いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】デ・パルマチックな恋愛サスペンスーーホワイト・ライズ(原題:Wicker Park)

ホワイト・ライズ [DVD]

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ジョシュ・ハートネット主演のラブサスペンス(?)。
2年前に突如いなくなった恋人リサがいまでも忘れられないマシュー君。勤め先の上司の妹と入籍間近となっても、いまだに彼女の面影が拭えないでいる。
そんなおり、彼が中国への出張にいく直前に、姿を消したはずのリサを目撃してしまう。かすかな手がかりをもとに、彼女の行方を追うマシューだったが……。

前半のマシューの常軌を逸したストーカー癖に、なんだこりゃ感が高まる。中国への出張を先方と会社に嘘をついてぶっちするわ、無断で人のホテルの部屋にあがりこむわで、彼の行動は少し狂気じみている。そこまではある意味サイコサスペンスといった感じ。

ただ、そこをこらえて鑑賞を続ければ、中盤からは一転。それまでバラバラだったパズルのピースが徐々にはめられていくプロセスは、面白い。冒頭から、ブライアン・デ・パルマチックな2画面方式が多用されて、何の意味があるのだろうと疑問符が点灯していたが、ここで氷解。というか、失踪した女を追いかけるという筋自体、ヒッチコックデ・パルマのラインの影響下にあるのかもしれない。

マルチアングルでもう一度描かれる主人公の行動の背景には、切ない切ないもう一つの片思いが隠されている。あらゆるアクシデントにはまた別の意味があるわけで、この映画もみ終わったあと、もう一度確認で再生したくなる類の作品だろう。たしか朝井リョウの『何者』にもあったけど、自分の想い人が恋に落ちる瞬間を目撃してしまうというのは、なんとも切ない経験だなぁ。


自己中心的で、その他の人を傷つけまくった上で成り立ったハッピーエンドな気もするけど、そこまでのプロセスが楽しいから、まぁいいかぁという一作。