いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】スティーブ・ジョブズ 60点



いわずとしれたカリスマ経営者スティーブ・ジョブズの伝記映画。アシュトン・カッチャージョブズを演じている。有名なガレージでの創業や、社員をその場でクビにした逸話など、有名なエピソードを盛り込みながら、アップル創業、栄光、挫折、そして復帰までを描く。

アップルは「信者」と呼ばれる激烈な支持者が入る分、ジョブズの伝記映画なんてどうなんだろうと公開当時は危惧したが、ネットでは特に激烈な酷評も上がってなかったと思う。今回見てわかったが、なるほどたしかに、可もなく不可もなくという内容。


気分が一番盛り上がったのは、メカニカルなシーンが続く創業当時で、この辺りは映画『アイアンマン』を観た時と似た興奮を覚えた。そう、ジョブス氏は金のない、コードの書けないトニー・スタークなのだ。ジョブズの性格がうんこだったという点も、どこかに似ているでないか。


ただそのあと、あれよあれよと会社が大きくなっていってしまう様はかなり駆け足で、やや興ざめ。
会社の成長とともに周囲との摩擦も増し、ジョブズは会社を負われることに。この辺りからはD・フィンチャーソーシャル・ネットワーク』や、もっと言えば『市民ケーン』の話型と全く同じだが、それは彼が映画のような人生を送ったということなのだろう。


伝記映画というのは、対象人物の人生のどの時点を終わりにもっていくかが難しい。この映画の場合は中途半場で、有名な98年のCM「Think different」の部分で終わる。


亡くなって半世紀でも経ったあとの映画ならまだしも、つい数年前まで生きていた人物の伝記でこれはちょっとないだろう。


たしかに「Think different」を最後にもってくるのは、そのメッセージ性から劇映画として全体のまとまりを保つのには正しいのかもしれないが、その反面で“置きにいった感”も漂う。

こんな企画書をジョブズ本人に持っていったなら、突き返されるかもしれない。