いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

連休はこれ観とけ! Netflix・アマプラで観られる厳選映画16選【ドキュメンタリー編】

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今日から年末年始の休みという人も多いということで、ガラにもなくこういう記事を作ってみた。「いかがでしたブログ()」とバカにしていたのだが、いざ自分で選んで、紹介文も書いていたら時間はかかるはめちゃくちゃしんどいはで、すべてのまとめ記事作成者にここで謝罪したい。今までバカにしてごめんね!

ということで、自分が観た映画で面白かったもの、観るべきもの、観る価値があるものを、Netflix(【NF】)かアマゾンプライム・ビデオ(【AP】)で無料で観られる作品にしぼり、 芸術・カルチャー系政治・経済系、事件・騒動系の3ジャンル別に紹介したい。

アマゾンプライム・ビデオについてはリンク先からそのまま観られます。

■ 芸術・カルチャー系

(1)サイケの世界 ~スターが語る幻覚体験~【NF】

スティング、キャリー・フィッシャー、ベン・スティーラーらが、LSDを始めとする幻覚剤の体験談を赤裸々に語る。ハイになったとき、彼らには一体何が起きているのか? スティングの「キマった状態でのハレー彗星はすごい」など笑えるキラーワードも続々飛び出すので楽しい。

頭ごなしに否定するのではなく、経験者の話をきちんと聞こうというスタンスなので、「キマっているときは自動車を運転するな」「キマっているとき自分を鏡で見ないほうがいい」といった実践的なアドバイスもある。これこそ「地上波でできない番組」。

硬軟のバランスも絶妙で、精神疾患者への一部治療に有効で見直され始めている、という近年のトレンドもまじめに伝えている。


(2)オクトパスの神秘:海の賢者は語る【NF】

観る前「硬そうな動物ドキュメンタリーだな」→観た後「いい恋愛映画だった!」。

目標を見失った失意の男が海中で出会った“彼女”との1年を追ったドキュメンタリー。…いや、彼女といってもマダコなのだが。

毎日、“彼女”が住む海に潜り、会いに行っていたというのだからすごい。もう恋愛じゃん。驚くべきは、タコの側も彼を認知していたように見えるところだ。タコってこんなに頭がよかったんだ。タコでこんなに感動するとは思わなかった。

 

(3)ドーンウォール【NF】

著名なクライマー、トミー・コールドウェルが、ロッククライミングの聖地エル・キャピタンという巨大な岩の中でも超難関ドーンウォールというルート制覇のプロセスを追った作品。

挑戦のパートナー、ケビン・ジョージソンとの友情がアツいメインのクライミング部分ももちろん面白いのだけど、それに至るまでのトミーさんの生い立ちがなかなかヘビーだ。こんな大変な思いをして、すごい挑戦をしている。そしてそれを俺は家で寝転んだままボーっと眺めている。人類の多様性!

過去に詳述。


(4)VHSテープを巻き戻せ!【AP】

VHSテープを巻き戻せ!

VHSテープを巻き戻せ!

  • メディア: Prime Video
 

 現在30オーバー世代は懐かしさでたまらないはず。いまや完全に旧メディアであるVHSの思い出と魅力について、さまざまな人々が語った作品。

レンタルビデオは「おっぱいが出るシーン」と「人が爆発するシーン」をみんなが繰り返し観るからその前のシーンが擦り切れて画質が悪化する、というどうでもいいけど面白いトリビアも学べる。

過去に詳述。

 

■ 政治・経済系

(5)ラッカは静かに虐殺されている【AP】

ラッカは静かに虐殺されている

ラッカは静かに虐殺されている

  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: Prime Video
 

今年観たドキュメンタリーの中で、ある意味一番怖かったかもしれない。イスラム国に占領されたシリアの首都ラッカ。そこで生まれ育った者たちが、イスラム国の残虐性と、ラッカの現状を伝えるために作った報道機関「ラッカは静かに虐殺されている」を追った作品。

