単刀直入に言うと、映画でポップコーンを食べられるのが大嫌いである。
昨日、『アイ、トーニャ』を観ていたときも、隣のカップルがボリボリボリボリやってる音が気になってむかっ腹がたってきた。
特に、マーゴット・ロビーが迫真の顔芸をしていたところでボリボリ始めたときは、さすがに横を見て、お前マジかと目をひん剥いてしまった。彼氏がウシジマくんみたいな風貌だったので黙っていたけれど。
また、混雑した劇場でのポップコーンはトラブルのもとだ。先日も上映前、ある客がほかの人の足をまたぎながら席にたどり着こうとしていた際、抱えていたポップコーンをこぼしてしまい、前列に座る人が頭からかぶる「ポップコーンの雨」を目撃した。
なにより、考えていると腹が立ってくるのは、
・お前ら普段そんなにポップコーンを食べないだろ、という点
・劇場側がすすんで売っている点(のわりに「上映中はお静かに」とかいっているこの矛盾!)
である。
ただ、多くの映画館では飲食物の持ち込みを禁じた上、ポップコーンを売っているのである。
そういう点で、「普段ポップコーンを食べていないのに劇場では食べている」というより、「ポップコーンしか食べるものがないから仕方がない」というのが実情だろう。
つまり謎は、「なぜ、咀嚼音のするポップコーンを劇場サイドは売りたがるのか」という点に行き着く。
なぜ映画館でポップコーンを売っているのか
そんなことで、まずポップコーンがなぜ映画館で流通しているのかを調べてみた。
諸説あるようだが、結論から言うとそれらはどれも「ポップコーンじゃなきゃ絶対だめ」な理由ではなかった。
さまざまな理由からたまたまポップコーンが選ばれ、なんとなくそれが続いているだけなのだ。
であるならばなおさら、ポップコーンでなくていいではないか。
映画館からポップコーンを追い出すべく、ニュースターを選定する
というわけで、ポップコーンに代わる、映画鑑賞に最適なお菓子のニュースターを選ぼう。
ここまで書いてきた通り、「なにがなんでもポップコーンでなきゃダメ」な理由はないのである。
ならば、ポップコーンが映画館で流通している理由を列挙し、「それは、〇〇でもよくね?」と考えれば、代替物を選べるはずだ。
そして、それは「綿菓子」なのである。
映画館でポップコーンが売られる理由、が綿菓子でもいい理由
ここでは、谷國大輔『映画に仕組まれたビジネスの見えざる手 なぜ映画館にはポップコーンが売られているのか』(スマートブックス)から「映画館でポップコーンが売られている理由」をピックアップしていき、「それ、綿菓子でもいいですよね?」ができるかをやっていこう。
(↑ポップコーン以外のビジネスの話もいっぱいあっておもしろかったよ)
理由1 音
映画館で気になるのは音だ。隣の人にお煎餅をバリバリと音を立てて食べられては、じっくり映画鑑賞できないというもの。でもその点、ポップコーンをかみ砕く音、お煎餅よりもがぜん小さい。
これを初めて読んだとき、谷國さんマジですかとズッコケそうになったが、ポップコーンは谷國さんの感覚では音が小さい部類に入るらしい。いや、大きいですって!
いうまでもなく、ポップコーンに比べれば綿菓子の咀嚼音なんて微々たるもの。いや、 あれで音をさせるほうが難しいはずだ。
理由2 掃除
映画上映の合間、次のお客さんが入場するまでの短い時間に、映画館内をササッと手際よく掃除する必要があるのだが、その点ポップコーンは都合がいい。座席に落ちてもべとつかないし、コロコロ転がるから掃除がしやすいのだ。
たしかにポップコーンは、食べ物の中でも掃除がしやすい部類に入るだろう。
しかし、この考え方には錯誤がある。
そもそもこぼれなければ掃除すらしなくていいのである。綿菓子にこぼす心配があるだろうか?
理由3 衛生面
ポップコーンはトウモロコシを高熱で加熱しポンと弾けさせた食べ物だから、食中毒の心配がない。
なぜ、「高熱で加熱してポンと弾けさせた」ら「食中毒の心配がない」のか、そこの論理が若干曖昧であるが、それはともかく、これについてはポップコーンも綿菓子も大差ない気がする。
縁日で売られている食べ物の衛生面について危惧されることが多いが、幸い、綿菓子で食中毒という記事は出てこない。
また、綿菓子の賞味期限についても、未開封の市販のもので3か月程度もつとのことだ。
理由4 原価率
映画館にとってとても大事な理由なのだが、ポップコーンは原価が安いので儲けが非常に大きい。仮に原価が20円でそれを200円で売れば、それだけで180円も粗利がでる計算になる。それに、ポップコーン製造機は比較的安価でメンテナンスもしやすい。
映画館サイドにとって最大の関心事はこれだと思われる。
ポップコーンについては劇場によってサイズ、価格ともにまちまちだが、こちらのブログを参考にしよう。
このブログではユナイテッドシネマとイオンシネマの量から、原価を出している。これに従うと、どちらも原価率は17%前後。例えば、「マクドナルドの原価率はおよそ90%前後」だというのだから、これはかなり優秀といえるだろう。
では、綿菓子はどうか。これについては驚異的なデータがある。
昨年8月の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)において、「原価率の低い食べ物ランキング」なるものが発表されている。
何を隠そう綿菓子は、そのランキングで1位に輝いている。原価率は3%。17%というポップコーンですらはるかに凌ぐ、驚異の数値をたたき出しているのだ。
原価率で考えるならば、ポップコーンがよくて綿菓子がダメな理由はない。
ちなみに、2位のかき氷(12%)、3位のベビーカステラ(14%)なども劇場で売ってみたらいいかもしれない。
そのほか、とあるネット記事によると、「ポップコーンなら投げても問題がない」という理由もあったという。昔はつまらない映画だと客がスクリーンに物を投げていたらしい(なんて野蛮な…)。
この理由についても、綿菓子であっても問題ないのは言うまでもない。
まとめ:綿菓子が最強! ただしネックは…。
ここまで書いてきた通り、綿菓子こそ、ポップコーン以上に映画鑑賞に適したお菓子である。
ただし、そんな綿菓子にもネックが一つだけある。塩味がないということである。
ポップコーンの魅力といえば、あの香ばしい塩バター風味である(ポップコーンそのものが嫌いなわけではない筆者)。少なくとも、縁日などでは塩味の綿菓子などみたことがない。
とおもって調べたところ、過去にはわれらがDPZがこれに挑戦している(自分の思いついたことはたいていすでに誰かが試してくれている。VIVA、ネット文化!)
この記事に従うならば、塩味の綿菓子に可能性は感じられない。塩味がないというのは、綿菓子にとって結構大きなディスアドバンテージかもしれない。
ただし、そんなことは映画鑑賞にとって微々たること!そもそも、おめえら飯食いに来たわけじゃねえだろ。映画を観に来たんだろ。2時間ぐらい我慢してよ!
というわけで、TOHOシネマズその他の劇場関係者には、いますぐにでも綿菓子製造機を大量発注してもらいたいものである。
おまけ
最後に唐突な自慢を放り込んでおくと、うちにはポップコーンメーカーがある(結婚祝いで友達にもらった)。
だからなんだという話だが、とくに理由はない。本当に自慢したかっただけである。