連日猛暑が続き、そろそろ水着をタンスから出す季節になってきたが、アメリカでこんなことがあったという。
カンザスシティ近郊のインディペンデンスに住むマデリン・シェファーさん(43歳)は先日、市営のプール施設「アドベンチャー・オアシス・ウォーター・パーク」に親戚の子どもたちと出かけました。すると施設内で突然、若い従業員から呼び止められると、彼らは彼女のビキニが「肌を露出しすぎで、公共の場に好ましくない」として、衣類で隠すか、もしくはプールの敷地内から今すぐ出て行くようにと、マデリンさんに選択を迫ったのです。
「肌を露出しすぎで、公共の場に好ましくない」って、ここプールやないかい!とツッコミたくなるが。
女性は肌を隠すことも自ら出ていくこともどちらも拒否し、駆け付けた警察官によってこのあと実際に退去されせられたという。
この女性の話では、「周りを見渡せば、彼女よりもっと若い女性たちが何人もビキニ姿で泳いでいた」らしく、年齢や体型への差別だと憤慨しているという。
記事には、おそらくこの女性の当時の格好だと思われる画像も掲載されている。
http://news.livedoor.com/article/image_detail/7857170/?img_id=5010934
この格好をみて、あなたは退去の処分に賛成だろうか? 反対だろうか?
たしかにこのシェファーさん、ダイナマイトバデーではあるものの、退去するほどのものではないとぼくは考える。
ただ、難しいのはこの画像からは下の水着の形状がはっきりとわからないのだ。記事に特に記述がないところから、たぶんTバックやTフロントではないと思われるが、もしそれらだったとしたら話は別で、たとえば東京都内の市営プールではTバック着用が禁止の施設もあると聞き、そのあたりが「手打ち」として妥当だと思う。この点で、この画像のカメラマンにはもっといい仕事をしてほしかった。
ここからはTバック、Tフロントではないとして話を続ける。
先述したように、シェファーさんの言い分では他にも女性がいたわけで、年齢との兼ね合いで彼女だけがはじかれたのだとしたら、これは立派な差別だろう。日本の求人には何気なく「30歳以下」などと書いてあるが、海外ではもっと年齢差別に敏感だと聞く。
彼女だけに出て行けと言ったならば、「公衆の場で好ましくない」というのは建前で、運営者側は「中年女のビキニは見苦しいぞ」と言っているようにしか思えない。中年女性のビキニに寛容なことで定評のあるぼくが運営者だったならば、「見苦しい」など思うはずもなく、シェファーさんはその後もプールを楽しんでいたことう。
シェファーさんは、年齢と体型によってあらわになる「見た目」によってはじかれたわけだが、実はこの騒動は表現規制の問題と似ている。
だれもが共有できるような絶対的な基準はなく、規制者の側の恣意的な判断によってアリ/ナシが線引きされるという点では、表現規制となんら変わらないのだ。また明確な「被害者」がいないという点でも似ている。彼女の水着姿も規制される作品も、見ただれかが苦情を入れたとか、見たせいで深刻な精神疾患を患ったと訴えたわけでないのに、前もって排除されるわけだ。
ビキニが小さいというなら、水着メーカーがビキニの面積を記載して「公衆プールでもOK」というお墨付きをあたえればどうか?ということも考えた。だがこれも体型との兼ね合いがあって、細身の人が着るのとシェファーさんのようなはち切れんばかりのダイナマイトバデーの人が着るのとでは、見え方も違ってくるだろう。
しかし、もしかしたらシェファーさんが他にもいたというビキニの若い女性がみな細身で大き目のビキニだった可能性もなきにしもあらずで、これはどんなに想像力を巡らせても、現地のプールに行ってみないとわからない。
夏です。プールに行きたい季節です。