しているからだろう。