いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】アイアンマン3 ★★★★★

ロバート・ダウニー・Jr.を一躍スターダムに押し上げたアメコミ超大作の完結編。
単刀直入にいおう。めちゃめちゃアガる映画である。アドレナリンでまくりで、評者は劇中になんども「ウホ、いい鉄男(アイアンマン)」となった。
その「アゲ」の源泉のほとんどは、とある「新機能」が追加されたパワードスーツ最新作MK42(マーク42)にほかならない。もうね、最初の研究室でのお試しシーンでお腹いっぱい。

本作は、この「新機能」が様々なシチュエーションで大活躍。こんな使い方もあればあんな使い方もあるのかと、全編において面白いギミックになっている。観てない人の興をそぐのはアレなので明かさないが、ぜひとも体感してほしい。一点、現実にアレがあったら全身脱臼するんじゃないか思うが……。


本作3を観るにあたっては、前作2とのつながりよりも「アベンジャーズ」とのつながりがどうしても気になっていた。
あれはアイアンマンも参加したヒーロー勢揃いの一種のお祭りであり、本シリーズとはリアリティも若干ちがう。そこをつなげるのは、すこし無理があるように思えた。
しかし、本作は「アベンジャーズ」を黒歴史にすることなく、取り入れている。いやむしろ、アベンジャーズで去来したトニー・スターク=アイアンマンの心の葛藤が、本作3のキモにまで昇華している。見事な仕事だ。
この葛藤を彼が乗り越えるプロセスというか方法は、どことなくウルトラマンタロウの最終回と似ていると思ったのだが、どうだろうか。


本シリーズではおなじみのことだが、敵キャラの存在感が薄すぎるのはご愛嬌。ガイ・ピアーズ演じるマッドサイエンティストは、どんなに頑張っても脇役の域を脱せない(それにしても、たった一度放置プレイを食らったことで恨みを持たれるなんて、恐ろしい)。
だが、これはこれでいい。なぜなら、この映画で敵キャラが目立たないということは、トニー・スタークという主人公キャラクター――ナルシストで自信家で目立ちたがり屋――を体現している。「敵キャラが空気」であればあるほど、アイアンマンはアイアンマンらしくなれるのだ。
ベン・キングズレーのあれ、いるか?とか(そもそも、ガイ・ピアーズが彼を欲した根拠がうっす!)、テネシー州にぶっ飛んでからしばらく続くもっさりした展開など、なんともいえないバランスの悪さは残る。
けど、いいのだいいのだ。すべてはバージョンアップしたマーク42と、最後の畳み掛ける「全員集合」で帳消しになる。


クライマックスがしめしているように、「アイアンマン」シリーズは一通りやりきったという印象がある。スタークもといロバート・ダウニー・Jr.の「20年前〜」のセリフには、シリーズ終了にあたって、自分にカムバックのチャンスをくれたことへの感謝が込められているような気がした。

いずれにしろ、このシリーズはいったんここで幕引きだろう。「アベンジャーズ2」ではどのような絡み方をしてくるのか。


最後に、このシリーズではもはや不文律だが、エンドロールが流れ始めても席を立たないことをオススメする。