いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

和牛がM-1を“完全卒業” 前人未到の“3年連続準優勝”というイカつい人生

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和牛がM-1を完全に卒業してしまった。

「完全卒業」というのはなんともおかしな言葉で、実際には2年前の2019年大会後にラジオで「卒業」を宣言していた。

ただ、実際には結成15周年という有資格の期限、いわゆる「ラストイヤー」となる今年のエントリーの締め切りが昨日8月31日だったため、今日までにエントリーが確認とれない現状、本人たちが望んでももう出られないという意味で「完全卒業」となったわけだ。

 

ボケの水田信二とツッコミの川西賢志郎からなる、アクのない、清潔感にあふれた2人組については、もはや説明不要だろう。

M-1においては当初、水田の理詰めなうざい男キャラを全面に押し出した「キャラクター漫才」で頭角を表したが、その後、世界観を広げていき、たった4分という時間の中に、緻密なガラス細工のような漫才を幾重にも生み出していった。

毎度のごとく、驚くべき構成力の漫才を大舞台でほとんどミスすることなく披露し続ける強心臓。そんな彼らについては、いつしか「ネタがすごすぎて笑えない」という、漫才師にとって名誉なのか不名誉なのかもはや分からない言葉が適当になっていったほどだ。

2016年から2018年までのM-1は、和牛を中心に回っていたと言っても過言ではない。どの大会でも優勝候補に数えられており、実際、ネタの構成力で彼らに勝るコンビはいなかったように思える。

しかし、漫才の魅力は構成力だけではない。皮肉なことに、どの年の大会も、和牛とは違った魅力を武器にしたコンビに優勝をかっさらわれ、和牛はあと一歩のところで涙をのんだ。

そんな和牛が昨年、出場しなかった。以前にも書いたが、和牛の不在があったからこそマヂカルラブリーが優勝した昨年の大会は、新たなフェーズに入った気がする。コンビのキャラクター、勢いやパワー、年季の入った味わい、総称すれば「文脈」が求められた大会だったと感じる。

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冒頭で「卒業してしまった」と書いたのは、やっぱりそうはいっても「和牛の優勝が見てみたい!」という気持ちがあったからだ。でも、もうそれは叶わない。

かつて、ジャルジャルの福徳秀一が、『M-1グランプリ2017』のオープニングVTRの中で、「『M-1優勝』っていう1ページがあるだけでだいぶイカツイでしょ人生」と言い放ったことがある。もはや国民的イベントに成長した大会について、見事に言い当てた表現だと思った。

しかし屁理屈を承知で言えば、これまでM-1王者が16組誕生しているのに対して、「3年連続準優勝」のコンビは和牛をおいてほかにない。今後もおそらく現れないだろう。「3年連続準優勝」だって、間違いなく「イカツイ人生」なのだ。

空前絶後シルバーコレクター、最強の無冠の帝王が、M-1に別れを告げて、次のステージへ進む。