いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】わかりやすくて、おもしろいことの尊さーー映画「かぐや姫の物語」

観ますた。
いやぁ、わかりやすく、ふつうにおもしろかった。
興収も好調らしい。
それもわかる。だってわかりやすくて、ふつうにおもしろいもん。


この映画の「わかりやすい」の対照的な例は、同じく今年公開された宮崎駿監督の『風立ちぬ』だ。
あの映画については、登場人物(主に主人公)の不可解な行動が物議を呼び、映画自体の評価もかなり割れた。その解釈をめぐる場外乱闘も含め、曰く言いがたいものがあったことも含め、『風立ちぬ』の「おもしろさ」だったはず。


けれどこの映画は違う。この映画に関していえば、おそらく10人中10人が、解釈で違わないだろう。この映画に「よくわからない部分」や「解釈の余地」なるものはない。わかりやすいのである。


それでいて、飽きることなくふつうにおもしろい。
ここでいう「ふつう」とは、平均点という意味ではない。映画そのもの、2時間強という時間、目の前のスクリーンで映し出されるアニメーションそのものが面白かったということである。


なぜこうもわかりやすく、おもしろいことを強調するかというと、誰にでもわかる話にもかかわらず、多くの人がおもしろいと思うことは、実はとんでもなくすごいことなのでは、と思うからだ。


では、何がおもしろいのだろう。おもしろいと感じる知覚の源泉は判別つかないが、まずこのアニメのタッチが楽しいということは言うまでもない。公開前、初見では黄桜のカッパのCMにやや似てるなぁと思ったものだが、この作品最大の魅力は、この画のタッチなのだと思う。

高畑監督も、このタッチに勝算があったんじゃないだろうか。


だからといって、活発に見えてときに異様なほど従順になるジブリ印のヒロインや、ジブリ特有のギョッとするアクションがないわけではない。


最後の「パレード」は、竹取の翁たちからしたらすごく悲しい場面なのに、調子外れに明るく楽しい情景と、そして音楽が印象的。今 敏『パプリカ』の夢のシーンを思い浮かべたのはぼくだけでないはず。

クライマックスがすこしアッサリしている様にも見えるけれど、そんなことは些細なことにすぎないと思える2時間強だといえる。