報道が反逆とみなされ、記者だとバレたら即死につながる状況で、故郷のために戦う人々。イスラム国に名指しで暗殺予告を出された記者が、鼻で笑っていた姿が印象的だ。

なんといっても、イスラム国が反逆者を公開処刑していく様は普通に使われており、衝撃的。これを観ると、もはやイスラム国は欧米と第三世界という構図ではとらえきれないと直感的に分かる。ただただ邪悪な集団だ。


(5)あるスパイの転落死【NF】

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エジプトの高官でありながら、敵国イスラエルのスパイとして暗躍してアシュラフ・マルワンの謎に満ちた生涯を追う。

マルワンには「二重スパイ」疑惑、つまり、イスラエルのスパイ、のフリをしてやっぱりエジプト側だった、という説もあるということ。

本当はどちらなのかはまだ決着が付いておらず、おもしろいのは、エジプトとイスラエルのどちらもが、未だに彼を国のヒーローとして持ち上げていることだ。彼は実際何者だったのか? そして彼の死の真相は?


(6)すべてをかけて:民主主義を守る戦い【AP】

すべてをかけて:民主主義を守る戦い

すべてをかけて:民主主義を守る戦い

  • 発売日: 2020/09/18
  • メディア: Prime Video
 

邦題はもうちょっとなんとかならなかったのか…ということなのだが、内容はそれを超えて価値があった。

先日のアメリカ大統領選挙では「不正投票」が取り沙汰されていたけれど、本作は、マイノリティや貧しい人が、政策を通して合法的に投票し辛づらい状況に追い込まれている「投票抑圧」の問題を扱っている。背景には形を変えた人種差別があるのではというのが作品の見立てだ。

「不正投票」を問題視するならば、この「投票抑圧」の問題を扱わなければ片手落ちだろう。

 

(7)一人っ子の国【AP】

一人っ子の国 (原題 - One Child Nation)

一人っ子の国 (原題 - One Child Nation)

  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: Prime Video
 

子どもの頃に社会科で習った中国の一人っ子政策。本作は「国民の再生産を無理やり調整しようとしたら、どういうフリクションが起きたか」という克明なリポート。「これからは1人しか生むなよ」と言われたとて、当然「わかりました。では1人しか生みません」と全国民が従っていたわけではなく、政策実現のために裏でいろいろエグいことが起きていたわけだ。ぼくみたいに知識だけは知ってたけど…という人は衝撃を受けるだろう。

 

(8)私はあなたのニグロではない【AP】

私はあなたのニグロではない(字幕版)

私はあなたのニグロではない(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/03
  • メディア: Prime Video
 

アメリ黒人文学の巨匠ジェームズ・ボールドウィンの原作の映画化。ボールドウィンの盟友であり、30代の若さで暗殺された公民権運動のリーダー・メドガー・エヴァース、マルコムXキング牧師の生き様を追いながら、60年代の公民権運動から現在のブラック・ライブズ・マターに至るまで、同国の人種差別と暗殺の歴史に迫る。

現代の映像に、ボールドウィンが遺した散文が差し込まれるシーンが印象的。この映画が言いたいことはとても明確だ。「差別は依然として、何も変わらないままそこにある」。


(9)13th 憲法修正第13条【NF】

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タイトルでもあるアメリ憲法の修正第13条とは、奴隷制の廃止を謳った条項だ。しかし、その条項には「犯罪に対する刑罰として当事者が適法に宣告を受けた場合を除き」という条件が付随している。本作が注目しているのは、むしろ条件の側だ。

本作は奴隷制廃止後、産業の要請によって、囚人という形を変えた奴隷制によって黒人を虐げてきたアメリカ史を追うドキュメント。

(9)と同様に今現在、世界で起きていることの深層を知るために重要な1作。ぼくは一応NFの泡沫株主でもあるのだけれど、これを観終えたときに、この会社の株を持っていることが誇らしくなった。

 

(10)監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影【NF】

ツイッター民、いや、全SNSユーザーが刮目すべき一作。テック業界で活躍してきた、いわばSNSの創造主たちが「SNS危険! 規制すべき!」とみなで警鐘を鳴らしているさまそれ自体が、事態の深刻さを物語る。「無料のサービスを使うとき、商品になっているのはあなた自身だ」という言葉は至言だ。

