- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2003/07/02
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冷戦下に建造されたソ連初の原子力潜水艦「K-19」の処女航海中に起きた事故を題材にした映画。キャサリン・ビグローは、『ハート・ロッカー』、『ゼロ・ダーク・サーティ』と観たので、ついでにこれも観ておこうかなと鑑賞。
ジャンルとしては海洋パニックものになるんだろうか。観る前のイメージでは『トータル・フィアーズ』や『13デイズ』のような、核戦争一歩手前の重大事かと思いきや、ぜんぜんちがった。どちらかというとソ連の独り相撲。
ハリソン・フォードと「最強のパパ」になる前のリーアム・ニーソンの共演。このおっさん二人の組み合わせで想像つくが、重苦しい映画だ。
それに拍車をかけているのが、今作で主な舞台となっている窮屈そうな潜水艦内のセット。実際に潜水艦とはそういうもんなんだろうけれど、その窮屈な艦内を屈強な野郎達があっちへ行ったりこっちへ行ったりするのだから、ものすごく重苦しくて、ありえないほど暑苦しい映画だというのが、わかってもらえるだろうか。
途中までは絵づら的にもストーリー的にもすこし地味なんだけれど、ある決定的な事件でぼくはやられた。
原子炉の故障(たぶん建造中の不手際)によってメルトダウンが起きる可能性が浮上する。
このまま炉心の温度が上がり続ければ、ヒロシマ以上の爆発が……そこで乗組員らが修復にかり出されるのだが、ここから続く展開が悲惨すぎて悲惨すぎて。
まさにこれ、現代の「人身御供」なのである。
これがソ連で起きたというのもさもありなん。党利党則のために人命軽視だったという旧共産圏のイメージと、すんげぇ合ってんだわな、この嫌な展開。被爆の計測器(?)の数値をみたドクターの、まさに言葉を失うあの表情とか、細かい演出もここでは効いている。
ロシア人なのに全員英語で会話しているのはけっこう興ざめだった。そんな映画くさるほどあり、仕方ない話なのかもしれないが、史実に基づいているだけにちょっとこれはつらい。劇中、敵国のアメリカの暮らしを写したフィルムを観ながらアメリカをののしる場面があるんだけれど、そこにいる全員が英語しゃべっているのはかなり滑稽だった。
もっとも、調べてみると実際の乗組員の人による発言があって、けっこう創作の割合が大きいみたいだ。
『K-19』、実話部分は2ヵ所だけ? - シネマトゥデイ
ただ、受けた衝撃の最大瞬間風速は、『ハート・ロッカー』、『ゼロ・ダーク・サーティ』を少し上回るくらいかもしれない。お勧め。