いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ジェイミー、童貞やめるってよ 40点

もうなんか、パロディでややウケを狙った志の低い邦題にゲンナリさせられるが、
誰も童貞でいたいから童貞でい続けるわけじゃねーから!!!
(↑そこか?)
原題の“Love Bite”は日本語では「愛咬」という聞き慣れない言葉で、性愛で相手の身体を歯形を残る程度に咬む行為をさすものらしい。こういう奥ゆかしい日本語は残していきたいし、積極的にそういう現場にからんでいきたいものだ。
邦題のせいで『スーパーバッド 童貞ウォーズ』的なちょっぴりエッチなラブコメを想起しそうだが、結構やわではない程度にはホラー映画である。ブラックコメディとでもいおうか。


主人公は、英国のとある港町で母親が営む民宿を手伝う、内気で優しい青年のジェイミーくん。早く童貞卒業しようぜ! という仲間3人とともにパーティーに参加し、そこで運命の女性ジュリアナと出会うのだが、彼女がどうもワケありっぽい。一方その頃、満月の夜に童貞や処女の純血を狙う人狼が現れるのじゃ……という寝言をほざく人狼ハンターなるオッサンもやって来て、ジュリアナがその人狼だと彼に警告する。


童貞を捨てないとヤバい! だけど、純情ボーイのジェイミーはジュリアナを忘れられないし、捨てるとしたら彼女だ! という葛藤があるはずだ。
それこそ『桐島〜』の前田が書いたような脚本だが、あまりその葛藤が上手く描けていたとは思えない。
それに、前田ならば途中でジュリアナとはちがう別のデブスネタを、しつこいほど押すようなことはしないだろう。
加えて、ジェイミーの仲間2人の男子校的キャッキャウフフ感が本当に不快。それが「こいつらくだらねぇだろ? だから童貞なんだよ」という作り手側の視点かというとそうでもなく、そもそも物語上で必要というわけでもないのだから邪魔である。

ジェイミーはいよいよ満月の夜になって誰かれかまわず童貞を捨てる決心をするが、いや、そんなことならもっと前に済ませとけよという話だし、当日素っ裸で町に放り出される据え膳状態でも襲われず、人狼の生態もよくわからん。


クライマックスで人狼の正体がわかったあと、それまで最低限保たれていた作り手側の緊張感がぷっつり切れたかのように、酷いオチに走る。
童貞を冒涜するような一本である。