SNSはあなたをどうやって操作しているか」を、擬人化して少し滑稽な寸劇で解説してくれている。かつて『メディア・レイプ』という本が流行ったが、今や、同じことをソーシャルメディアはより緻密に、より狡猾に仕掛けてきているんだなあ。 

 

■ 事件・騒動系

(11)FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー【NF】

アメリカのウェイ系はスケールがちがう。あるベンチャー起業家がぶち上げた、史上最大の野外音楽フェスの計画が、無責任なセレブたちによって拡散していった先で、無様に頓挫する、その一部始終を関係者の証言を元に解明していく一作。

起業家の壮大な夢と、あまりにも拙い計画性のギャップを、「こういうの、どこの国にもあるのね」と思いながら観てしまった。悲惨な現場猫たちの物語としても泣ける。劇映画の『ソーシャル・ネットワーク』が好きな人が観ておいた方がいい。

過去に詳述。


(12)スクリューボールMLB薬物スキャンダル~【NF】

アメリカの大リーグに激震が走った、一大スキャンダルのプロセスを追った作品。

再現映像で当事者たちを演じているのが全員子役に演じさせているのが秀逸。「こいつらがやってたことはそれぐらい稚拙で幼稚で馬鹿馬鹿しいことなんだよ」というのがよく伝わってくる。

 

(13)アメリカン・マーダー:一家殺害事件の実録【NF】

アメリカのある一般家庭で起きた殺人事件を追った一作。

特徴は、被害者である嫁自身がSNSで公開した自撮り動画や、監視カメラの映像など、そのほとんどが実際に撮られた映像で構成されていること。SNS中毒(?)の嫁のキャラが濃いのと、露骨に怪しい夫の雰囲気、そして意外とあっけない自白シーンなどその全てが生々しい。

最後に差し込まれる恐ろしい統計上の事実が、この映画のタイトルに込めた思いなんだと思われる。

 

(14)ロングショット【NF】

セス・ローゲンシャーリーズ・セロンが出演する同名のラブコメがあるのだが、こちらは全く別物の事件のドキュメンタリー。

ドジャーススタジアムでの試合中、球場の近くで若い女性が殺害される事件が発生。その時間に球場で観戦していたこの映画の主人公フアン・カタランは、無実の罪によって投獄、そして死刑が宣告される危機に…。

なんとか彼の無罪を証明したい弁護側だったが、そこで天文学的な確率である「奇跡」が巻き起こる、というお話。冤罪自体が超レアなのに、その上にこんなことが起きるなんて。「人生何が起きるかわからない」が何重にも積み重なっている。

今回取り上げた作品群では37分と屈指の短さなので、時間がないときにおすすめ。

 

(15)まったく同じ3人の他人/同じ遺伝子の3人の他人【AP】

同じ遺伝子の3人の他人(字幕版)
 

もしもある日、自分の生き別れの三つ子の兄弟がいたことが分かったとしたら…?

これはアメリカで実際に起きた、生き別れになっていた三つ子が再会したという出来事を取り上げた一作。

メディアにも再三取り上げられ、幸せなエピソードとして幕を下ろしかけたけど…よくよく考えたらおかしな点があり、調べてみたら実はその背景には問題が隠されていて…という怖い展開になっていく。

 

(16)本当の僕を教えて【NF】

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予備知識を入れずに観たから衝撃的だった。

病気で記憶喪失になった男と、彼に嘘をつき続けた双子の兄弟の実話。最初はそういう双子の話なのね、と観ているのだけど、どうも事情はそれだけでなさそう、というのが徐々に明かさらていき、悲惨に真相が明かされる。

全部観ると、こんなに愛と慈悲に満ちた嘘もない、と分かる。

またこんな悲惨な境遇で、なおかつ記憶喪失になるというのは、どんだけ数奇な運命なのだろう、とちょっと違う角度から考え込んでしまった。