いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座、直毛によるブログ。今ここに、ポスト宮根誠司を目指すことを誓います。

袂をわかちはじめたノマドたち

新しい働き方「ノマド」を提唱していた安藤美冬さんが、多摩大学の専任講師になっていたことがわかり、波紋を広げている。
http://www.tama.ac.jp/guide/teacher/andou.html

専任講師とは常勤のことで、一般企業での正社員と非正規社員の違い以上に、大学内部では非常勤講師に優越する立場である。
これが他の人の話ならば、へーとなるし、喉から手が出るほど大学の職をほしがっているポスドクの人なら、あら、おめでとうという話で済むのだが、わざわざ「いいとも!」に「働く場所をオフィスなど一つに決めずに移動しながら時間の制約を受けずに働く人」という長ったらしい説明をタモリにさせてまで登場し、大々的にノマドをアピールしていた安藤女史だと、ちょっと話がちがってくるわけで。

Twitterでは驚きや嘆息があがっている。


安藤美冬さんノマド卒業か 多摩大学の常勤講師に - Togetter
常勤になっても彼女の心は自由だというわけのわからん擁護論が展開されていたり、任期の有無はわからんという情報もあったりする。そのあたり、不毛な定義の問題になってきそうだが、やはり時と場所に制約される常勤の大学講師という職業を得るということは、ちょっとノマドとは呼びづらくなるんじゃないかと思うのだ。


ご本人は昨年10月に内定を受けたとTwitterで報告している。



今回の騒動を知ってか知らずか、常勤ライフを満喫しているようなのだが。



通勤中にリプトン飲みながら、ブログ書いたりTwitterしたりしたら、ノマドっていえるのだろうな! たぶん! 彼女に触発されてカフェでiPhoneイジっているそこの君! 遅れを取るな! いますぐ大学講師に応募だ!
繰り返すが、フリーで働いていた人が専任講師になるのはよくない、という話ではない。そうではなく、安藤さんの場合は「ノマド」を売りにして「ノマド」で食っていたわけであり、常勤講師という働き方と、ご自身のこれまでの見解に、どう折り合いをつけるのかは、少し聞いてみたいところだ。



かと思えば、同じノマド勢でも、急進派はとんでもないことになっている。

「就職、ほんとうに残念です」 会社に入るなんてマジでつまらない! イケダハヤト×小川未来【前編】(小川 未来) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

こちらはまだ前編なのだけれど、イケダハヤト師が、就職することが決まった大学生のインタビュアーに、延々と「就職するな! 残念だ!」といいつづけている。
個人的にイケダ師をそこまで熱心にフォローしているわけでなかったため、ここまで会社勤めを毛嫌いしているのかとある種の驚きを感じた。なんというか、とにかく頑ななのだ。
ノマドという働き方は、そもそも会社勤めのカウンターにあったと思うのだ。決められた時間、決められた場所でのみが仕事だなんていうのは窮屈で、もっと別の働き方があったっていいではないか、というカウンターだ。その背景には必然、ときにノマドであってもいいし、ときには会社勤めだっていいという、フレキシブルな姿勢、言い換えれば「あらゆる働き方への寛容さ」があったと思うのだ。

でも、イケダ師にはそうした発想とは一線を画している。彼はフリーでもよい、ではない。なんとしてでももフリー! 是が非でもフリー! 絶対にフリー! なのだ。
自由は自由でも、「強要される自由」は不自由だというのは、誰にでもわかることだろう。


ではなぜ、師はここまで会社員になろうとする相手を引きとめようとするのだろう。これだけ頑ななのには、なにかわけがあるのだろう。そこにある思想は、いったい何なのか。


これがまたうっすいのよ。

イケダ: ダメでしょう。問題意識としてあるのはそこですよ。面白くないんですよ。サラリーマンになっちゃうと。ぼくらみたいな面白がり屋さん達が世の中にはたくさんいるのに、そういう人たちの大部分は、サラリーマンのことをあんまり面白がらない。

イケダ: 周りの人が面白がってくれるって超重要じゃないですか。それで押し上げられていくし、ぼくもそうでした。人生の決断において、面白いかどうかはかなり重要視してますよ。最近だと、自分が面白いよりも、周りから見てどう面白がられるかのほうを、重要視してる感じもあるぐらいです。

文系大生? というノリだ。こういうのはだいたい就活とか、背に腹が変えられなくなった時期にそういうことをいわなくなるのだ。
じゃあ、おまえのいう「面白い」って具体的に何なの? となるが、これである。

「俺はフリー編集者で年収1,000万を目指す」とか言ったら、もう面白いわけじゃないですか

全然面白くねーよ。


面白いのハードル低すぎじゃね?


師の「面白い」にはまったく賛同できないが、そんなことをいえばぼくにとって会社という営み自体が「面白い」。社会は人と人との協業によって発展していったのであって、師を照らすライトから、師が羽織る上着やら何やらまで、みな会社組織によって生み出された所産である。そこに上手くコミットできない「面白い人」もいるかもしれないが、社会を動かすのはたいてい会社組織であり、そんな途方もない会社という営み自体が「面白い」のである。
会社に入ると「社会との接点がなくなる」というのも大ウソで、ニート経験豊富で現在会社勤めのわたくしから言わせていただくと、「会社にくるから」社会と接点が生まれるのだ。



そんなこんなで、シレっと大学の常勤講師というキャリアアップを成し遂げた安藤さんを、イケダ師が「残念だ!残念だ!面白くない!残念だ!」と罵倒したおす対談企画を、ぼくは待望しております。